0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書

  • 小学館 (2018年11月29日発売)
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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784093886451

作品紹介・あらすじ

落合陽一の本史上最も平易!でも深い

「今のような学校教育はいらない」と語るのは、現代の論客といわれるメディアアーティストの落合陽一氏。
「人生100年時代」に本当に必要な教育とは?デジタルネイチャーの時代に身につけておくべきことは?・・・学び方のヒントがわかる“教科書”です。

「学び始めるのに適正年齢はない」ので、この“ゼロヒャク教科書”は、学生、社会人、子育て中の親、生涯教育について知りたい人・・・あらゆる世代や立場の方に響くものがあるはず。

落合氏自身の幼児期から今に至る軌跡もたどり、時代を牽引する天才がどう形成されてきたかも探ります。

読み解くのに思考体力を要するといわれる落合氏の本の中でも、平易に書かれているので、落合陽一を知る入門書としてもぜひ手に取ってほしい一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • とても長いタイトルの本。そして、作者自身のもつ肩書も盛りだくさん。
    人生100年をどう生きるか、がテーマの著書。
    多様性の時代を生き抜くため、柔軟な心で学び続けることが必要だと主張する。
    内容は、幼児教育、学校教育、大学の選び方、オンラインでの学び、
    論理的思考の育て方など、多岐にわたる。

    興味深いと思ったのは2点。

    1点目は子供の教育について。
    自身も小さい子供を持つ父親である著者。
    豊かな経験が子どもの能力を育むと、経験を積ませることの重要性を強調する。
    そして、『偏りのある能力』を大切にするべきだと。
    これは、自分からやりたいと望んだことを経験させることで得る能力のこと。
    興味を持ったことは、危険でない限り自由にさせてあげよう。
    そして、興味のないことを無理強いするのはやめた方がいいと。

    2点目は、落合氏自身が立ち上げた産学連携スキームについて。
    国立大学の教員は税金から給料をもらうため、企業との共同プロジェクトが難しい。
    そこで、大学を辞職し、大学の中に自分が経営する研究室を設立した。
    自分の会社から自分を大学に派遣する形で准教授に着任。
    大学からでなく、自分の会社から給料を支払う仕組みを作ったのだ。
    大学から施設や設備の提供を受け、企業からの出資と人材派遣が可能になった。
    そして、プロジェクトに関わる学生に賃金の支払いもできるという。

    100年の人生を生き抜くためには、
    頭と心を柔軟にして既成概念にとらわれることなく、
    学び続けることが必要というのが著者の主張だ と最初に書いた。
    この柔軟で多様性を内包する新しいスキームこそが、
    その具現化のひとつではないかと、感心してしまった。

  • 一生懸命勉強するのは大学生まで、その後の社会人人生はそこまでの蓄積で生きていくー。そんな時代ではもちろんないし、むしろ社会に出るとそれまでの日本の教育とは全く違うアクティブな学習が求められてくる。
    多くの人はそこのギャップに苦しんだ経験があるのではないだろうか。

    この書籍では、改めて我々がどのように学習するべきで、何がその学習への態度を難しくさせているか、どのようにマインドシフトすることが望ましいのかを落合陽一氏の実体験交え伝えてくれる。

    書籍中でも言及されているとおり、社会人でもロジカルシンキングできない人は意外なほど多い。
    いや、できるほうが少ないのではないか。
    また文系理系での区別、もっというと学科単位レベルでの区別が染みつき、自分の限界を定めてしまう人もいる。
    なにより「正解」ありきでの教育の弊害か、相手の顔色を伺いながら「正解」を探そうと会話する人のなんと多いことか。
    しかしこの書籍は「何才からでも学ぶことはできる」という救いを与えてくれる。

    とかく難解という印象を持たれがちな落合陽一氏の著作だが、本書は非常に読みやすい。それでいて本質は他の著作と同様に深淵であり、落合陽一入門としてもとてもよい一冊。

  • 人生100年時代において、どうすれば社会に出た後も学ぶ意欲を持ち続ける人を育てられるのかという課題に対して、落合氏の考えがまとめられた一冊。

    近代教育で求められていた標準化や均一化とは対をなす多様な時代だからこそ、自分なりの判断を持つことが大切であり、専門性を二つ以上持つキャリアデザイン志向が求められている。
    親として子どもに五感を磨くために多様な経験をさせ、偏りがあってもいいから「やりたい」と思うことを見つけられるように関わり、応援できるようになりたいと思った。

  • ここに書いてあるように、複数の柱を作り、好きなことを仕事にしていければ幸せだろう。

    でも、落合さんのように行動が実績に繋がるのはごく一部だと思う。
    なので、万人に向けたものではないと思う。
    トップを走る落合さんなので、どうしても一流思考がにじみ出てしまうのではないか。

    例えばアートが必要という説明でも、アートを如何に言語化できるかという所に重きを置いている。
    私はアートは既成の価値観から外れた、自分なりの価値を鑑賞者が感じられさえすれば、それが言語化できなくても(大部分の鑑賞者は言語化できず、頭の先がジンジンするような、涙ぐむような感動を感じるだけでは?)それこそがアートの力だと思う。

    評論ができる、現代アートとしてコンセプトをきちんと説明できるというのは、説明、表現できてこそ価値がある。というどちらかというと経済的な実利的な考え方になってしまうのではないだろうか。

    ムダであることに価値があると感じられること。そこまでいくと凄みが出る。
    落合さんは、今後歳を取っていく中でそこまでの凄み、人間の大きさが出てくると良いのではないでしょうか。

    好きなことを続けること、学び続けること、それを大切にするのは生きがいになると思うので、そこはとても興味を持てた。

    好きなことをやれば、おのずと生きていけるというのは、やはり選ばれし者だけではないのだろうか、仕事もきっちりやるけど、好きなこともあって続けられるというのが幸せなのだと思う。

  • 【なぜ】会社おすすめ本。報道番組でよく拝見する方だったので思考を少し垣間見たかった。
    【どう】3.5点の★3(番組のコメントのイメージ通り多角的な視点を小さい頃方鍛えてきたのだろう。幼少期の記載よりも前の話が見たかった。)
    子供への接し方、自分自身の学びの姿勢を持ち続ける方法、今後大切になっていく能力を1冊で得られる良い本。

    たたじ、途中の著者の人生(特に幼少期以外)の部分はあたりは不要に思えてならない。なぜなら、筆者の素質にあった育ち方や考え方なので、本の趣旨とは少し逸れている、また全員に響く話ではないと感じたから。(そういう意味でやはり私は伝記のようなものは好まないのかもしれない)

    【学び、備忘録】
    ・ヤムチャになるな「佇まいに気をつけよ」
    ・学校は「学ぶことを練習する場」
    ・親は子供に「佇まい」を見せることか仕事

  • 自分がこれまで生きてきた時代と、今から生きていく時代は既に全然違ってて、これからますます変わっていくんだろうなぁと。そんな時に、自分がこれまで受けてきた教育を同じように今の高校生に与えていっていいものなのかなぁと思ってた時に出会った本で、いろいろ刺激を受けた。
    人に理解させるためのプロセスにはサービス的な「説明型」と禅問答のような「対話型」がある。どちらの技術も必要だけど、特に今からの教育では後者が求められるんだろうなぁ。自分もそちらにウェイトを置いていきたい。
    これからは誰かの基準で良し悪しを判断するのでなく、常に自分をアップデートして、自分の考えがその時の時代や状況に合っているのかを考え続けていかなければならない。
    また忘れた頃に読み直したい1冊、買って良かった。

  • 落合陽一氏の子供の教育に関する書籍。
    ここ数年、著書を定期的に出されているようですが、著書を読んだのは初めてでした。

    初めてお名前を聞いたのも著書が大学生の時で、ご結婚されたこともお子様がいらっしゃることも存じませんでした。

    たまに知らない言葉がでてきますが、比較的読みやすいように感じました。

    世代の違う人と話す機会があまりない私にはこういう本をたまに読むのも刺激があって面白いなと思いました。

    家族を大事にしているところが文面から伝わってきて、教育は家族からも受けていた。といっているように感じられました。

    私が印象に残ったのは、
    観察眼を磨く

    頭で考えることも必要だとは思いますが、感覚を磨くことも能力を高めるというところで有効なのかもしれないと思いました。

  • 現代の魔術師と呼ばれる著者の考えてる事をまとめた本。羅列すれば、当たり前の事だが実践できる人は少ないだろう。

    とにかく好きなことに注力するに限る。文系理系両刀遣いになる。観察力を高め、世界を見る目の解像度を上げる。アートを鑑賞するときは自分の物差しを持ち、誰かの受け売りにならない。どう感じるかは自分だけのもの。

  • 学び続けること、自らをアップデートし続けていく姿勢を持つこと、またそういった人を育んでいくことについての、落合さんの考察。
    超早口で難しいことを喋っている印象とは全然違って、めっちゃ分かりやすく書かれていて、あぁ、頭の良い人はこういう文章も書けるんだなと尊敬の念を感じながら読み進めた。
    そんな落合さんがどんな環境で育ったのかが分かる二章が一番面白かった。とにかく子ども自身の興味関心を追求させること、多様性のある環境に身を置くことが大事なんだなと改めて感じた。

  • さすが他分野に秀でて結果を出していて、かつ現役で教育、経営、研究、芸術、子育てまでに携わっているだけあって回答の根拠が多面的で説得力がある。

    第2章では落合氏本人の半生を細かく紹介していて、なるほどその結果が現在に至るのか、と興味深い一例を知れる。

    実家が都心、実家に著名人や要人が頻繁に訪れる、近所に画家がいる、東大院生やプロピアニストを家庭教師につけられる、高級食材を日常的に食べられる、オシロスコープや楽器や本を自由に手に入れられる、青春十八きっぷを買える、出張に子供を連れて行ける…と「環境と金銭にめぐまれてんなヲイ!」とツッコミ所を入れたい場面が引っ切りなしに登場する。再現性はほとんどない。
    とはいえこれは一例でしかないので、この章は娯楽的なもの。大事なのは他の部分にある。

    特に後半の「4つのアプローチ」というのは大いに参考になった。とりわけ、言語的アプローチと、統計的思考と解析的思考の部分はこれまで私は触れてこなかった言説だったので子育てに盛り込んでいきたい。

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著者プロフィール

メディアアーティスト。1987年生まれ。JST CREST xDiversityプロジェクト研究代表。
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了(学際情報学府初の早期修了)、博士(学際情報学)。
筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、准教授、京都市立芸術大学客員教授、大阪芸術大学客員教授、デジタルハリウッド大学特任教授、金沢美術工芸大学客員教授。
2020年度、2021年度文化庁文化交流使、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサーなどを務める。
2017~2019年まで筑波大学学長補佐、2018年より内閣府知的財産戦略ビジョン専門調査会委員、内閣府「ムーンショット型研究開発制度」ビジョナリー会議委員,デジタル改革関連法案WG構成員などを歴任。

「2023年 『xDiversityという可能性の挑戦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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