池上彰の世界の見方 ドイツとEU: 理想と現実のギャップ

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  • 小学館
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本棚登録 : 78
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093885805

作品紹介・あらすじ

EUとは何か、ドイツの役割と共に解説

2度の世界大戦という苦い経験から、戦争のない平和な世界をつくるという大きな理想を掲げて誕生したEU。国境をなくし、通貨を共通にして、人、モノ、お金の移動を自由にしていった。
しかし、移民や難民の流入を招いてEUの結束は揺らいでいる。イギリスがEUからの離脱を決め、各国で自国第一を掲げる政党勢力が伸長した。
理想と現実の狭間で悩むEUはどこに行くのか?
実は統合にはドイツが強大になるのを抑え込む意味もあった。しかし、今やドイツはEUのリーダー格になっている。戦後のヨーロッパでのドイツの役割と共にEUを読みとく、池上オリジナル解説。
本書は、池上さんが選ぶ独自のテーマで、世界の国と地域を解説する「池上彰の世界の見方」シリーズの5冊め。都立戸山高校での特別授業をもとに構成。


【編集担当からのおすすめ情報】
ヨーロッパでリーダーシップをとるドイツを視座にEUを解説するところが池上オリジナルです。原発廃止、移民・難民の積極的受け入れなど、日本と反対の選択をしているドイツの戦後の歩みは、知らないことがいっぱいです。

感想・レビュー・書評

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  • EUの成り立ちと、ドイツがナチス時代から現代に掛けてどれだけの努力で世界の信頼を得たのかが分かりやすく書かれています。毎度思いますが僕のような初心者には本当にありがたいです。深くまで書かれていても興味が湧かないと全然頭に入らないですからね。これはすっと入ってきて、ちょっとわかったような気になります。
    EUはヨーロッパの国々が集まって、アメリカやロシアに対抗する意味以外に、ドイツがまた暴走しないように監視するという意味もあったんですね。第二次世界大戦の重みというのはこれからも長く残っていくし、これからの世界の為に忘れてはならない事です。
    ドイツが誠心誠意国際社会へ謝罪して、国民へも戦後教育を徹底してナチスドイツが起こした戦争を忘れずに綿々と伝えていく姿勢は本当に見事です。移民を無制限に受け入れるというメルケル首相の方針を、西ドイツで戦後教育を受けた人々は当然の事として受け止め、東ドイツで生まれ育った人々はナチスが悪かったのであって、国民は悪くなかったと教育を受けているので、受け入れ難く感じているという事も興味深いです。人の考え方というのは教育と啓蒙によって成立していくんですね。
    僕は重要な事は国民投票すればいいじゃないかと安易に思っていましたが、ナチスはドイツ国民が国民投票で絶大な支持を受けた事によって誕生したと知ってびっくりしました。熱狂した国民が冷静さを欠いて選ぶことが、必ずしも国民の総意と言えるのかというと確かに疑問です。

    EUでユーロという共通貨幣を使用している事によって、各国独自での金融政策が難しくなっている理屈がよく分かりました。好景気のドイツは金利が安すぎると締め付けが効かなくなる恐れが有り、不景気のギリシャでは金利が高すぎると経済が回らず回復しない。このバランスを取ろうとするとどっちつかずになるということ。なるほどね、想像もしなかったけれども一種類の金融政策で複数の国をコントロールするのは難しそうです。

    それにしても子供の頃はがっちり固まった世界だと思い込んできましたが、その頃せいぜい戦後50年位だったわけで、これ以降もめまぐるしく世界は変わっていくんですね。漠然とは分かっていましたが具体的に色々な国の思惑を知ると、いかに世界平和が綱渡りかがわかります。
    今世界は激動の道を歩んでいます。何も変える力は無くても知らずに巻き込まれるのは御免なので、地道に情勢を見守りたいと思います。

  • ハリウッド映画もユダヤ人によって作られたとは、衝撃

  • 教育や宗教など環境が国を造る上でいかに重要かということがよく分かった。
    世界の見方シリーズはほとんど読んだけど今回の「ドイツとEU」編が一番衝撃的。
    結構EUは知ったつもりでいたので余計。

  • 最初に題名を見た時に変だと思った。
    なぜ、「ドイツとEUなのか?」
    ドイツは、EUの一部ではないのか?
    しかし、読んでいくうえでEUにおけるドイツの役割や重要性が見えてきた。

  • 世界史の中でもヨーロッパ史は各国の思惑が交差しておもしろい。特に第一次世界大戦前の帝国主義時代なんて、まるで泥沼で昼ドラよりもおもしろい。

    しかしさすがにいつまでもケンカしているわけにもいかず、いかにケンカしないでやっていけるようにするかを模索しだしたのがEC(EUの前身)ということですが、これが実はドイツ抑え込み作戦だったとは。そして皮肉にも今のEUはドイツ主導になりつつあると。だからタイトルは「ドイツとEU」なんですかね。実際本文も、EUを知ると同時にドイツをがっつり知るような内容でした。第一次世界大戦で負けたドイツ→ひどいインフレで不満高まる→ヒトラー登場・・・あたりからしっかりおさらいできます。

    ありがたいのは巻末のEU加盟国データ。つい名前を忘れそうな国があったり、また逆に意外な国が加盟してなかったりと、いろんな気づきがあります。

  • ヨーロッパの統合の歴史。EUの課題点。第二次世界大戦後、ドイツの強大化を抑える役割をはたしたEUであるが、現在の中小国のEU加盟での経済の格差による混乱。そしてイギリスの脱退でドイツを中心にしたEUになる可能性が強い。これからのEUの進む道は。

  • 池上さんが都立戸山高校の生徒さんを相手に行った授業と質疑応答。
    池上さんの「ベルリンの壁は、どことどこを分断していたのでしょう?」の問いに
    「西ドイツと東ドイツじゃないんですか?」の答え。
    戸山高校の生徒さんでも私みたいな勘違いする子がいるのね!

    私はベルリンの壁に思いを馳せるたびに、
    「北朝鮮と韓国が統一されたらいいのに」との思いも募っていました。

    しかし、池上さんによると、確かに韓国の人たちにもその思いがあったそうですが、東西ドイツが一緒になったあとの状況を見て考えが変わったと。
    西ドイツは日本と並んで世界でも有数の経済力を誇る国になっていたし、東ドイツも社会主義の中ではトップレベルの経済力でした。
    ところが一緒になってみたら、東ドイツはあまりに貧しく、西ドイツ経済のお荷物となってしまい、ドイツ経済は一時的に大きく落ち込みました。
    韓国も当時は経済が急激に発展していました。もし一緒になったら、韓国が沈没してしまう。
    東西ドイツの統一を見て、急激に韓国の中で統一の機運が薄れてしまったそうです…。

    また、最近エルサレムのことが話題になっていますが、この本で初めて知ったことがあります。
    日露戦争のとき、莫大な資金が必要で、日本政府はロシアと戦う資金調達のために戦争国債を発行します。
    日本という極東の小さな国がロシアと戦争しようとしている。
    相手は大国ロシアです。日本に勝ち目なんかないだろう。どこの国もそう考え、資金調達には苦戦するだろうと思われていました。
    でも、もしロシアが日本に負ければ、ロシアの体制も変わり、ユダヤ人差別が軽減されるかもしれない。
    そう考えたユダヤ人金融業の人たちが、日本の国債を世界中に売りさばいてくれたのです。

    その影響があったかは知りませんが、第二次世界大戦時の杉原千畝の勇気ある行動でたくさんのユダヤ人の命が助かりました。だからイスラエルは親日なのです。
    今ここでユダヤ人ともめたくないなあと思います。

  • 12人まち

  • 戦後ドイツの東西分裂は書にもあるように、社会主義と資本主義の比較そのもの。だけど、それだけで数十年の間に格差が生まれる社会とは怖いものです。

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著者プロフィール

池上 彰(いけがみ あきら)
1950年、長野県生まれのジャーナリスト。東京工業大学特命教授、京都造形芸術大学客員教授、名城大学教授、信州大学・愛知学院大学特任教授、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会理事を兼任する。
慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年から2005年までNHKで記者として勤める。以降、フリーランスのジャーナリストとして活動。ニュース番組で人気になった。2012年から2016年までは東京工業大学リベラルアーツセンター専任教授を勤め、定年退職後も学生教育に関わっている。

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