- Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093882934
作品紹介・あらすじ
旅、日常が新鮮に愛おしくなる角田マジック
●アジアは水で、ヨーロッパは石なのだ●旅の疲れは移動の疲れと言うよりも、野生の本能を始終使っている疲れなんだろう●7月のあたまにセールなんてするなら、金輪際、5月6月に夏物なんて買わないからな!●じつは若いときからずっとサザエの母、磯野フネに憧れていた。●毎日仕事中、ほとんど負け戦ながらチョコ衝動と闘い続けている。・・・・いずれも本文より。
「旅」と「モノ」について、作者ならではの視点、本音が満載の1冊。読み進めていくと「どうして私の気持ちがここにあるんだろう」とびっくりするほど共感するとともに、新鮮な奥深い視点をそこかしこに感じます。そして読後は、心がほっこり癒されます。
--子どもの心で、子どもの財布での旅しか、私はずっとできないのかもしれない。それが、私の作り上げてきた私に相応な「分」なのだろう。最近、そういうことがだんだん受け入れられるようになってきた。開きなおりではない。あんまりかっこよくない自分を、許すことができるようになってきた--あとがきより。身近に感じられる思いをたくさん紡ぐことによって、一冊を読み終わる頃には日々暮らすことを愛おしむ気持ちがじわっとわいてきます。
【編集担当からのおすすめ情報】
旅の途中で、通勤電車の中で、疲れて帰ってきた夜に、旅先で寛いでいるときに…。大人気作家、角田光代さんの言葉は、面白くてしゃれっ気たっぷり、いきいきと心に届きます。意外にお茶目でひょうきんな一面も。難しいことは忘れてゆるーく楽しめる、そして、ハッとさせられる奥深さもある友達のような一冊です。
感想・レビュー・書評
-
『旅に思う』『モノに思う』の二部構成のエッセイ。
この頃角田さんのエッセイを発売すぐに読む、といったことは少なくなってきた。
小説のみならずエッセイもたくさん発表されてる角田さん。ことごとく読んできて、自分の中でちょっと飽きてきたのかな。旅ものも既に幾冊もあるし。
…と思っていても、読み始めると、やっぱり面白い!!
初めて知るエピソードは勿論興味津々で読んだけど、旅先のトイレネタは別の著書でも読んだことがあった(角田さん同様頻尿の私は随分勇気付けられた)。それでも今回の「旅トイレ」の話はまた違った面白さがあり、一番印象に残ったかも。既出のエピソードでも、また違った切り口で提供してくるところがさすがの角田さんだ。
「モノ」編は、トホホ感満載で(笑)飾らない角田さんの人柄が表れており、あちこちで共感。まじめなのかいきあたりばったりなのか、そのちぐはぐ感がおかしい。ひとり暮らしを始めるにあたり、母親から大中小の鍋3点セットをもらい、ぼろぼろになっても使い続けてるというエピソードが好きだなぁ。この実体験がもとになった短編も前に読んだけど、すごく印象的でね。実は私も学生時代にやはり鍋セットを母からもらってて、いまだに使ってる(けど一つ最近だめにした)ということまで共通している。何というか、モノに関しては、理屈じゃないよというところがあるよね。
この一冊をうまく締めたあとがきもまた大好きです。私も、かっこよくスマートな自分にはなれそうもありません。今後も迷走は続けるだろうが、恥をかきながらも、分相応な自分でいられればいいかと。とりあえず、母にもらった勤続ウン十年の安物の鍋は、限界ギリギリまで使い続けることだろう。 -
角田さんのエッセイはやっぱりいいな。
エッセイの前半は旅、後半は買い物のことについて書かれている。
後半は自分の買い物癖についていろいろ考えてしまった。
そんなに金遣いが荒いわけではないと思う(思いたい)のだけど、買った後に後悔することも少なくない。
どうして後悔するのか?
どんなものを、どういう時に欲しくなるのか?
自分の傾向をもっと知って、対処出来るようになりたい。
本当に満足する買い物のために。 -
図書館への返却日が、迫って来たため、ついつい興味を引かれてしまった「モノ」の方だけを読みました。
長年作り続けてくれた母親のお弁当よりもパンを買いたくて文句を言ってしまったこと、私も同じような言葉を言ってしまった高校時代がたしかあったんだって思い出しました。
角田さんって、自身はあまりあれこれこなせないタイプのように自嘲しているのだけど、見ていて元気をもらえる!んですよね。
料理、登山、猫を初めて買う、プレゼントの選び方、どれも相手への愛おしさを感じられる!
と共に、いかに私が何でもまあ~いいかって言うアバウトさがあることに気づかされてしまいました。 -
これは、おもしろい。
初めて読んだ角田さんのエッセイですが、読みやすいし、「わかるわかる」がたくさんあるし、思わずくすっとしてしまうところもあって夢中になって読みました。
前半は「旅」に関して、後半は「モノ(お買い物)」に関して。
角田さんのエッセイを読んだことのない私はよく知らなかったのですが、角田さん、バックパッカーとして世界中を旅されてたんですね。旅関連のエッセイを何冊も出されていることを今回初めて知りました。
世界中の国で出会った美味しいもの、お酒、空気感、今すぐにでも旅に出たくなるくらいわくわくしました。
クラムチャウダーが名物料理だというシアトルには是非一度行って、是非とも味わいたい。
それに、キューバの「グラスにミントの葉をぎゅうううっと入れ、砂糖とライムを加え、すりこぎ状のものでがりがり潰す」モヒートも飲みたいし(夏はモヒートに随分ハマった)、インドやトルコでチャイを飲み歩きたい。
それから買い物編も楽しい。
私も道具から入るタイプなので、ものすごく共感。それに本や飲み代にお金を惜しまないところも、わかるわかる。著名な作家さんだからお金もいっぱい持ってるんでしょ、と思いきや、実際たくさん持ってはいるのだろうけれど、金銭感覚が私と大差ない。
そして、この本を読んだ今「だしポット」が無性に欲しくてたまらない。意外と高い、のだけど、そんなに角田さんが絶賛するなら買ってみようかしら、なんて。
うきうきわくわく、世界を旅するように楽しくよめて、気分転換にもぴったりな1冊でした。 -
少年の心で大人の財布で旅をする♪
こちら、角田さんの願望だそうです(笑)なかなか、大人の財布に行き着かないのだそうですが・・・わかる気もします(笑)前半は旅にまつわること、後半は買い物(物の捉え方)に関するエッセイ本です。納得すること、大いにあり。とりわけ、旅の部分の苦行体験は自分も経験有りなので、とても共感できました。旅で出会うのは景色や人、食べ物等 様々ですが自分にとって、何一つ、不必要なものはないんですね!思い出の小箱がまた一つ、増えていく愉しみ。個人的には 最近、全然増えていないな~と実感する日々なのでした。(3.5) -
エッセイって何のために読むのかというと、私の場合は日頃何となく浮かぶ思考の端切れやもやもやしたことを、作家がはっきり言語化してくれているのを読んで「ああ、こういうことを私は言いたかったんだよ!」と認識するためだ。
その点この角田光代のエッセイは素晴らしい。
旅行の時の心許なさやカンが冴え渡ること、買い物での戸惑いなど、読んでいて「そうそう、それ!」と何度膝を打ったことかわからない。
こんなふうに頭の中や思いがすっきりとしていたら、いつも爽やかに暮らせるのだろうか。
エッセイを読むと、作者の考え方や感じ方がよくわかる。
今まで読んだ人は、明るくエネルギッシュな人、自分に自信のない人、ついつい後ろ向きになってしまう人と色々なタイプがいたが、角田光代はすっきりした人だと思う。
自分の居場所やこれから行く場所をわかっていて、やるべきこととやらなくていいことを上手く切り分けられる人、そういう人に感じた。 -
旅とモノ(道具類)のエッセイ
海外が舞台の作品を読んでも同一の風景としか思えず、「世界」とは身の回りの景色のみ。日本地図もちゃんと書けない(四国が抜けてる)状態から、次々海外へ旅をするまでに。
旅先でのトイレ問題(長距離バスでのトイレ我慢エピソードで、米原万里さんのエッセイで読んだ「日本人旅行客はトイレが近い問題」を思い出し、異国の地で作られた酒はその土地で飲んでこそ美味い、という言葉に「ああ、異国の味を知りたい…」と想像を巡らせる
モノの話ではそんなに傘って無くすか?と不思議になったり(田舎ゆえかも)自分専用に作ってもらえる万年筆が欲しくなる。そんなに使わない気もするけど。でも「作ってもらう為にわざわざここまで来ることは無いと思うし」という言い訳は強い -
旅先でのこと、モノについて、一つのエッセイが書き流しでなくちゃんと「落ち」がある。メッセージがある。「アジアは水で、ヨーロッパは石なのだ」などなるほどと思わせるものがある。
-
あとがきより。
少年の心で、大人の財布で旅をしなさいと書いたのは開高健だ。それを読んだころの私はまだ貧乏旅行の身の上で、いつかもっと年齢を重ねたら大人の財布を持とうと思っていた。それからもう何年もたち、若いときにはなかった余裕は持ちつつあるが、財布自体はまだ子どものままであるような気がする。子どもの心で、子どもの財布での旅しか、私はずっとできないのかもしれない。それが、私の作り上げてきた私に相応な「分」なのだろう。
最近、そういうことがだんだん受け入れられるようになってきた。開きなおりではない。あんまりかっこよくない自分を、許すことができるようになってきた。もっと年齢を重ねても、私自身がかっこいい私やスマートな私になるわけではないと思い知ったのである。年齢を重ねて、自分に見合った旅をして、自分に見合った買い物をして、そうしてただひたすらに、「分」、つまり強固な私になっていくだけだ。 -
だれかと知り合い親しくなるということはかなしみの種類を確実に増やす。こんなにも好きにならなければ、かなしみも衝撃も感じなかったに違いない。かなしむことができる、それを不幸だとは思えない。
旅がしたい。
未知なる場所にいってみたい。
世界は広くて、自分の悩みなんて、ちっぽけだ。世界は広い。 -
モノに思う編では、そうそうと共感することがたくさんある。
なかなか踏ん切りのつかない買い物。
別に化粧なんてと思うところ、試着するのがら面倒ならところ。
-
JCBの会員情報誌「THE GOLD」に連載されていたエッセイ。
前半は「旅」、後半は「買い物」について。
角田さんは若い頃アジア系を思いつくまま旅することが多かったようです。現地の人に誘われてついて行ったり。
もっとその具体的なエピソードも読みたかったな~
後半は買い物の感覚について。読み終わる頃には角田さんの感覚が予想がつくように。登山道具を揃える時、全部安物にするのは抵抗があって今後も長持ちするものにするか悩む感じ(笑) -
初・角田光代かもしれない
後半になるにつれて、著者の金銭感覚に親しみを覚えるようになった
この人の恋愛についての考えを綴ったエッセイがあったら読んでみたいなあ -
角田光代さんの
-
文学
-
エッセイ
メイプルマフィンさんはエッセイも読破しているのですね~、すごい!
私は以前読んだ角田さんの旅も...
メイプルマフィンさんはエッセイも読破しているのですね~、すごい!
私は以前読んだ角田さんの旅ものがしっくりこなくてあまりエッセイは読んでないんですよね。
小説は大好きでもエッセイは微妙で・・・(^_^;)
私のある友人は逆でエッセイは好きだけど小説は苦手と言っておりました。
面白いですよね。
とはいいつつも、このエッセイは良かったです。
読み込んでいないので分からないのですが、エッセイも若いころとは変わってきてませんか?
共感する部分がとても多かったです。
角田さんの愛すべき人柄、いいでしすよね~。
気取らず飾らず。
この性格からあの粘着質(?)の作品が生まれるのかと思うとなんだか不思議です。
(角田作品のコンプを目指してるけ...
(角田作品のコンプを目指してるけど、著作がとにかく多いから難しいね~。)
確かにおっしゃる通り、若いころに比べるとエッセイも変わってきてますね。ツボを心得てきてるというか。
エッセイ飽きたと思いながらも、読むと面白いと感じるのはそういうことなんだろうと。
小説の作風とのギャップもまたたまらんですよね(^^)