池上彰の世界の見方 中東: 混迷の本当の理由

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  • 小学館
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レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093885553

作品紹介・あらすじ

中東情勢の基本が驚くほどよくわかる

国際紛争の震源地ともいえる中東。
イスラム過激派によるテロが頻発し、大勢の難民が欧州に流入。
なぜこんなことになってしまったのか?
その答えを見いだすには、歴史のどの地点から見直せばよいのか?
池上さんは、現在の中東の混乱は、1978年のソ連によるアフガニスタン侵攻から振り返るとわかりやすい、と言います。
自称「イスラム国」(IS)が誕生して世界でテロが頻発するようになるまで、約40年の間に何があったのか?
大国の身勝手、イスラム教の宗派対立、土地や資源をめぐる争い。
理解しがたい中東の真実が、池上さんによって鮮やかに解説されます。
本書は、池上彰が選ぶ独自のテーマで、世界の国と地域を解説する『池上彰の世界の見方』シリーズの4冊め。
中東とイスラムの基礎・基本がよくわかります。

【編集担当からのおすすめ情報】
中東だけをテーマに、基礎からじっくり解説した池上さん初の「中東本」です。
こんがらがった糸をほぐすように、誰にもわかるように解説する、池上さんの真骨頂の本です。

感想・レビュー・書評

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  • この本は中高生向けに書かれたということですが、それでも中東は、宗教や民族のあたりが難しく、理解しにくい箇所もありました。でも、今まで全く知らなかったことがかなり理解できました。中東を理解する1冊目の本としてはかなり良書だと思います。

    第一章「混乱の始まり」から見る中東
    第二章「戦争とテロ」から見る中東
    第三章「地理・民族・歴史」から見る中東
    第四章「イスラム教」から見る中東
    第五章「石油利権」から見る中東
    第六章「難民大発生」から見る中東

    特に一番の問題点であると思われる「戦争とテロ」の項目のまとめを覚書のため、以下抜粋します。

    ソ連が「国境を接している国に、自分たちのいうことを聞く政権をつくろう」という勝手な都合で、アフガニスタンに攻め込んだことがそもそもの発端でした。東西冷戦でソ連と対立していたアメリカは、これはソ連を叩く絶好のチャンスだと考え、アフガニスタンの反対勢力を支援した。その反対勢力の中からオサマ・ビンラディンという鬼っ子が生まれた。
    湾岸戦争をきっかけに、オサマ・ビンラディンはアルカイダを使ってアメリカに対し大規模なテロを仕掛けた。それに怒ったアメリカが、アルカイダのいるアフガニスタンを攻撃し、さらにブッシュ大統領の私怨もあってイラクも攻撃し、フセイン政権を倒した。しかしアメリカのいい加減な統治で、イラク国内は大混乱し、内戦が勃発。その中からさらに過激な自称「イスラム国」が生まれ、世界中でテロを起こしてきた。

    要するに、ソ連とアメリカの身勝手な思惑によって、中東の大混乱が引き起こされたということです。
    とりわけアメリカの責任が大きい。
    いろんな国の思惑や民族・宗教が複雑に入り混じって、理解するのは容易でないと著者も語られています。

    あとは第五章「石油利権」の問題もわかりやすく、興味深かったです。

  • 中東はひたすら物騒な印象で、宗教に血眼で偏狭なイメージを持っていました。正直今でもそういう印象は拭い去れないです。これだけ世界中にイスラム教徒がいて身の回りには全然いないのも影響しているのかなと思います。個人に立ち返ったときに、一つの国にも色々な主張や生き方が有る事が分かるのだけれど、集団として捉えた時にはひと塊の「イスラム方面の人たち」としてしか見えないのが現状です。
    国ごとの成り立ちや主張、ニュースで散々見てきた事件や戦争の意味。先進国と言われる国々がいかに他国を食い物にしてのし上がってきたか。パレスチナ問題なんて普通に考えたらまともな国がするような事ではない。ここまで火種が大きくなって誰も消せなくなっているのに、それでもまだ各国の思惑が入り乱れている。人間は愚かだと照明するような出来事です。
    と、偉そうに書いては見たものの、ぼんやりととらえていた中東の問題を分かりやすく書いてくれている本書のおかげです。非常に分かりやすいうえに他の国、時間軸も整理されれ因果関係というものを実感する事が出来ます。僕のように物事よく分かっていない人間にとても効く本です。

  • 世界を定期的に学ぶと何故か新しい視点で観られる

  • この一冊で、アメリカvsソ連 / ユダヤ教vsキリスト教vsイスラム教 / 過激化組織の原点 / 石油の戦い / 移民・難民が一気にわかる。いつか子供に絶対に読ませようと思う。

    詳細は下記。
    https://note.com/t06901ky/n/n47ae11f492e4

  • 中東には色々な問題があるなと。この本でその背景を知った。
    いつかは訪れたいと思っているイスラム文化の国。
    それまでにもっと文化を理解しておきたい。

  • 湾岸戦争の経緯
    イラクによるクウェート侵攻
    クウェートはもともとオスマン帝国時代、イラク南部の州だったが、そこを占領したイギリスが勝手に独立させる→もう一度自分のものにしようとイラクが侵攻
    パパブッシュは多国籍軍を組んでイラクを攻撃した。これは、イスラム教vsキリスト教の構図になるのを防ぐために多国籍軍を組んだ

    イラクから自分も攻められる、と思ったサウジアラビアが、アメリカに助けを求めた
    このアメリカ軍駐留に猛反発し、国外追放されたのがビンラディン

    アメリカがアフガニスタンのタリバン政権を攻撃したが、多くはパキスタンに逃げ込む。タリバン政権崩壊後はアメリカ軍とNATO軍がアフガニスタンに駐留。政権打倒後も、ブッシュはアフガニスタンをほったらかしにした。
    その後、イラクが核査察を拒否し、核兵器を持っているのではないか?という疑惑だけでイラクを攻撃。(湾岸戦争のとき、イラクvs米多国籍軍で戦っているため、もともと仲が悪かった。)アフガンに駐留している部隊をイラクに転戦させた。
    フセイン政権打倒後に、一党独裁だったバース党の党員を首にしたところ、公務員が全員いなくなり大混乱に。→その後の自由選挙で多数派のシーア派が政権を握り、スンニ派への復讐が始まる→内戦状態に
    ここから、スンニ派の中で過激派組織が台頭。アルカイダが接近。こうしてイスラム国が生まれた。
    お隣のシリアもアラブの春の影響で、独裁政権打倒の機運が生まれる。
    アサド政権(イラン・ロシア支援)vs反政府軍(アメリカ・サウジ支援)の内戦が始まり、そこに目をつけたのがIS国。

    アラブ首長国連邦→7つの首長国が集まって構成された国家だが、大統領はアブダビ首長、副大統領はドバイ首長が世襲している。

    もともとあったパレスチナ国と後からできたイスラエル国で、国土の99%を占め、残りの1%はエルサレム(国連管理地)とした。中東戦争でイスラエルがパレスチナ全土を占領。ガザ地区、ヨルダン川西岸地区も奪取

    1993年、イスラエルとPLOが、ノルウェーの首都オスロで秘密裏に和平交渉を行う。(オスロ合意)
    この結果、ガザ地区とヨルダン川西岸地区がパレスチナ自治政府のものになる。

    石油が出るサウジのような国が豊かになる一方、出ない国が貧しくなる「南南問題」が勃発
    シェール革命によりアメリカが世界最強の産油国になる、世界的な石油価値の下落→米はOPECに加盟していないため、アラブ国により価格統制が効かない
    ロシア(OPEC非加盟)はアラブ諸国と組んで減産方針を取ったが、アメリカは対立路線を貫いた。
    →そのため、サウジと米との関係が少しずつ悪化している

    日本はほぼ難民を受け入れていない。第3国定住(難民の出身地の近くの国が受け入れられた後、裕福な遠くの国に移すこと)がこれから始まるかもしれない

  • 安定の分かりやすさ

  • アフガニスタンの侵攻、タリバンとアルカイダ、
    アラブの春にイスラム国・・・
    一つ一つの出来事はニュースで聞きかじってはいたものの
    カオスな状態で脳内に放置されていた中東問題。
    この本を読むと、それらが見事につながって
    あっという間に整理整頓されるという
    実にミラクルな快感を味わえます。
    (学ぶ楽しみが味わえると言ってもいいかも・・・)
    あくまでも入門シリーズなので、それぞれの出来事はさらりと触れているだけなのですが
    中東の歴史から宗教まで、手っ取り早く知ることができて
    おススメです。

  • ちらちらと筆者の方の反米が見られるのはちょっとどうかと思うけど(裏を読み過ぎ?)事実だけを拾って読めば本当にわかりやすい入門書。イスラム=テロとこわがっていてはいけないし、日本の石油王に対する夢と誤解は解いた方がいい。

  • 中東の現状を知るためにイスラーム教への知識欲が優っていたが、「石油の利権関係に国家の発言内容が左右される」という一文(意訳)で、石油の動きなど経済的観点から中東問題(に限った話ではないが)へ目を向けることの重要性を改めて実感した。

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著者プロフィール

ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業。NHKで記者やキャスターを歴任、94年より11年間『週刊こどもニュース』でお父さん役を務める。2005年より、フリージャーナリストとして多方面で活躍中。東京工業大学リベラルアーツセンター教授を経て、現在は名城大学教授、東京工業大学特命教授、東京大学客員教授など。著書に『見通す力』『おとなの教養――私たちはどこから来て、どこへ行くのか?』『はじめてのサイエンス』『おとなの教養2――私たちはいま、どこにいるのか?』(以上、NHK出版新書)、『伝える力』(PHPビジネス新書)、『そうだったのか!現代史』(集英社文庫)、『わかりやすさの罠』(集英社新書)など多数。

「2021年 『おとなの教養3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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