社会の抜け道

  • 小学館
3.50
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感想 : 58
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093882569

感想・レビュー・書評

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  • リタイア組の「自分探し」。自分の身体や考え方のクセなど「自分の心身が持っている法則」を少しずつ発見し、自分に何が向いているかを試していく「自分探し」は大切なこと。

  • 國分さんも古市さんも若いのにしっかりした考え。ゆるい語り口での対談。
    ◎IKEAやコストコなどショッピングモールになぜ人は引きつけられるのか
    ◎自分の心の悩みや不満を醸成する装置としてのネトウヨ的デモ
    ◎選挙に行っても選択肢がないと感じるのはなぜか
    ◎自給自足生活のコミューンに「リアル」はあるのか
    ◎シングルファザーとしての経験から「保育園」を語る
    ◎これからのブームは、リタイア組の「自分探し」
    ◎ガラッと変わる世の中はいびつ。半径1メートルの革命でいい","図書館
    社会学

  • おなじみの社会学者・古市憲寿と、若手の左寄り哲学者・國分功一郎の共著、対談集。國分もlifeで知って、とても面白いしっかりした人だなという印象を持っていた。哲学者って名乗るのは結構大変だと思う。哲学の仕事って真理の探究でしょ。思想とは違う、っていうのはイメージで線引きはわからないけど、でも逆にそう名乗っているのが新鮮。

    本の内容としては、現状、日本の社会制度や流行りなんかをバシバシと批判する感じ。古市はノルウェーに、國分はフランスに、共に学生時代留学していた経験があるので、そこと日本との違いをいいところ悪いところを上げながらやり合うのは、結構面白かった。相変わらず古市は自由で現代の権化。でもこの本では多少だけど、育った家庭のスタイルとか食事の好み、運動に関してとか、古市個人のことが書かれていて関心が行った。現代の権化、というのは決めつけだけれど(個人的には好きだけど)、それにも因果と言っていいのかわからないけれど、理由はあるのだなと感じた。こういう考え方はちょっと宗教くさいでしょうか。その点國分の考えは、ちょっと自分とは違うところはあるけど、いたって理解しやすく、コンテクストとテクストが素直に結びつく。

    古市がいろいろと聞いて、國分がべらべらと考えていることをしゃべる。たぶんこの考え方、古市は納得してないよな、とかいろいろと想像もはかどる。面白かった。國分の消費と不満足あたりの着想はかなり関心がある。「暇と余暇の倫理学」今度読んでみよう。


    17.6.20

  • デモや消費社会、保育園に食料問題まで幅広く現代社会について対談している。当たり前の価値観が本当に当たり前かなんて比べてみなきゃ分からないし、社会は劇的になんて変わらない。何を選択して生きていくのかを考える本。

  • 読みやすいけど、これを出発点に考えを深める可能性がありそうな一冊。ショッピングモール、保育園、など題材は身近。だからなんだ、といいたくなるような個人の感想的な部分もあるけど、それすら裏付け部分に厚みがあるために興味ひかれた。

    興味深かったのは、社会的な運動をする際、それ自体を楽しむのか、変革を目的として啓蒙をするのかという二つのタイプについての話。前者は波及力は少ない代わりに永続的、後者は無理が生じて破綻しやすい。。など。

    確かに、周りをかえよう!という運動ってどこかしんどい。多分本人も、まわりも。割合の問題と思うけど、自分はこれが楽しい!という割合が高いほど長続きしやすいだろな。

  • 思ってたより面白かった。随分前にぱらぱら冒頭を読んでいたときは、ざっくばらんであると同時に雑多な会話の集積という印象だった。けれど、今回ふと通読してみると、なかなかどうして面白い。視点が共有されていると同時に違うことで、話が面白く転がっている。
    気になるのが、國分さんの加筆・修正部分。取ってつけたような感じだし、とっちらかった印象は加筆のせいでもあるはず。
    とはいえ、「消費と浪費」、「暇と退屈」の話を引き継いでいるものとして、『暇と退屈の倫理学』の修正点も聞けたのが収穫。

  • テンポがよく読みやすい対談本。

    途中途中に出てくる哲学、思想系の作家へのきっかけにはとてもいいだろう。特にポストモダン以降の思想

  • 2014.02.16

  • 國分&古市の軽い対談集。古市さんがいつもの調子で國分さんの発言をうまく引き出している。軽いけど、それなりに考えさせられる点もある。

    IKEAとコストコでは、消費社会を否定するのではなく、新たな意味を消費者側が付加していく(ゲームセンターが高齢者のたまり場となっている例)ことで、望ましい方向に少しずつ変えていけるのではないか。それをこの本では「社会の抜け道」と言っている。

    今の社会システムにはいろいろとマイナス面もあるけど、それをひっくり返すのではなく、少しずつ上書きしていくことで、少しずつシステムを変えていくべきだし、現実的にはそれしかできない、という主張はもっとも。

    革命一発で社会を変えるというのはほぼ不可能。社会を変えようなんて言ってる人は、社会が何を知らない人の言い分なのだと。
    日本では自分たちで物事を変えるということについて経験が少ないから、社会を変えることのリアリティがない、だからガラッと変えようという主張に安易に結びついて、結局何も変わらない。
    少しずつでもシステムを変えていく、新たな意味を上書きしていくという小さな成功体験が私たちには必要なんだろうと思う。

  • この窮屈な、閉塞感一杯の社会の抜け道は、やっぱり、一見か弱くも実は逞しく強かな、現場の人々によって見つけられて(作られて)いくのだなぁと。興味深い対談でした。

著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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