- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093881777
作品紹介・あらすじ
マスコミ報道でよく耳にする、「日本の公共投資は多すぎる」「国の借金は子孫の負担になる」「日本は輸出依存の国である」などなど、これらはいまや常識のようになっているが、本当だろうか?実は真っ赤なウソである。理由は本編で詳述するが、本書はそんな「経済ニュースにはびこるウソ」を暴き、具体的なデータ、客観的な数字をもとに、日本が復興・成長するための真のソリューションを提示していく。
感想・レビュー・書評
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面白かったけど、まあ何ていうか、大体言ってることは他の同著者の本とかぶってる。TPPのところは新鮮だった。
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現時点ではマスコミはどのような報道をしているのか把握していませんが、今年の震災直後には、震災を契機に日本の経済は深刻化して日本経済の復活・発展は悲観的であるという論調が多かったと思います。
ここ数年でかなり読んでいる著者の一人がこの本を書かれた三橋氏ですが、彼の本を読んでいると「日本もまだまだ発展できる」という元気な気持ちになります。
民主党政権で少し変な方向へ進みつつあるという懸念はもっともで、次の衆議院選挙を待たずに軌道修正することはできないのでしょうか。
以下は気になったポイントです。
・CPIはずっとマイナスで推移、これが本来あるべき3%程度に達したとき、それまでに政府や民間が使った額がデフレギャップ、後にならないとわからないもの(p34)
・1882年に日本銀行ができてから、政府自ら紙幣を印刷することができなくなり、国債を発行して市場に余っている資金を借りて使う形態になった(p34)
・日本の歴史上最高のインフレ率は、1946年の360%、供給能力が歴史上もっとも落ち込んだ時期(p35)
・財政健全化と同じく美しいイメージをもつフレーズとして、規制緩和や生産性向上があるが、これらはインフレ対策で、デフレ対策にはならない(p36)
・とって代わった民主党政権は、残念ながら、橋本・小泉政権の後継者、TPPに代表されるアメリカ的構造改革、財政再建化を目指す緊縮財政等(p42)
・少子化だからデフレなのではなく、デフレなので少子化(p45)
・道路は自動車が使うもので、世界的には「保有自動車1万台あたりの道路や高速道路の長さ」で見る、すると日本はそれほど悪い状況ではない(p53)
・藻から石油をつくれるという事実はすごい、国土の0.05%にプラントを敷き詰めると、国内需要を賄える(p63)
・ルーズベルト大統領は、ニューディール政策(公共投資と金融緩和)をおこなって景気回復をもたらしたが、1936年に公共投資を絞ってしまい、ルーズベルト恐慌を招いた(p69)
・現在の輸出企業は、現地生産を広げ、獲得した外貨をそのまま現地での支払いや投資にあてて為替リスクを回避している(p86)
・内需が小さい国は輸出依存度が高いが、アメリカ・ブラジル・日本のように巨大な内需(=GDPマイナス純輸出、輸出ではない)を抱えている国は輸出依存度は低い(p87)
・日本の所得収支は、15兆円超という黒字であり貿易黒字の4兆円もより大きい(p96)
・為替介入とは、日本政府が民間銀行から借金して、為替市場でドルに両替して、アメリカ政府にお金を貸し付ける行為(p98)
・日本の貯蓄過剰(2010年11月で150兆円超、1999年迄はゼロ)が国債の低金利と安定的な国内消化を促している(p121)
・インフレ時には税金を現金のままおかずに、国債を償還するという形でお金を消すのが良い(p130)
・政府の負債が1000兆円から100兆円増えた場合、家計の金融資産が1400兆円から1500兆円になるのが答え、但しそれが外国企業に流れた場合は例外(p140)
・国債金利が上昇してしまうのは、民間の資金需要がある場合のみ、デフレの状態では難しい(p145)
・中国の天安門事件は、1989年に中国人民解放軍が、中国人民を虐殺した事件(p176)
・日本企業が韓国企業に勝てない理由は、競争力をなくした、つまり2008年韓国危機で為替が半分(対円レート)になったから(p186)
・家電メーカがアメリカで完敗している(日米貿易摩擦時にアメリカ家電が少なくなっていた)のに対して、自動車メーカは現代自動車に対抗している、その理由は現地生産が多いから(p188)
・TPP発効により、アメリカは法律サービス以外にも、金融サービス、医療サービスを輸出しようとしている(p192)
2011年12月24日作成 -
TPP 中村さんからの課題
優先順位を落とし、返却 -
本当に目から鱗の経済成長論をありがとうございます。この本の中で論破されている数々のこと、「デフレの正体」や「TPP加盟」等で確実に誤ったことをこの本を読むまで信じていました。
マスコミの使命は平穏よりも危機を望む本能で民衆をあおって来たのかもしれませんが、酷すぎると言わざるえません。
財政危機をあおっている財務省でも日本国債の格下げには反対した事実は大変驚きであったにも関わらず、全然報道すらされていない。
この世論操作に黒幕がいるのではないかという訝りはしたくはないのだが、著者の言うように海外企業で日本進出というか、日本からうまみを吸い出そうとしている企業の思惑が働いているかもしれません。ただ、立派な肩書き、経歴を持った識者がなぜそのようなデマに加担するのでしょうか?西洋の「論理」に対抗できるほどの日本人の考え方を鍛えなければならないのでしょうか? -
・日本経済の問題点も解決策もここまで単純化できるものなのか、という驚きと疑念が共存しているのが正直なところ。私がこれまで信じてきた報道の数々があまりにもバッサリ斬られていくと同時に、他の方々のレビューでは極めて批判が少ないため、かえって不安が残る。私自身の経済に関する知識の少なさが最大の要因かと思うので、勉強が必要である。
・現在の日本経済の問題は究極的にはデフレと高齢化だけだという。供給>需要の構造をはらむ前者では、公共投資と国債発行→日銀による買い取り(→民間に金が流れる)、供給<需要の後者では居住地の集中によるコスト削減などによって解決が可能であるとする。まずは内需拡大と円安に繋がるデフレ対策に集中すべきである。増税をし政府支出を抑制する財政健全化も、構造改革(規制緩和)による生産性の向上も、供給を相対的に増やすインフレ対策であり、デフレの現状を悪化させるだけとのことだ。
・日本は、資源以外はすべて自国で賄える国であるとは初耳。「資源輸入でさえ、日本近海でウランやメタンハイドレートの供給が確立され、あるいは藻から原油をつくるという計画が実現すれば、不要になる」(221)そうだ。しかし現実的には、近隣に軍事力を増強中の国々が存在するため、他国(特に米国)との協調関係を維持する手段として、貿易を完全に排することはできないのではないか、という気もする。
・マスコミや学者の分析力を盲信してはいけない、という気持ちを強めた。「自分から情報を取りに行く」ことで自分を守っていきたい。流れてくる情報は、流し手が選択したものにすぎない。それは第一の判断基準として必要ではあるけれど、よく咀嚼し、疑問や不足は自らの手で補っていくことが求められる。この本についても然りである。 -
「『デフレの正体』に騙されるな」と表紙にあったので、デフレの正体とセットで読んだ本。中身は①積極的に公共投資すればデフレは解消する②TPPは絶対加盟するな、とういこと。
①公共投資については、前々からよく理解できなかった「赤字国債はいくら発行しても問題ない説」の構図がPLとBSの考え方にあてはめての説明でやっとなんとなく理解できた。でもいくら国債を発行してもそれを日本国民が買っていれば国内において資産がバランスするから問題ない、というのはどうも腑に落ちない。なんとなくなんだが、そこには「資産が生み出す価値」の概念(ROE??)みたいな考え方がすっとんでる気がする。投資したものから生まれるモノやサービスが相対的に海外のものより価値の低いものなら、やっぱりお金は国内を循環せずに海外に流れてしまうのでは?と思った。
②TPPについては、いろんな理屈言ってるのがだ、それよりも「アメリカが得をする仕組みに巻き込まれてる」という一言だけでなんだかありそうな気がしてくる。
全体的に、いろいろな主張の否定から入りそれらに対する反論を単純化してしかも煽るような表現で主張しているので、どうしても下品な印象を受けた。 -
この著者のことを初めて知った本。
悲観的な日本論が蔓延している中、
ここまでシンプルなデータを使ってそれを否定できる作者がいるとは。
TPPや増税など、なんとなくしょうがないなあと思っていたが、考えを変えさせられた。
著名である大前研一、 藤巻健史の発言を引用し
はっきりとここまで反対意見を述べた人はほとんどいないのでは無いか。
もちろん、三橋氏にもポジショントークが含まれているのかもしれない。
自分で考えて、自分の意見を持つことが大事である。