社会の抜け道

  • 小学館
3.50
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本棚登録 : 470
感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093882569

作品紹介・あらすじ

私たちの日常の中にある「抜け道」を探して

“怒る”哲学者・國分功一郎と“煽る”社会学者・古市憲寿が、ショッピングモール、自給自足のコミューン、保育園など「社会の現場」に行って、考えて、とことん語り合う! 1年以上に及ぶ、ふたりの思考の軌跡。

◎IKEAやコストコなどショッピングモールになぜ人は引きつけられるのか
◎自分の心の悩みや不満を醸成する装置としてのネトウヨ的デモ
◎選挙に行っても選択肢がないと感じるのはなぜか
◎自給自足生活のコミューンに「リアル」はあるのか
◎シングルファザーとしての経験から「保育園」を語る
◎これからのブームは、リタイア組の「自分探し」
◎ガラッと変わる世の中はいびつ。半径1メートルの革命でいい

ダウンシフターズ(減速生活者)、消費社会、新自由主義、デモ、ネトウヨ、脱原発、専業主婦志望、ワークライフバランス、イクメンと保育園、少子化、水戦争、食欲と性欲、インターネットとソーシャルメディア、住民投票――
こんなにも豊かなのに、閉塞感がたちこめるこの現代を私たちはどう生きていくのか、生きるって何か楽しいのか、楽しむためには何が必要なのか。様々なキーワードから、私たちの日常の中にある「抜け道」をふたりの論客が探る。

感想・レビュー・書評

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  • 國分さんの著書を探していたら古市さんとの対談をまとめたこちらの本を見つけたので図書館から取り寄せました
    現場を見ながら話をしている様子は臨場感があって読みごたえがあった。
    IKEAもショッピングモールも好き 消費になんの疑問も持っていなかった。
    IKEAは消費者の能力が試される仕組みとは、納得。こちらが何を買うか目的意識がないと、要らないものをいつの間にか買わされてしまう場所、不満足や退屈感を持つことも指摘(國分)確かにそういう体験は度々あり、今は行かなくなった。
    沖縄の経済は大変ですけど、金持ちになりたいという気持ちはなくなりますという沖縄の人のコメントの紹介には吹き出してしまった。パリの劇場で三か月の娘さんを連れて行った國分さんが劇場の人の親切にされた話は日本での子育ての大変さを実感。水戦争については意外で勉強になった。自分で思うように身体を動かせるようになることが、体育の授業の目的と教えてくれた先生は素晴らしいと思う。身体感覚はいくつになっても大事。自分探しとは自分に対する周囲からの評価を変えたいということ、リセットしたいということというのは、核心をつかれて心当たりがあり、昔の自分を思い出して恥ずかしくなった。

    覚書
    第一章 IKEAとコストコに行ってみた
    目的は物を買うためだが、経験という感覚も納得。新しい使い方を作り出しているという(古市)。消費社会は人を浪費家ならぬ消費者に仕立て上げ、退屈と消費の悪循環をつくり上げることで大量にものを売ってきたという國分氏の見立て。でもやっぱりショッピングモールに行ってしまうなあ。意図的に「余白」をつくるような建築やサービスが増えているらしい。不況が続くと記号的なものより実用的なものが価値をもつ(古市)
    北欧は消費社会が提供してくれるような、お金さえ払えば楽しめるエンターテイメントがほとんどない。自然が大好きな人が多い(古市)
    「子どものままでもいいんだよ」という日本のオタク文化のメッセージが強烈な解放感を得る(國分)
    日本は物があふれているように見えて、実は選択肢がない(國分)
    第二章 暮らしの実験室の幸福論
    モール、IKEAも使い方次第、社会インフラとしての利用としてはいい(國分)
    共同性と目的性は一致している暮らしの実験室について
    現代の消費社会で育ってきた人間にとっては、不便さに耐えるというのは一番慣れていないことの一つ(古市)。
    第三章 デモと遊びと民主主義のアップデートされた関係性
    フランスではデモではみんなただ歩いているだけ マニフェスタシオン 現れるという意味 ある争点を巡って群衆が大挙して現れる それ自体がメッセージ(國分)
    参加者はかつてのような強いられた深刻さはない 真剣と深刻は違う(國分)
    うまく遊べないときに人は退屈する(國分)
    ヘイトスピーチを声高にいいたくなる人は間違いなく心に問題を抱えている、心の闇に届く言葉がないとダメ 心の危機のギリギリのところにいる(國分)
    第四章 人類史的重要プロジェクト 保育園の話
    競争原理の導入は人件費値下げ合戦しか起こらない(國分) 
    保育には教育とケアワーク 社会化
    幼稚園の方が先 西洋から輸入 保育園は民衆の手ではじめられた 地域共同体みたいな場所で相互扶助としてはじまった(國分)
    戦後の専業主婦は過大なタスクを課された 家族モデルの問題点(國分)

    • naosunayaさん
      私も國分さんはおもしろいとおもいます!
      私も國分さんはおもしろいとおもいます!
      2022/05/15
  • 國分さんの「暇倫」読んでからだとさらによくわかる。「抜け道」とはズルのことではなくて、消費社会、資本社会からは逃れられないので、その中でどう泳いでいくか、がんじがらめの規定からちょっと外れて楽しむか、という文脈。楽しむということすら記号なのかもしれないけど、他人に承認されることではなく、自分が楽しむことに答えがあるのかも。私はどちらかというと國分さんの意見に頷く事が多く、逆に古市さんの意見は新鮮に感じた。

  • 自分に対して満足のいく評価をもらえるか
    それが1番の心配事だと気付かされた

    今後担うべきであろう役割が大きすぎて
    まだ何もしてないのに既に疲れてる
    この本にはその役割を女性1人が対応するのは
    無理があると話していて、少し救われた
    上手に甘えられるのかなという不安はそのまま

    自分探しとか自己分析とか
    めんどくさくってやめたけど
    そもそもする必要ないよね、と
    読んでいて確信できた
    いまの気持ちが大切

  • ドカンと変わる革命より、細々と反革命で、徐々に好転していく社会であってほしい。
    10年以上前の本だが、日本者がは未だに革命を起こそうとしている。

  • リタイア組の「自分探し」。自分の身体や考え方のクセなど「自分の心身が持っている法則」を少しずつ発見し、自分に何が向いているかを試していく「自分探し」は大切なこと。

  • 哲学者の國分さん(39歳くらい)と、社会学者の古市さん(28歳くらい)が、消費社会、デモ、保育園、食の問題、反革命について雑談した本。

    カジュアルな文章で読みやすいし、2人の博識なところが面白い。國分さんの子育て論的な部分も経験者だけにリアルで良かった。

    とても旬な話題を取り上げているので、なるべく早く読んだ方が楽しめると思います。

  • 今、自分が必要としている本じゃないからとりあえず積読

  • 社会はゆっくりとしか変わらないということや、運動自体が目的化してはならないというあたりに非常に共感を覚えた。
    もっともっと本を読まないとなーと焦る。知らないことがたくさんあるのです。
    古市さんの注釈はポップで、ちょっと毒が効いていておもしろい。

    対談なのでサクサク読めるが、興味深い考えや意見が散見された。

  • 國分さんも古市さんも若いのにしっかりした考え。ゆるい語り口での対談。
    ◎IKEAやコストコなどショッピングモールになぜ人は引きつけられるのか
    ◎自分の心の悩みや不満を醸成する装置としてのネトウヨ的デモ
    ◎選挙に行っても選択肢がないと感じるのはなぜか
    ◎自給自足生活のコミューンに「リアル」はあるのか
    ◎シングルファザーとしての経験から「保育園」を語る
    ◎これからのブームは、リタイア組の「自分探し」
    ◎ガラッと変わる世の中はいびつ。半径1メートルの革命でいい","図書館
    社会学

  • 社会は革命で一気に変わるのではなくて、社会の中にある、ちょっと楽しい抜け道みたいなところを、気づいた人が通ったり使ったりしていくうちに少しずつ変わる、という考えに納得。

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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