60年代ポップ少年

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 55
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093884716

作品紹介・あらすじ

ポップ史観で60年代を辿る自伝的エッセイ

一九六〇年、十二歳。坂本九の「悲しき60才」でポップスに目覚めた亀和田少年は、ビートルズの登場で、それまで全盛だった和製ポップスが懐メロ化してしまったと嘆く。渋谷道玄坂で、毎月1がつく日に開催され、プロ作家も参加したSF好きの「一の日会」に通い、東京オリンピック開会式の日は、お祭り騒ぎに興味がなくて、ひとり千鳥ヶ淵でボートを漕いだ。吉祥寺の私大で右翼学生と渡り合い、デモで別セクトにいた美少女に恋をする。そして、童貞少年が夢中になった吉行淳之介の性小説、新宿のジャズ喫茶、映画館など、多感な少年時代をポップに生きた著者の痛快ネタ満載。「ビートルズとバリケードが俺の青春だ」なんて嘘っぱちだ。卓越した記憶力で、既成の60年代史観をくつがえす、名コラムニストの会心の作。

感想・レビュー・書評

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  • 2018/5/7購入
    2018/11/25読了

  • 亀和田さんという人を私はよく知らないけれど、
    パラパラ見て文章が良いなと読んでみた。
    ビートルズとも五輪とも無関係だった少年が夢中になっていたもの。
    プレスリーとビートルズの狭間で生まれた甘い和製ポップス、
    ジャズ喫茶、SFファンとの会合、サブカルチャー、学生運動、その中での恋。
    一般的な60年代モノではこぼれ落ちてしまうような、
    でも確かに存在したリアルな記録。
    後半、学生運動の話がメインになるが、
    セクト名やヘルメットの色は山ほど出ても、
    観念で凝り固まっているようでもなく、
    他に面白いことがないから暴れる、
    デモに行きバリケードで寝泊まりし郵便局を駆け抜ける。
    反対する理由と、目の前の対立する相手が直接つながっていない気がするが
    ただ暴れたくて集まっていた若者も相当数いたのだろう。
    ノスタルジーに陥らず、記憶の捏造もせず、
    ちゃんとかつてあった事実を描く。
    色あせずにそのまま描かれる60年代のリアル。面白かった!
    表紙に描かれた江口寿史のイラストが、
    激しい活動に飛び込んでいく少女の姿そのまんまで美しいです。

  • 小説というよりはエッセイ。私より10才年上の作者の12才から22才まで1960年代のことが書かれている。へそ曲がりでみんなが絶賛するものにはそっぽを向くところが私とよく似ている。ゲバ棒振るっていた人たちが必ずしも正義とか政治的目的を持っていたわけじゃないんだと教えられた。

  • 著者の亀和田氏は全共闘の残党が始めた劇画アリスの編集長だった。アメリカンポップスを愛し、それを一夜にして壊滅させたビートルズを敵視する。
    そんな著者の本を読んでみようと思ったのは、ひとえに江口寿史の表紙に惹かれたからだ。
    反戦高協は中核派の高校生組織。そのメンバーの美少女は四谷のお嬢様進学校の数少ない活動家で、著者の恋人であった。
    そんな恋愛話やアメリカンポップスの話を織り交ぜながら、浪人時代から成蹊大学(浪人してるから安倍総理とかぶっているのでは?)における、反体制活動を中心に語った本である。
    当時の学生運動がどの様な雰囲気の中で行われたのかが、よく分かって面白い。
    機動隊との攻防(学生からの投石から身を守る為、逮捕した女子学生を人間の盾として機動隊の外側に配置。盾となった女子学生は皆血だらけに)、中核・革マル・民青の確執(なぜそこまでいがみ合うのかはいまひとつ理解できないが)、警察と仲良しの体育会系学生とのバトル(バリケード封鎖を解除しようとする運動部員にコンクリートブロックを投下。皆「人殺し」などと罵りながら逃げ惑う)・・・どれも今では忘れ去られたような活動ぶりが新鮮である。
    新宿西口地下広場。今は地下通路と称されている訳は、そこでの活動行為をした者達を、即逮捕できる様に改められたとのこと。どんな事でも理由が有るものなのだなぁ。

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