- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093886949
作品紹介・あらすじ
アフリカゾウ虐殺の「真犯人」は誰だ!?
アフリカで、年間3万頭以上のゾウが、牙を抉り取られて虐殺されている。
野生のゾウは絶滅の危機に瀕し、今後十数年のうちに地球上から姿を消してしまうと言われている。
その犯人は、象牙の国際密猟組織。
元アフリカ特派員の筆者は、密猟で動くカネが過激派テロリストの資金源になっている実態に迫り、背後に蠢く中国の巨大な影を見つける。
そして問題は、象牙の印鑑を重宝する私たち日本人へと繋がっていく。
密猟組織のドン、過激派テロリスト、中国大使館員、日本の象牙業者。
虐殺の「真犯人」とは、いったい誰なのか――。
選考委員満場一致の第25回「小学館ノンフィクション大賞」受賞作。
◎高野秀行(ノンフィクション作家)
「ショッキングな現実が勢いある筆致で描かれ、『ザ・ノンフィクション』の醍醐味がある」
◎古市憲寿(社会学者)
「実は日本が加害者だった? ゾウと我々の意外な関係性が明らかになる」
◎三浦しをん(作家)
「私は、今後も象牙の印鑑は絶対作らないぞと決意した」
【編集担当からのおすすめ情報】
開高健ノンフィクション賞、石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞も受賞した筆者による、
すべてのノンフィクション好きにお読みいただきたい一冊です。
感想・レビュー・書評
-
このままだと絶滅してしまう…アフリカにて象牙の密輸組織を追う。
最後の方にありましたが、やはり、無関心。注目されないと気付かないものがある。この本を読んで、像のこと、象牙のこと、現状を知りました。無関心なのかもしれません。気づきが必要でした。衝撃的な事実、真相に迫る著者、なかなか興味深い本でした。象の頭がえぐられ、なんて思いつきもしなかった。こんなにも象が殺されていたなんて。黒幕を追う内容で読み応えがありました。そして、玉虫色の日本。象、象牙の実情を語る貴重な一冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
象牙というものは生活から遠く、日本とはあまり関係ないじゃないかと思っていました。
日本ではで主に印鑑に使われるけれど、ワシントン条約前に入ったものが流通しているんだろうと軽く考えていたのです。
現在象の密猟が後を絶たず、あと十数年でアフリカから象が消滅するであろうという実態が書かれています。
密猟の方法は、銃で群れごと皆殺しにして、顔を抉り取って象牙だけ持ち去る。小象も何も全て虐殺します。
通信機器と武器が発達した現在、ひとたまりもなく群れごと消滅させられる象達。1970年代には130万頭ほどいたのに2016年には40万頭余りに減少しました。主に人間が虐殺した事によって1/3になってしまったのです。
密猟は主に地元の人達によって行われています。そしてその象牙を買い上げる中国。さらにその象牙を世界で一番消費しているのは何と”日本”なのです。大事な事なんでもう一度言います「「「日本」」」です。
買う人がいるから売る人がいる。これは経済の基本です。誰も買わなければダイヤモンドだって金だってゴミでしかありません。「これからは象牙は輸入しない取引全面禁止」と何故ならないのか。実際に国際的に取引を禁止しようという動きになり、当事者の中国自身が取引全面禁止という方針をぶち上げ、中国の象牙女王と言われている人物まで逮捕したのに、日本は、違反している訳ではないから取引を継続するという。
世界中で完全に取引禁止になれば、全てが闇取引になる為マーケットが縮小していつか虐殺が無くなるはず。なのに日本一国が頑なに取引を続けることによって、値段が下がっても現地の人は虐殺を止める事はないのです。何しろ他に現金を得る方法が無いから。
日本さえ全面取引禁止にさえ同意すれば、アフリカゾウが殺される事は激減するはずなのに、それでも象牙を使いたいですか?そういう風に僕らが他国の人から聞かれたらどう答えればいいのでしょう。
これ相当重要な国際問題だと思うのですが、誰も知らない事ですよね。日本国内では報道しないようにしているのでしょうか。本書には顔を抉り取られた象の写真も載っています。これを見ても象牙の印鑑欲しがる人いるんですかね。
最後に書かれている無知と無関心によって引き起こされている事だという意味の言葉が印象的です。僕らはくだらないニュースばかり与えられて飼育されているんではないでしょうか。お笑い芸人の不祥事なんて正直どうでもいい事です。
しかもこの象牙売買の利益は、現地テロリストの最大の資金源となっているそうです。罪深い、本当に罪深いです。
本屋大賞ノンフィクション部門にノミネートされています。是非この事実を広めるために大賞を取って頂きたい本です。 -
第25回小学館ノンフィクション大賞受賞作。
悠々とした体躯、長い鼻、大きな耳。
巨大な哺乳動物、ゾウは、動物園でも人気者だ。
だが、野生のアフリカゾウは現在、1日100頭もの勢いで狩られている。
彼らのもう1つの大きな特徴、そう、「牙」のために。
このままでは絶滅も時間の問題と言われる。
密猟者たちは、食用にするためにゾウを狩るのではない。
牙を得るためだけに殺すのだ。
手っ取り早く牙を取り除くために、顔を抉られた痛ましいゾウの写真を目にした人もいるかもしれない。
大きな牙(tusk)を持つ「タスカー」と呼ばれる雄は、どんどん減ってきている。
本書ではこの実情を丁寧に追う。
さまざまな証言から浮かび上がってくるのは、「密猟組織」の存在だ。組織には、ゾウの生息域の政府の内部の者も関わっている。賄賂やコネ、利権。その裏には、外部の者が容易に切り込むことのできない、意思決定プロセスがある。
牙を手に入れれば大金が手に入る。
元々はレンジャーとしてゾウを守る仕事についていた者が、失業して密猟に手を染めることもある。背に腹は代えられぬのだ。
黒幕として存在していたのは、中国資本である。中国人は金払いもよく、象牙市場の大きな支え手であり続けた。
しかし、2016年、中国政府は1つの重大な決断をした。国内の象牙市場を閉鎖するというのだ。このニュースは世界的にも大きな驚きを持って迎えられたが、実際、2018年以降、中国での象牙取引は違法となった。
ではこれでアフリカゾウは絶滅を免れたのかといえば、残念ながらどうもそうではないようだ。象牙取引が引き続きなされている国もあるからだ。金が動くのならば、取引はなくならない。中国国内でも闇の取引が続くことにもなろう。
そして引き続き象牙取引を行っている国の1つは日本である。
著者は、実際に現地で自ら象牙取引の「闇」に迫っていく。
密猟のキーマンに、もう一段、迫り切れなかった部分はあるのだが、そこも含め、緊迫した状況がよく描き出されているノンフィクションと言えるだろう。
現地の取材助手に対する敬意にも、著者の誠実な姿勢が感じられる。 -
アフリカの象牙の密売組織に迫ったノンフィクション。
末端の象狩りをしている人たちは一般人。だが、全滅の危機にある象の顔をえぐる蛮行を犯す。だんだんとその先の犯罪組織に近づいていき、さらにそれが中国政府とつながっているかもで。。。
と、最後にそこからこのノンフィクションは意外な展開を見せる。象牙の取引の全面禁止を提案する中国とそれに反発するわが日本。日本政府の言い分も分かるが、これは厳しい。
結局、密売とは消費する末端がいる限り続いてしまうのだ。象牙の密売を巡るこの物語が自分達の物語であるこの結末は見事。 -
恐らくこれが今年最後の本になるだろうがいい本だった。
それにしても凄いのは中国の外交力というか、恥を知らない駆け引きの上手さ。
東アフリカの一部の国と共謀して象を殺して牙だけを取って、その牙を密かに売り捌いているのは中国だと誰もが思っているのだが、そんなことはおくびにも出さず、国際会議の場で、国内取引絶滅を提案する図々しさ…。
それに引き換え、わが日本の姑息なこと。
国内に象牙の取り扱いで生計を立てている人がどのくらいいるのかは知らないが、彼らを守ることの方がアフリカ象の絶滅より大事なのだろうか…。 -
著者 三浦英之さんの作品は読み終わって、始まる。読み終わったことが、新しいスタートとなる。
象牙に限らず、そのものの背景を知ることで見えなかった事が、見えてくる。
象牙の密猟だけではなく、著者が自身の子供に、「人間と象の共生」について話す場面があるが、これを載せた事の意味についても、深く考えていきたい。
三浦英之の作品






この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。






牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追ってを本棚に登録しているひと
-
- ぽくん
- 2020年11月16日に登録
-
- 岐阜聖徳学園大学図書館
- 2020年9月29日に登録
-
- 学習院大学 法経図書センター
- 2020年2月28日に登録
-
- 崇城大学図書館
- 2020年1月9日に登録
-
- 日本大学歯学部
- 2019年12月27日に登録
-
- 高梁城南高校 図書館
- 2019年12月2日に登録
-
- lib-haramachi-hs
- 2019年11月7日に登録
-
- スピン
- 2019年8月4日に登録
-
- mf3893
- 2019年7月14日に登録
-
- nakoyuki
- 2021年2月6日に登録
-
- 中年太郎
- 2021年1月10日に登録
-
- みー
- 2021年1月8日に登録
-
- じぇにあ
- 2021年1月1日に登録
-
- R
- 2020年12月24日に登録
-
- 消費組
- 2020年11月29日に登録
-
- yokoichi26
- 2020年10月24日に登録
-
- ken518
- 2020年10月24日に登録
-
- ぶどうとう
- 2020年9月16日に登録
-
- 米田耕太郎
- 2020年10月31日に登録
-
- masa328
- 2019年11月3日に登録
-
- 頚椎ヘルニア
- 2019年7月14日に登録
-
- 寒
- 2019年6月7日に登録
-
- gomousan
- 2019年6月3日に登録
-
- kasairumiko
- 2019年5月16日に登録
-
- shatoyama
- 2019年5月14日に登録