ネグレクト: 育児放棄 真奈ちゃんはなぜ死んだか

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093895842

感想・レビュー・書評

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  • 「ゆさぶられっこ症候群」によりしょうがいが残った疑いのある娘を どうしても愛することができなくなった両親。
    ほどなく授かった息子が順調に育つのを見るにつけ、娘のありのままの 姿を受け入れることができず、次第に育児放棄へと陥っていく様子を 時系列を追って生々しく描いている。
    実際に起こった事件に基づくノンフィクション。
    どうしてこのような事件が起こってしまうのだろう、という やりきれない気持ちと同時に 「自分も本質的にはこの母親と大して変わらないのではないか」と思ったのを覚えている。
    「子どもは社会が育てるもの」という認識が広く一般的になって欲しいと思うのは過度な期待なのだろうか。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「過度な期待なのだろうか。」
      そうあるべき筈なのですが、国(政治家)の考え方が、税金を払いたがらない金持ちを優遇(甘い汁を吸わせて貰ってい...
      「過度な期待なのだろうか。」
      そうあるべき筈なのですが、国(政治家)の考え方が、税金を払いたがらない金持ちを優遇(甘い汁を吸わせて貰っている)しているから、無理でしょうね。
      地域で小さなコミュニティでも立ち上げない限り。。。
      2014/04/03
  • よく報道される虐待について、その後の報道や
    その経緯についてなかなか知る機会がなく興味もあったので読んでみた本

    この本を読んでみて・・・
    最後に残ったのは怒り、と言うかやるせない気持ち。

    無残な死に方をしていった真奈ちゃんの死を両親が
    確認した場面では切なすぎて涙が出た。
    気付かないならまだしも最後の力を振り絞って泣いていた子供を放置した親って・・・

    両親ともの生育環境要因も理解できなくはないが
    控訴理由した事で身勝手な印象が残り
    数年後にまた子供と暮らすのかと思うと更生を願うしかない。

    出来れば一生こどもを養育できない刑にしたい、が本心。 やった事の責任をまったく理解できていない印象の残る事件でした。

  • 毎日のようにニュースになる幼児虐待。
    何故そこまで?
    と思うけど、
    実際自分が子育てしていた頃を思い出すと、
    たしかに日々思い通りにならなくて
    イライラしたり、時にはどなったり、
    叱る、じゃなくて怒りを覚えることも確かにあって…
    だけど、普通は可愛さが上回り、愛情があり、
    夫婦の助け合いがあり、日々の成長に救われるはず。
    その普通からちょっとずつ離れて、
    気づいたらだいぶ普通じゃなくなってた感じかなぁ。
    ネグレクトは特に、悪意のない悪意というか、
    子育てはひとりではできない。

  • 再読。この事件がネグレクトで子どもが死ぬこともあるということを世間に知らしめたものだそうだ。以後、結構多いもんな。子どもがいない私がいうのもなんだが、子どもを育てるというのは大変なのだ。この事件もいわゆる虐待の連鎖だ。雅美が母に見捨てられて育っているのに、まめにメールしたり、手紙を書いたりしてるのが解せない。今も親にすがる気持ちがあるのか。ある程度の知的能力があればこんなことにはならなかった。この親は中途半端だったのだ。多分もっとできない人はたくさんいて、そういう人は公的機関にも分かりやすい。近所の人にも。でもこういう中途半端にできちゃう人は大丈夫だろうと思われちゃうんだろうな。しかし餓死って。

  • 読売新聞書評で興味持ち読んだ。若い母親は20代~30代の母親がすごく大人に見えてしまう、子育てで悩んでいることをねぎらう、見下した態度をとらない、など今すんでいる場所の生活でも気をつけた方が良さそう。

  • 三畳間の、わずかな空間に置かれたみかん箱大の段ボールの中に
    真奈ちゃんは両膝を曲げた形で入れられていた。


    直角に曲がった関節は固まっており、
    2、3週間は動かしていなかったことを物語っていた。



    死亡時の身長は三歳児女児として平均ほどだったが、
    体重はわずか5キロ。
    標準の13.6キロに4割に満たなかった。

    胃内容物は20ミリリットル。大さじ一杯ほどの
    茶褐色の粘液成分だけで固形物はなかった。



    虐待をする親は
    キレやすいとか、意地悪だとか、性格が悪いのかだとか
    体罰主義なのだとか、攻撃的なのだとか、
    そんな事じゃないのかなぁと思っていたのですが

    全然違って、
    真奈ちゃんを死なせてしまった父親も母親も、
    この本で見る限りそんな攻撃的な人柄ではなくむしろ内公的で、
    周りからの目を気にしていたり、繊細でデリケートな印象でした。

    真奈ちゃんが生まれた頃は、
    沢山写真をとって、とてもかわいがっていた。


    けど二人とも子供のころから、
    キツい家庭で育ってます。

    もの心ついた頃からせまい、汚い部屋。
    父から母への家庭内暴力、
    両親からの虐待、離婚、帰ってこない親、極度の貧乏、など。。




    その過酷さに圧倒されて正気を保ち生き延びるため、

    辛い現実には
    視覚や、感情にふたをすることを小さい頃に覚え
    シャットアウトして生きて来た
    真奈ちゃんの父親と母親。


    だから真奈ちゃんの発育が遅れてきて、
    どんどん体調がわるくなり、
    一生懸命世話をしても上手く行かない育児の問題に
    向き合って戦うことができずに


    真奈ちゃんを重荷に感じた時、その過酷さに
    シャットアウトすることを選んでしまったようでした。



    虐待というのは
    なんとなく手をあげちゃう、という問題ではなく

    その人の昔からの育った環境など
    深く深く深いところに原因があるのだなーと思いました。



    私子供とか育てれんのかな〜っという軽い気持ちで読み始めたんですが
    すごい記録書でした!

  • 悲しくなった。一部の情報だけの報道で、一方的に責められて、人間じゃない!くらいの言い方をされている加害者も、別の側面からは被害者でもあったという話。もちろんだからって許されることではないけど、そこまで精神的におかしくなってしまうこともあり得るだろう環境もそこにはあったんだ、ってそういう世界もあることを想像できない人はこれを読んでも「やっぱりどんな理由があっても子殺しは鬼畜だよねー」と言いきってしまうんだろうけど。父親の、父親としての自覚の足りなさにもイラッてきた。若い母親の小さい肩には重かったんだろうな。

  • この本を読んだら、外で小さな子どもを見ると「この子はちゃんと愛情を受けて育ってるんだなぁー」と思うようになった。
    このような親への援助を考え直していく必要があると思う。

  • これは読んだ後引きずりました。むごいです。読んでいる間も涙が止まらなくて読んだ後2週間くらい落ち込んでいました。3歳で愛情を知らず亡くなった真奈ちゃんの気持ちを考えるといたたまれない…

  • この本は、子ども・家族とは、子育てとはなにかを捉え直すことにもつながるかもしれません

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