天国と、とてつもない暇

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 221
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093886444

作品紹介・あらすじ

詩の世界に新風を吹き込んだ詩人の最新詩集

現代を生きる若者たちを魅了した詩集三部作(『死んでしまう系のぼくらに』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『愛の縫い目はここ』)を経て、今、未知の世界がこの詩集から始まる。若き言葉の魔術師が贈る最新詩集、待望の刊行。

《私には本当は私しかいないというそのことを、/季節の境目でだけ、思い出します。/生きていれば幸福より優しさがほしくなる、/この指で与えられるものがひとつずつ、ふえていく、/散りゆく世界、積もる白、私の人生、私の、/私への、果てのない、果てのない優しさ》――(「自分にご褒美」最後の6行)

《きみはかくじつに誰かに愛されるし、かくじつに一人ではないし/それでも孤独があるという花畑なんだ、ここは。/燃やそう、だから一緒にすべてを燃やそう、次の太陽にみんなでなろう》――(「冬の濃霧」最後の3行)

《軋むようだ、/骨が軋んだ、その時の音のように、/小さく、みじかく、私にやってくる、感情。/名前をつけて、いつまでも飾ることは、できない、/腐っていくから。/それでも、その瞬間の、小さな音、/それが、私の声をつくる、/身体から旅立つ、声を。/おやすみ。/私は、あなたが懐かしい。》(「声」最終連)

漢字、ひらがな、そして、句読点までもがポエジーを奏でる。
その上、タテ組、ヨコ組、行替え、行間の空白――斬新な詩行の列がポエジーを支える。

感想・レビュー・書評

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  • またコップを割ってしまった。代わりのを買えばいいよと貴方は言う。残骸にチクリと赤い痛みが走り、ああ、貴方の代わりは居ないのだと気付きました。私の心が割れても、貴方は私を捨てないでいてくれますか。
    近過ぎると壊れてしまうものがあることも、もう知っている。信じることをやめた瞬間から、指の隙間から零れ落ち失ってしまう陽と陰があることも知っている。大人になるほど知っていくのは幸か不幸か、答えはきっと、空の上。
    苦しみから逃れようとしても無駄だ。傷を消そうとしても無駄だ。私は私の痛みを抱え、生きていく。人を傷付けても、自分を傷付けても、涙は重力には逆らえず、私の真ん中を浸し重くする。心から笑える瞬間があった。人肌が優しい時間があった。そんな時だけ、きっと汚れは漂白される。いいじゃないか、汚れていたって。
    真っ白になれる瞬間を、私は幸せと呼びます。諦めず、痛みの数だけ皺を増やし生きていく者を、私は人間と呼びます。

  • 詩を読んでも結局なんなのかはっきりわからないけど、それがいいんだよね。
    独特な感性を持っていて、この不思議な文章の羅列に魅了された。
    なんか円城塔を彷彿とさせるような感じだった。私だけかな?
    あとがきまで詩になっているのが好き。

  • 前回の三部作以来の詩集。どれも静謐という言葉が似合う。静かに終わりが近づいている、そんな優しい詩が多かった気がする。個人的には「おやすみ」の最後の部分がとても好きだった。そして巻末の初出を確認せずに「生存戦略!」を読んだときはびっくりしたが、ピンドラを知っているからこそこの詩を読んだときに湧く喜びがある。

  • 詩はやっぱりよくわからないのだけれど、よくわからないまま強く惹かれる、きれい。
    「かるたの詩」「神隠し」「二十歳」「夏の深呼吸」がすき。
    「夏の深呼吸」は特に好き。

  • 残りにくい言葉が増えている。
    忘れやすくなっているだけか。

  • 最果タヒの一見難解な、独特な言葉遣い。だけど自然にすーっと染み渡るように深くわたしの中に入ってくるような感覚。そしていつだったか覚えていないけれど、たしかに昔感じた気持ち。それらが詩中の言葉によって掘り起こされるようだった。
    七夕の詩が好きです。

  • 最果タヒのことばに、たまに自分のことを言っているのか、
    とどきっとする。
    日常のありふれた瞬間を、彼女の独特な言葉づかいでかかれるそれは、理解の難しいものもあるけれど、
    未来の私にはしっくりきているのかもしれない。

    いつ読んでも、その時折の解釈ができる。

    最果さんの詩は、自分の中でちゃんと味わいたい。

  • 私はこの本にとても救われた。
    何度でも読み返したい。そんな本です。

  • 「重力の詩」と「いただきます」がいい。

  • 申し訳ないんだけれどもなぜだか今回全然心に刺さらなかった……。随分と丸くなってしまったなあという印象を受けたんだけれども。

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著者プロフィール

最果タヒ(Tahi Saihate)
1986年、神戸市生まれ。2008年、『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』『愛の縫い目はここ』、小説に『星か獣になる季節』『かわいいだけじゃない私たちの、かわいいだけの平凡。』『渦森今日子は宇宙に期待しない。』『少女ABCDEFGHIJKLMN』『十代に共感する奴はみんな噓つき』、エッセイに『きみの言い訳は最高の芸術』、対談集に『ことばの恐竜』がある。最新詩集に、2018年9月刊行の『天国と、とてつもない暇』。

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