少年の名はジルベール

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著者 : 竹宮惠子
  • 小学館 (2016年1月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093884358

作品紹介

少女マンガで革命を起こした漫画家の半生記

少女マンガの黎明期を第一線の漫画家として駆け抜けた竹宮惠子の半生記。

石ノ森章太郎先生に憧れた郷里・徳島での少女時代。
高校時代にマンガ家デビューし、上京した時に待っていた、
出版社からの「缶詰」という極限状況。
後に大泉サロンと呼ばれる東京都練馬区大泉のアパートで
「少女マンガで革命を起こす!」と仲間と語り合った日々。
当時、まだタブー視されていた少年同士の恋愛を見事に描ききり、
現在のBL(ボーイズ・ラブ)の礎を築く大ヒット作品『風と木の詩』執筆秘話。
そして現在、京都精華大学学長として、
学生たちに教えている、クリエイターが大切にすべきこととは。
1970年代に『ファラオの墓』『地球(テラ)へ…』など
ベストセラーを連発した著者が、「創作するということ」を
余すことなく語った必読自伝。

少年の名はジルベールの感想・レビュー・書評

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  • 24年組ファンとしては神様ばかりが登場する眩しさで目が潰れんほどの才能咲き乱れる現場のお話で、ありがた過ぎて泣きながら一気に読んでしまった。

    増山法恵になりた過ぎる。(正直な告白)
    私はこういう人間になりたかったのよ。
    中途半端なただの漫画好きにしかなれなかったけど。


    増山さんの存在感が半端ない。竹宮さんが彼女に出会い飛躍的に世界を広げていく様子や、打てば響くやまないおしゃべり、ジルベールを見つけた夜に電話で次々に話を創り上げていく場面、高揚感と興奮がよく伝わってきた。

    当時はまだまだ男社会で少女漫画も産まれたてで表現の規制もあって、という中で女性作家達は自分達の自由な権利を獲得すべく奮闘していくわけだけど、その反面こんなはねっかえりの娘におじさん達は随分と優しいんだなぁと思ったりした(笑)女がどうとかは置いておいて、才能に対しては敬意と矜持を持って仕事をされてたんだろうな、とYさんの話なんかを読んで思ったりした。

    『風と木の歌』の連載を勝ち取るためにアンケート1位を取る、という話は他のインタビューで読んでいたけれど、それまでの制作過程にこれほど増山さんが深く関わっていたとは知らなかった。

    リアルタイムの読者ではないので『風と木の歌』の完成度の高さが作者の印象になっているけど、そこに至るまでの手探りの葛藤ぶりにまた別の感動を覚えた。

    受け手と創り手で作品を鑑賞するポイントが全く違う、という話も大変具体的で興味深い。
    ヨーロッパ旅行の増山さんには特にシンパシーを感じた。

    そしてやはり萩尾望都は別格なのだなぁと。
    萩尾先生に対する感情がとても率直に述べられていて涙腺に来たけど、大きな才能の近くにいることの幸せと焦燥はほんとに凡人が想像するよりキツいものなんだろう。

    アンケート1位を取るぞ!の下りはまさにバクマン。圧倒的才能(萩尾望都)を前に挑む竹宮さんと増山さん。
    増山さんも凄いよな。美の信奉者で、確かな審美眼を持っていて目の前には煌めく才能が溢れてるわけで、自分も、という業はあったと思う。少女漫画に革命を起こすという強い志を持っていたとしても、端から見ても自分としてもよく分かんないポジションで自分を定義してくれるものがない状況で自らの全てを竹宮さんの作品に捧げるって、言うのは簡単だけど、誰にでも出来ることじゃない。
    そして増山さんには実際捧げるだけの潤沢な中身があった。
    その結果としての作品を享受することの出来た私は本当にありがとうございますとしか言いようがない。

  • うーん、そうだったのか…。少女マンガのオールドファンとしては、複雑な感慨に浸らされることがいくつも書かれている。

    その一。「大泉サロン」の実態がそんなボロ家だったとは。赤裸々に書かれる暮らしぶりに驚いた。みなさん若かったのだなあ。

    その二。萩尾望都先生に対する思いが、そこまで書くの?と思うほど率直に綴られていて、ちょっととまどう。そのずば抜けた才能に打ちのめされ、近くにいることで心のバランスを崩すほどだったとか。表現者というのは厳しいものだなあとあらためて思う。

    その三。「風と木の詩」が世に出るまでに、これほどの壁があったのか。少女マンガが多様な表現の場として花開くには、多くの人の苦闘があったのだと思い知らされる。ただただ楽しく百花繚乱の作品を享受していたあの頃の読者は、幸せものだったんだなあ。

  • 萩尾先生の作品は網羅しているつもりだが、竹宮先生は「風と木の詩」と「地球へ…」しか持っていない。
    きっとそれで充分なのだ。そして稲垣足穂を読んでいないワタシはきっとモグリだ。

  • 少女漫画の世界に「少年愛」を持ち込んだ革命児・竹宮惠子先生の自伝。プロの漫画家として上京してから「風と木の詩」の連載が始まるまでの7~8年の出来事が詳細につづられている。短期間ではあるが大泉で同居した彼女の最大のライバル・萩尾望都先生や、彼女のプロデューサー的な存在であり戦友(?)でもあった増山法恵氏との出会い、この3名に山岸凉子先生を加えた4人で出かけた40日間のヨーロッパ旅行、そしてジルベールと風木の設定が出来上がった深夜の8時間の電話などを活写している点は、今後、少女漫画の歴史を紐解く上で重要な参考文献となるであろう。

  • 「ジルベール」が登場する作品「風と木の詩」を読んだことがないけれど
    (というか竹宮恵子さん自体存じ上げませんでした)
    それでも著者の自伝的小説としてじゅうぶんに楽しめる。
    便利なネットがなかった時代に夢を追う人たちがどれほどの努力をしてきたのか、わたしには計り知れなくて読んでいて本当に恐れ入りました。

  •  話では聞いていた大泉サロンのことと竹宮恵子さんのまんが道についてたっぷり語られている。萩尾望都さんを強烈に意識していて、自己評価が萩尾さんが10だとすると、ご自身が2くらいの圧倒的な大差で、同居していてつらそうであった。漫画での表現がうまくコントロールできるようになるのがデビューして大分たってからの長編漫画であったという。オレも同じ漫画家として意識の違いなのか、そんなことは気にしたことがない。確かに、手に余る表現には挑戦したことがなく、それが大ヒット作を生み出す週刊連載漫画家としてのあり方であったのかと、もっと早く知りたかった。少女マンガに革命を起こすと意気込んでいるところもすごい。オレも童貞漫画に革命は起こしたかもしれないが、漫画業界の片隅でサバイバルすることで精一杯だ。

     お友達の増田さんの存在も非常に大きく竹宮さんの作品や少女マンガそのものに影響を与えているようだった。

     『風と木の詩』は読んでいたような気でいたが、読んでいなかったのでこの機会に読んでみたい。

     すごい本だった。

  • 風と木の詩が大好きなので、読まずにはいられなかった。

  • ジャケ買いしました。だって、表紙があのジルベールなのだもぉぉ。と、
    少女漫画に興味のない人にはまったく分からないよね。

    男の子同士の愛情をテーマにした「ボーイズラブ」もひとつのジャンルと
    して今では市民権(?)を得た感がある。しかし、1970年代となると今と
    まったく様相が違う。

    そんな時代に少年同士の愛情を描いたのが竹宮恵子の漫画『風と木の
    詩』という作品だ。主人公の少年の名はジルベール。

    本書は竹宮恵子が漫画家としてデビューして、上京し、編集者の反対に
    遭いながらも7年の歳月をかけて『風と木の詩』を世に出すまでの半生
    を記した作品である。

    正直に言えば竹宮作品はあまり読んでいない。勿論、漫画は好きで読ん
    ではいたが私が主に読んでいた漫画雑誌は「プリンセス」であり、「花と
    ゆめ」であり、「ララ」だた。

    それでも竹宮恵子とほぼ同期の萩尾望都作品は単行本でほぼ読んでい
    た。どちらかと言えば萩尾作品の方が好みなんだな。「マッチ一本火事の
    元、ポーの一族萩尾望都」ってのは『パタリロ!』にあったギャグだったか。

    しかし、『風と木の詩』は別格。森茉莉『枯葉の寝床』なんて小説をコソコソ
    と読んでいた身にとっては「こんな漫画が読みたかったんだよ~」って感じ。

    本書の読みどころは『風と木の詩』の連絡にこぎつけるまでなのかもしれ
    ないが、それよりも興味深かったのは「大泉サロン」とそこで同居していた
    萩尾望都に対する著者の複雑な感情だ。

    男性漫画家が集った「ときわ荘」のような場所を、少女漫画たちで作ろうと
    した「サロン」の名称とは程遠いボロ屋。建物はボロでも夢はいっぱいに
    詰まった場所だった。山岸涼子や坂田靖子も、この「大泉サロン」を訪れ
    ていたんだね、共に私が好きな漫画家だけれど。

    でも「ときわ荘」のようには続かなかった。「大泉サロン」は僅か2年ほどで
    解散した。スランプに陥った竹宮恵子とは対照的に、マイペースで作品を
    発表していく萩尾望都に向けられる竹宮の複雑な感情が結構正直に
    書かれている。

    多分、この時のふたりの状況が今に繋がっているんじゃないのだろうか。
    竹宮恵子は既に描かなくなってしまったけれど、萩尾望都は今でも作品
    を発表しているもの。

    竹宮恵子、萩尾望都。このふたりを含めて後に「24年組」と呼ばれるように
    なる少女漫画家たちは、それまでの砂糖菓子のような少女漫画の概念
    を打ち破った存在なんだよね。あ、青池保子も24年組か。この人の作品
    も好きだわ、私は。

    それにしても増山法恵。この方、「大泉サロン」」の発案者で竹宮恵子の
    プロデューサー的存在だったのだが、「のりす・はーぜ」名義で『風と木の
    詩』のその後を小説にしているんだよね。本人はその気ではなかったらし
    いが、竹宮と編集者に説得されて書いたそうだがこれは書かない方が
    よかったのじゃないかと思った。

    全3巻。ずいぶん昔に読んだけれど、漫画の余韻が台無しだったもの。
    竹宮自身、その後の構想は持っていたけれど描く気はなかったのだから
    『風と木の詩』は漫画が終わった時点で終わりとして欲しかったわ。

    尚、本書にも度々登場する増山氏だが身近にいたら絶対に好きになれない
    タイプである。

  • 竹宮先生はスランプ時代、自分のマンガを模索していらしたつらい時が続いたようで、先生の不安、焦り、苦しみが伝わって、読んでいてつらい、でもマンガへの姿勢、情熱も伝わるから読むのがやめられず読み続けるという感じでした。最後に遂に念願の風と木の連載へ続く先生のマンガの描き方にたどりついたところは爽快、やったーと喝采でした。

  • 萩尾望都にこれほどに葛藤やら鬱屈やらを抱えていたのに驚いた。ローティーンの時代、別コミや週コミを愛読してたからか、ツートップのイメージがあったので。

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