ネグレクト 育児放棄―真奈ちゃんはなぜ死んだか

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093895842

作品紹介・あらすじ

3歳の女児は段ボール箱でミイラのように餓死していた。2000年12月10日、愛知県名古屋市近郊のベッドタウンで、3歳になったばかりの女の子が20日近くも段ボールの中に入れられたまま、ほとんど食事も与えられずにミイラのような状態で亡くなった。両親はともに21歳、十代で親になった茶髪の夫婦だった。なぜ、両親は女の子を死に至らしめたのか、女の子はなぜ救い出されなかったのか。3年半を超える取材を通じてその深層に迫った衝撃の事件のルポルタージュ。第11回小学館ノンフィクション大賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 2000年に愛知県で起きた、3歳の少女が段ボールに入れられ遺体で見つかったという虐待事件のルポ。

    現在でこそ、児童虐待は大きく取り上げられ世間の注目も集まり、病院や学校のみならず、一般人でも自分の周りでその疑いを感じられる案件を見かけたら通報しようという気運が高まっているが、この事件が起きるまでは、そもそも児童虐待という言葉もそれほど知られていなかったという。
    このセンセーショナルな事件をきっかけに大きく注目を集めるようになったわけだが、確かに、冒頭で描かれている発見時の遺体の悲惨さは、およそ現実のこととは信じられない、信じたくない、こんな非道な仕打ちを実の子供にできる親が、この世に存在するものなのだろうかと恐ろしくなるほどである。

    そこだけに目を向ければ当然、加害者となった保護者への憤りは誰しもが強く感じるだろうし、厳罰を求めたくなるのも無理はない。
    ただ、このような虐待事件の難しいところは、加害者を厳罰に処すれば解決するという類のものではないというところだ。

    多くの場合、その加害者自身が被虐待児であったなど生育環境に問題を抱えており、そしてそれは世代を跨いで連鎖していることがほとんどだ。さらに悪いことに、数十年前に比べ、核家族化、プライバシー偏重主義などで家庭が社会から孤立しているという状態は顕著であり、そのことが虐待の増加、潜在化を促進してしまっている。

    加害者の処罰を叫ぶのは簡単だ。だが本当に虐待を無くしたいなら、今もその負の連鎖の中で苦しむ人への、ループを断ち切って抜け出させる支援が絶対不可欠なのだ。
    不幸な生育環境にあっても適切な援助を受けることができたおかげで、その虐待のループから抜け出せている人も少なからずいるのだ。

    家庭が孤立しがちな現代、子育てが孤立しない、社会で手を差し伸べることができる仕組みを作って、虐待で命を落とす子供を減らしていかなければ。

  • 「ゆさぶられっこ症候群」によりしょうがいが残った疑いのある娘を どうしても愛することができなくなった両親。
    ほどなく授かった息子が順調に育つのを見るにつけ、娘のありのままの 姿を受け入れることができず、次第に育児放棄へと陥っていく様子を 時系列を追って生々しく描いている。
    実際に起こった事件に基づくノンフィクション。
    どうしてこのような事件が起こってしまうのだろう、という やりきれない気持ちと同時に 「自分も本質的にはこの母親と大して変わらないのではないか」と思ったのを覚えている。
    「子どもは社会が育てるもの」という認識が広く一般的になって欲しいと思うのは過度な期待なのだろうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「過度な期待なのだろうか。」
      そうあるべき筈なのですが、国(政治家)の考え方が、税金を払いたがらない金持ちを優遇(甘い汁を吸わせて貰ってい...
      「過度な期待なのだろうか。」
      そうあるべき筈なのですが、国(政治家)の考え方が、税金を払いたがらない金持ちを優遇(甘い汁を吸わせて貰っている)しているから、無理でしょうね。
      地域で小さなコミュニティでも立ち上げない限り。。。
      2014/04/03
  • ネグレクトは遺伝する。自分の親のようになりたくない、と思ってる子は大抵、親と同じような人生を歩み、結果過ちを犯してしまう。いいかげん気づこうや。

  • 支援側の仕事をしている身としては、こういう家庭にどう関わりを持っていけばよかったのか、どんな支援があればこの子は死なずにすんだのか、読んでいる間ずっと身につまされる思いでした。子どもを愛情を持って育てることがどんなに大切か、その子の子ども、そのまた子どもにまでずっと連鎖していく親子関係を思うと気が遠くなります。他人事じゃないです。

  • 再読ですが引きこまれて読んだ。

  • よく報道される虐待について、その後の報道や
    その経緯についてなかなか知る機会がなく興味もあったので読んでみた本

    この本を読んでみて・・・
    最後に残ったのは怒り、と言うかやるせない気持ち。

    無残な死に方をしていった真奈ちゃんの死を両親が
    確認した場面では切なすぎて涙が出た。
    気付かないならまだしも最後の力を振り絞って泣いていた子供を放置した親って・・・

    両親ともの生育環境要因も理解できなくはないが
    控訴理由した事で身勝手な印象が残り
    数年後にまた子供と暮らすのかと思うと更生を願うしかない。

    出来れば一生こどもを養育できない刑にしたい、が本心。 やった事の責任をまったく理解できていない印象の残る事件でした。

  • 毎日のようにニュースになる幼児虐待。
    何故そこまで?
    と思うけど、
    実際自分が子育てしていた頃を思い出すと、
    たしかに日々思い通りにならなくて
    イライラしたり、時にはどなったり、
    叱る、じゃなくて怒りを覚えることも確かにあって…
    だけど、普通は可愛さが上回り、愛情があり、
    夫婦の助け合いがあり、日々の成長に救われるはず。
    その普通からちょっとずつ離れて、
    気づいたらだいぶ普通じゃなくなってた感じかなぁ。
    ネグレクトは特に、悪意のない悪意というか、
    子育てはひとりではできない。

  • 再読。この事件がネグレクトで子どもが死ぬこともあるということを世間に知らしめたものだそうだ。以後、結構多いもんな。子どもがいない私がいうのもなんだが、子どもを育てるというのは大変なのだ。この事件もいわゆる虐待の連鎖だ。雅美が母に見捨てられて育っているのに、まめにメールしたり、手紙を書いたりしてるのが解せない。今も親にすがる気持ちがあるのか。ある程度の知的能力があればこんなことにはならなかった。この親は中途半端だったのだ。多分もっとできない人はたくさんいて、そういう人は公的機関にも分かりやすい。近所の人にも。でもこういう中途半端にできちゃう人は大丈夫だろうと思われちゃうんだろうな。しかし餓死って。

  • 読売新聞書評で興味持ち読んだ。若い母親は20代~30代の母親がすごく大人に見えてしまう、子育てで悩んでいることをねぎらう、見下した態度をとらない、など今すんでいる場所の生活でも気をつけた方が良さそう。

  • なんと言うか。読んでいて吐き気を覚える本だった。ノンフィクション自体初めて読んだけど少し重すぎたかと思う。虐待は親から子へその子供からまた子へどんどん受け継がれるものらしい。そういう歪んだひとこそ多産な気がする。欲望を抑えられないのか。そういう人間が作られていく様子もそういう人間が子供を作る様子も虐待されて死んでしまった子供の様子も読んでいくうちに黒々とした気分になってすごく嫌だった。

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