石巻赤十字病院の100日間: 東日本大震災 医師・看護師・病院職員たちの苦闘の記録

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093882071

作品紹介・あらすじ

簡易ベッドで埋め尽くされたロビー、底をつく水・食料・医薬品、不眠不休の極限状態の中、命のとりでとなった病院スタッフたち。そのとき、地域病院は最前線の野戦病院と化した。災害医療ドキュメント。

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災当日からの石巻赤十字病院の記録。
    石巻に訪れた時に、仙台駅で目にして、読みたいと思った。

    当初から宮城県沖地震の想定がされていたために、地震発生後すぐに対応がされている。
    が、予測していたクラッシュ症候群などの患者は少なく、多くは津波のための低体温だった。手探りながら、その方々の治療にあたるスタッフの方々。
    医療行為以外の本来は行政がやらねばならないであろうことも医療スタッフたちが行った。
    想像をはるかに超える種々のことを考え、行動していたスタッフの方々も、もちろん被災者である。
    赤十字の「人間を救うのは人間だ」のスローガンを本当に実践されていた。
    ありがとうございました。と、心から思った。
    そして、赤十字病院があの地域に残ったことが、本当に心から良かったと思った。

    その葛藤と戦いの日々は、時に目を背けたくなる感覚に陥ったが、これは読むべきだと思う。
    今後、予測されている大地震はいくつもあり、その対策にこの記録を活かしていかなければと切に思う。

  • 実際の内容は100日ではなくほぼ1カ月の記録。しかし長く長く辛い1カ月だったことだろう。
    この病院の医師達を追ったドキュメンタリー番組を録画して取ってあったのに、結局見ないで消去してしまったことが悔やまれる。

  • 特に用は無かったのだけれど、ふらっと帰りに図書室に寄ったら、この本が置いてあるのにたまたま気付き、借りてみた。
    どうやら石巻赤十字病院が、各災害拠点病院に寄贈しているらしい。
    DVDは借りてくるの忘れた。


    地震直後からの様々なことが記録されている。
    短い文章の中に、いろいろな思いや出来事がずっしりと詰まっている。
    ニュースで映し出されていた被災地の様子を思い出した。
    あとNHKで石巻赤十字病院の特番やってたのも思い出した。
    確か県かどこかのお役所のお偉いさんが現場の窮状を全く理解してなくて(←見てるこっちもイラっとした)、先生がやり合ってたら、その会議の席からカメラが外されたシーンが印象的だったからよく覚えてる。



    看護学校の看護学生さんたちが避難した学校で、懸命のケアをしていたことを知らなかった。とても大変だったと思う。でも、看護師さんになるにあたって、貴重な経験になったのではないだろうか。
    大変な時にこそ人格が出るっていうのを痛感。
    どこからともなく現れて、ガスやら水やら、食料品・医薬品やらを置いていってくれる人がいれば、トイレットペーパーとか持ち去ったり、罵ったり・暴れたり、酒盛りしたり、ゴミ置いていったりする人もいる…。



    ウチの病院は災害拠点病院だけど、同じような災害が起きた時に、絶対にこのような対応は不可能だろう。
    そもそもきちんとしたマニュアルが無いし、(どこかにあるのかもしれないけど、周知されてない)、いざという時にどう行動するかの練習などが一切ない。

    職員が全体的に若いので、統率する先生も現場をさばく先生も、力不足。そもそも地元に住んでいる先生が少ない上、普段からみんな自分の都合の良いことばっかりしてるような人たちだから、いざという時の働きを期待できない…。

    薬の備蓄も経費節減で十分にさせてもらえてないから、その点でも不安。

    ウチの組織はダメダメだけど、この本を読んで、自分の職能を活かして心ある人たちの助けになることはできそうだということは分かったから、そっち方面で自分は頑張ることにする。

  • 震災の本は、そもそも星をつけて評価していい対象ではないとは分かっていますが、「記録」として見た時の良し悪しについては、触れるべきかと思います。

    石巻赤十字病院は3月末から4月初旬まで、宮城県北部の東松島市や登米市に支援をするため、ほぼ毎日のように仙台から車で往復していたので、高速を通るたびに目にしていました。
    当時、傍を通り過ぎていた病院の中で、どんな医療行為が行われていたのかを知ることができ、その点ではとても素晴らしい本でした。

    一方、「100日間」と銘打っている割に、震災一ヶ月を過ぎたあたりからの詳細に関する記述が明らかに少ないところは、ちょっと不満でした。災害医療ということを考えると、最初の一ヶ月の記録が厚くなるのは仕方ないとは思いますが、一ヶ月を超えたあたりから新たに生じた問題や対応もあったはず。その辺をもう少し掘り下げてもらえていたら、より好かったかと思います。

    それと、173ページの深部静脈血栓症への対処に関する記述が、何度読んでも分からなかったのが個人的にはマイナス。自分の読みとる力が弱いのかとも思ったんですが、どうやら「何の症例を」低く抑えることができたのか、その目的語が抜けてるんだと思います。分かる方がいましたら教えてください、というところ。

  • 【読書その65】久しぶりにビジネス関係や育児関係から離れた本。職場の先輩に薦められて読んだ本。東日本大震災の発生後、石巻赤十字病院の医師、看護師、病院職員の方々の苦闘の記録。3月11日14時46分の地震発生から分刻みで記録を残している。あらかじめ作成されていた災害マニュアルに基づき、今後の災害救護の教訓になるよう、混乱の中でも記し続けられた。災害医療の現場をの状況を読み、本当に衝撃を受けた。震災から1年が経過したが、是非とも読むべき本だと思う。

  • まさに修羅場。

    赤十字病院と言えばある程度災害救護の準備ができているところであるはずなのに、そして22万人の圏内の病院の話なのに、それでも修羅場になってしまう、自然災害の怖さ。

    津波の時には外傷よりも低体温症に注意しなければならないし、衛生環境をいかに整えるか(当たり前ができないのが被災地)など、大都市圏で発生した時の準備にぜひ役立ててもらいたいものである。

    東京で起きたら、まず終わりだとは思うが。

  • 何が起きたのか、どう対処したのか。
    決して忘れてはならない出来事の記録。
    極限の環境下で、皆、我を忘れて立ち向かっている。
    読んでいて、感情を抑えきれなくなる部分も多々。
    災害への備えは、語り継いでいかなければならない。

  • 震災の記憶を風化させないため、自身の目標として最低でも年一冊は震災関連の本を読もうと決めている。本書は石巻赤十字病院にフォーカスしたドキュメント。この震災では確かにクラッシュ症候群の患者が病院へ搬送される事例は少なかった。日赤病院が震災直後に受入体制を整えられたことは、不断の努力である。そして日赤病院職員が傷病者救護だけでなく、死者(トリアージ黒)や避難所運営をも担ったことに感動する。一部の心無い住民があったにしても、総体的に震災を乗り越える人々の熱い思いを感じた。

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