線の波紋

著者 :
  • 小学館
3.34
  • (2)
  • (36)
  • (41)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 171
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093881500

作品紹介・あらすじ

衝撃の推理作家協会賞受賞から2年、期待の俊英が紡ぎ出す「救い」の物語。誰かが誰かを傷つける-そんな事件の裏側には、ときに誰かが誰かを守ろうとする物語が潜んでいる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 幼い娘が、目を離した隙に行方不明になった。
    憔悴した母親に追い打ちをかけるように、娘の死を告げるいたずら電話がかかる。
    その電話をかけていたのは…

    ひとつの事件の謎がとけた時、事件に関わった人の心の謎も明らかにされる。
    それは悪意に見えて善意だったり、たわいもなく見えて深い罠であったり…
    そしてさらにその謎が、次の謎の答えの糸口になる。
    タイトル通りの、連作形式で進むストーリー。


    うーん、うまい。
    スキがない。

    いちばん恐ろしく、底が見えないのは、母子愛…⁇
    女刑事が、あんな男にコロリと惚れてしまうのは、ちょっと腑に落ちなかったが…
    いくつもの謎がとけていったラストに、いちばん優しかった、そしていちばん理不尽な運命に命を落としてしまった青年のほほえみの謎がとける。
    ストーリーの配置に、救われた気持ちになった。

  • 内容紹介
    事件の陰にある「救い」を描いた連作長編

    一人娘・真由が誘拐されて一か月、安否のわからないまま、白石千賀は役場の仕事に復帰、溜池工事の請負業者決定を控えていた。そんな千賀にかかってくる「おたくの真由ちゃんが死体で発見されました」といういたずら電話の主とは・・・・(第一話「談合」)。真由ちゃん誘拐事件から2か月後、同じ町内に住む24歳の会社員・鈴木航介が死体で発見された。同僚の久保和弘はその1週間前、経理部員である航介から不正を指摘されていた。そして、航介の携帯にいまも届くメールの中に衝撃的な一文を発見する(第二話「追悼」)。渡亜矢子は真由ちゃん事件の犯人を追っている刑事。無事に戻ってきた幼児から証言を引き出すのは容易ではなかったが、工夫を重ねて聞き出した犯人像に近い人物を探し当て、ついに逮捕にこぎ着けるが・・・・(第三話「波紋」)。そして最終話、すべてのエピソードが1つの線になり、事件の背景にさまざまな「救い」があったことを知る(「再現」)。一つの事件が起こした波紋は「別の新しい事件を引き起こし、その新しい事件がまた波を立てる。波は当事者のみならず、周りの人々までをも飲み込み、翻弄していく」──

    談合:電話の主は千賀の夫だった。訃報連絡時の訓練のためだった。
    追悼:航介の妹から彼女からのに見せかけた偽装メールだった。昌美という名の部長の名を語って。
    波紋:亜矢子は犯人は彼氏であることを悟る。
    再現:彼は真由を誘拐した。母が真由の記憶を攪乱させ騙そうとしたのを亜矢子が突き止める。

  • 誰かを守ろうとする物語か、、、
    なかなか良かった

  • 2016.9.15.読了。一つ一つが独立した短編集として読める。構成や事件の内容を語ることがネタバレになってしまう。最初の事件が中途半端に終わっただけに全体が終わって納得でき、最後、エピローグでまたなるほどと思えた。ある誘拐事件と殺人事件が思いがけず関わっていく。面白かった。

  • 長岡弘樹の連作短編ミステリ。
    正直、前二作の短編集のほうがよかった。
    連作となり、外側に大きなストーリーができたことで、作り話感が拡張し、かつひとつひとつの話の鋭さも鈍ったように感じた。
    以前までのように、扱う事件や起きることは小さいほうがよい。その瑣事が、しかし人物たちには深く刺さる、という展開が、貴重でよかったのに、といったところ。
    次作に期待。
    2

  • 【収録作品】談合/追悼/波紋/再現/エピローグ
    *「誰かが誰かを守ろうとした物語」とのことだが、守ろうとしている人間のエゴがにじみでていて、すっきりしない。

  • ん、エピローグでよくわからなくなっちゃった。
    真相はどういうことなんだ?

  • 長岡さんの他の作品の方が私は好きです。

  • (2015/2/4読了)
    多分初めましての作家さんです。読んだ方の感想を読み、私の好きな「連作短編集」とのことで借りてみましたが、すっかり忘れて長編と勘違いして読んでました。読後改めて目次を見たら、第1話から第4話に分かれてました。
    ひとつずつの話があまり独立した形に感じなく、全ての話に関わる「女児誘拐」が強すぎたのではないかと思います。
    ハラハラドキドキするようなサスペンスではないけど、小さく頷くような流れ、結末。
    女児誘拐はもちろん、談合など波紋の広がった事柄の行く末が気になります。ただひとつ、エピローグで書かれている女刑事のその後については、もうひとひねり欲しかったなと思いました。

    (内容)
    衝撃の推理作家協会賞受賞から2年、期待の俊英が紡ぎ出す「救い」の物語。誰かが誰かを傷つけるーそんな事件の裏側には、ときに誰かが誰かを守ろうとする物語が潜んでいる。

    (目次)
    第1話 談合/第2話 追悼/第3話 波紋/第4話 再現/エピローグ

  • 連作なんだろうけどわからなかった

全44件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1969年山形県生まれ。筑波大学第一学群社会学類卒業。2003年「真夏の車」で小説推理新人賞を受賞し、05年『陽だまりの偽り』でデビュー。08年「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。13年刊行の『教場』は「週刊文春ミステリーベスト10」の1位、「本屋大賞」6位などベストセラーとなった。他の著書に『線の波紋』『波形の声』『群青のタンデム』がある。

「2022年 『殺人者の白い檻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

長岡弘樹の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×