物語の海を泳いで

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 177
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093887700

作品紹介・あらすじ

角田光代が読んだ、至福の400冊!

「本のなかに書かれた言葉、そこで起きたできごと、そこで生きる人々、そこに漂う空気を五感と感情で体験すること、それが、本を読む、ということなのだ」
心に残る、あの本この本を、なんと400冊! 直木賞作家・角田光代のとびきりの読書案内。
全三章の構成。
第一章「物語に出合う」――少女時代に読んだ『長くつ下のピッピ』『100万回生きた猫』から、太宰治・林芙美子・開高健・向田邦子、そして大島弓子・岡崎京子の漫画作品までを愛をこめて描く、感動的なエッセイ16篇。
第二章「心に残る、あの本この本」――ジョン・アーヴィング、イーユン・リー、ベルンハルト・シュリンク、ミランダ・ジュライから井上荒野、伊坂幸太郎、江國香織、奥田英朗、桐野夏生、佐野洋子、橋本治、吉田修一、綿矢りさ、など、小説からエッセイ、ノンフィクションまで、多彩な作品を語る書評(感想文)。読むだけで思わず本屋さんに走りたくなる、熱い読書案内60本。
第三章「わたしの読書日記」――2007年秋から2018年夏までの幸福な読書の日々を描く29篇。まさに〈本がわたしを呼んでいる!〉。

《どこでも本を読む。ソファでもベッドでも風呂でもトイレでも読む。
外に出るときも鞄に本を入れる。入れ忘れると途方に暮れる。
旅に出るときも日数に合わせて何冊かの本を持参する。
この本の冊数選びを間違うと、これまた旅先で途方に暮れる。》――「あとがき」より

感想・レビュー・書評

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  • 角田光代さんには何度か実際にお会いして、小説創作理論の講座を拝聴したことがあります。
    小説を書きたいと思って受講したわけではなく、ただそういうお話をお聴きするのが好きなだけなんですが。
    講座後のサイン会や懇親会は参加しなかったので、実は角田さんの御著書は、単行本を買ったのはこれが初めてです。他の作品もほとんど拝読していますが、図書館とか文庫だったと思います。角田さんごめんなさい。

    先日拝読した池澤夏樹さん、春奈さんの『ぜんぶ本の話』にもありましたが、この方は人間がすごくお好きな方なんだろうなあと思わせる作品ばかりですが、書評にも如実にそれが現れていると思いました。
    そして、さすが小説家の書評だと思いました。
    書評がひとつひとつの作品と言えるほどの主張を持っていて、読みごたえがありました。
    ただのブックガイドとは、ひとあじ違うと思ました。
    新聞や雑誌に一度載ったものを、350編まとめたものです。
    ただし、著者がやはり何人かの作家の方に偏りがあって、全くその作家に興味がない方だと、ずっと読んでいるとつらいかもしれません。
    純文学系、中間小説が多く、エンタメ系はあまりなかったように思います。

    一番この本で心に残った書評は、
    私たちそれぞれの「克美荘」ー文庫版特別エッセイ
    椎名誠『哀愁の町に霧が降るのだ(上・下)』(小学館文庫)です。
    角田さんはこの長い長い感想の中で「十代のときはここに描かれている彼らの過ごす時間に猛烈に憧れた」とおっしゃっていますが「四十代も半ばになって読み返すとある時間の終焉が痛いほどわかるし、共感できる。私たちはだれしも克美荘を出なければならない、ということも」とおっしゃっておられます。「『何者か』を引き受ける。かつての孤独は消え、私たちはだれかとつるまなくてもよくなる。ほかの孤独がやってくるが、それはひとりで抱え込まなくてはならない種類のものだ」。
    本当にそうだと思いました。今だから私もよくわかります。誰とももうつるまなくなった、今の、私だからわかりました。

    本当にこういう感じで、書評が続くので、本を読む前にお腹いっぱいになってしまった感はありました。



    ところで、蛇足になりますが、私が以前参加していた、小説・ライターの講座ですが、今年の8月はコロナ禍の為、オンラインで行われると連絡がきています。
    オンラインですから全国どこからでも参加が可能になりました(オンラインでなくても全国から通ってらっしゃる方がたくさんおいででしたが)
    原則として毎月第四日曜日の午後2時から講師の先生をお招きしていますが、今月の講師は、三浦しをん先生です。一回ごとの参加が可能です。

    もしご興味があられる方がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。詳細をお知らせします。
    来月以降もオンラインかどうかはまだわかりませんが、予定されています。

    9月北村薫・10月平山夢明&福澤徹三・11月角田光代&井上荒野&江國香織・12月野村進・1月桜庭一樹・2月有栖川有栖・3月佐伯一麦

  • 泳ぎ切れずに溺れる猫でした、、、

    物語の海を泳いで | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09388770

  • 角田光代さんの書評や文庫解説など、計400冊にもわたる読書案内。
    私なんかブクログでちまちま感想文書いてるだけでも心が折れそうになる時があるのに、こんなに膨大な量の書評を仕事として受けて的確にまとめあげて文章にして読ませるのって、凄すぎる。
    読んだことがある本も、読んだことがない本もたくさんあった。あぁ本ってほんとうにたくさんあるんだなぁ。読みたい本がまたぐんと増えた。

    ところで、私はしょっちゅう、一生かけても読み切れないほど読みたい本が存在することに至福を感じては同時に一生かけても読みたい本を読み切れないことに絶望している。
    この絶望はあまりにも深くて、読みたい本が増えるたびに至福と絶望で一人勝手にぐちゃぐちゃな気持ちになってた。
    本当につらくてつらかったんだけど、でもこの本の中で角田光代さんは、
    「どれほど長く生きても、どれほど旅をしても、どれほど多くの活動をしても、人生において知り合う人がかぎられているのと同じだ。」
    と言ってくれていて、私はそれでようやく、すとんとふに落ちるものを感じた。

    「これほど多くの人が同じ時代を生きているのに、かぎられた人たちとしか出会えず、さらにかぎられた人たちとしか、関係を結べない。それを私たちは縁と言う。ときどき奇跡と言ったりもする。読みたい本をすべて読めないと嘆くより、縁あるいは奇跡を、この先できるだけ見落としませんようにと思うしかない。」

    ああ、確かにそうだ、と。
    読みたい本がどれほど積み上がっていこうと、出会える本は限られている。何年もずっと読みたいと思ってるのに未だ読んでいない本があれば、衝動的に出会い即座に読んで感激する本だってある。
    あとどれだけの本と出会えるのかは分からないけど、焦らずに、絶望したりせずに、これからの縁をただ楽しみに待ってみよう。
    だってこの本を読んで、角田光代さんのこの言葉に出会えたことも、それこそまちがいなく奇跡なのだから。

  • 読みたい本がふえて困ります。本当に。もちろん角田さんの本だって読み返したくなるし。同じ本や同じ作家読んでたら嬉しくなるし。奥田英朗さんの『罪の轍』については、自分もわりと最近読んだから記憶に新しく、その上でレビューってこう書けばかっこいいんだなと感服。平松洋子さんを推されてるのはファンとして嬉しかった。

  • ものすごい量の本の日記
    興味深く、読みたい本がでてきた。

  • 角田光代の書評集だ。
    総じて書かれた当時は新刊だったのではないかと思われる作品が多い。翻訳小説から写真集まで、さまざまな作品について語られている。

    その文章のひとつひとつが、ぐっと胸に迫るような強さがあって、読んでみたい、と思ったり、いやもしかしたら実際に読むよりもこうして角田氏の書評を読んだ方が感動するんじゃないか、と思ったりする。

    一冊通して読むと、気に入りというか、よく出てくる作家名に気づく。それが、自分の好きな作家だと、素直に嬉しい。

    読んだことのない作品がほとんどで、あとがきで著者自身が書いているように、この世には膨大な書物があって、さらに生み出されていて、それらを全部読むことなんて到底不可能なのだと思えば、この世にあふれる書物のひとつからその「一冊」を選び取って読む、ということは、すごい縁とか奇跡なんだな、と思う。

    本を読むことの喜びがしみじみ伝わる一冊だった。

  • 角田さんの読まれている本がわたしの読書遍歴と遠くないものがあって親近感が湧いたのと、わたしが忘れてしまった本たちをすごく面白そうに感想を書かれているものだからまた読みたくなる。
    藤野千夜さんの本久しぶりに読みたくなった。

  • 2020 9/15

  • 途中から流し読みなので、★での評価はしません。

    角田さんの読書案内エッセイ集。『私たちには物語がある』も『ポケットに物語を入れて』も積読中なのに、こちらを先に手に取ってしまった。しかも、途中から流し読み。一気に読むより、気が向いたときパラパラとめくったり目次を眺めたりして、気になったところを読みたいと思って。手元に置いておきたい本であることには間違いありません。
    私も、生きている間に読みたい本を全て読むことは不可能だと悟り絶望を感じていました。これはもう、角田さんのおっしゃるとおり嘆くのではなく、本との良縁を願い、信じるしかないですね。

  • 角田光代さんの言葉の使い方がとても好き。だから小説よりもエッセイが好き。たまらん。

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著者プロフィール

角田光代(かくた みつよ)
1967年、神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
1990年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。受賞歴として、1996年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞を皮切りに、2005年『対岸の彼女』で第132回直木三十五賞、2007年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、2011年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞、2012年『紙の月』で第25回柴田錬三郎賞、同年『かなたの子』で第40回泉鏡花文学賞、2014年『私のなかの彼女』で第2回河合隼雄物語賞をそれぞれ受賞している。
現在、小説現代長編新人賞、すばる文学賞、山本周五郎賞、川端康成文学賞、松本清張賞の選考委員を務める。
代表作に『キッドナップ・ツアー』、『対岸の彼女』、『八日目の蝉』、『紙の月』がある。メディア化作も数多い。西原理恵子の自宅で生まれた猫、「トト」との日記ブログ、「トトほほ日記」が人気。

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