我思うゆえに我あり 死刑囚・山地悠紀夫の二度の殺人

  • 小学館 (2009年10月16日発売)
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感想 : 9
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  • 本 ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897228

作品紹介・あらすじ

第15回小学館ノンフィクション大賞優秀作受賞の本作品は、2009年7月、判決確定から2年という異例の速さで、戦後最年少で死刑執行された山地悠紀夫の母親殺し、そして姉妹殺しという2度の殺人事件を、『週刊ポスト』の記者として取材した著者が、関係者取材、裁判傍聴、弁護記録、精神鑑定書など、その取材データすべてをつぎ込んで書き上げたノンフィクション・ノベルです。

感想・レビュー・書評

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  • 推測の域ですぎないのに、こんなこと書いていいのか?疑問が残った。

  • 犯人がこの本の通りの人物なら不幸な生い立ちによる同情心も吹き飛ぶ位不快で気持ち悪い。まあ犯人も人から同情されるのは嫌だろうけど。興味本位だが一度犯人の墓参りにでも行ってみたい。

  • 死刑囚を主人公としたノンフィクション小説。たとえ殺人者であっても同情できる部分もあるところが、同じ人間という感情を持つ生物なんだなと思える。しかし、悪は悪であり、その国の法で裁かれるべきである。裁判の仕方によっていろいろと変化もありそうである。日本の司法は難しい。
    作品としては、急に主語が変わることがあり、読みにくいと感じることも多々あり。

  • 犯罪を犯した人が、よく不幸な生い立ちを言います。私は、それにはまったく共感できません。
    なぜなら、そのような境遇であっても、真っ当に生活している人が大多数だからです。
    みんな同じこと考えだと思いますが。

  • 物語に入り込んで一気に読んでしまった。

    この事件もこの死刑囚も覚えていないが
    結局は快楽殺人者だったということか。

    人の気持ちがわからないというアスペルガーの説明もあり
    自分もそういうところが多少あるかなぁと思う。

    しかし見栄のためのくだらない嘘を何歳になっても繰り返しつくところ、
    殺人自体に快楽を覚えているところは全く理解できない。

    アル中でDVの父親でも
    すごく好きだったというのは不思議だ。

    釣りに行った、おもちゃを作ったというプラスの思い出が
    マイナス面を消してくれたのだろうか。

    子供が育っていく環境や思い出は本当に大事にしないといけないな。

  • 16歳の時に母親を殺し、少年院に入り、出所して21歳で今度は全く自分と接点のない大阪の姉妹宅に押し入り強盗殺人を行い死刑になった山地悠紀夫にせまったルポ。

    家庭環境もあまりよくなかったようだけど、山地悠紀夫はそれよりも本人の資質のようなものがそうだったんだなとしか考えようがない。

    他人の気持は「言葉としては理解できる」けれども共感性がまるでない。その山地が生涯唯一まともに好きになった女性のことも書かれていた。


    趣味が意外だった。

    オペラ、クラシック音楽、中学校の時に宗教と哲学の本を読み漁る、ローマや世界史に興味があるなど。

  • 2005年11月17日に大阪で姉妹2人を殺傷させた山地悠紀夫の人生を描いたノンフィクション。週刊誌の記者らしい読みやすい文章で、事件の仔細までリアルに述べられている。姉妹を襲った本当の理由は、山地が死刑に処された今となっては知る術もないが、何の落ち度もない、面識もない、前途有望な2人の若い女性の命が無残にも奪い去られたという事実は決して消えないし、忘れ去られてもならない。だが、山地自身について言うならば、自分を表現することが極めて不得手な人間だったと言えるのではないだろうか。しかも、周囲はそんな彼の特性を知ってか知らずか、彼自身を理解しようと努力しなかった。その為、自然と人の輪から孤立してしまう。孤立した山地を訓戒しようとすれば、人を信頼することを知らない彼は、「どうせ自分は理解され得ない」と臍を曲げ、自らの殻に閉じこもり、ワザと意に反する言動をとる。この循環を『不幸』と呼ぶならば、山地の人生はこの『不幸』の無限連鎖だったのではないかと思う。何とかして『不幸』の蟻地獄から抜け出そうともがいた結果が、自暴自棄ゆえの姉妹殺害事件だったことは到底許されるべきではない。しかし、山地を自己表現の未熟な人間にした出生や環境には一切の非がないと果たして言い切ることができるだろうか。山地悠紀夫のような犯罪者を生み出さないために我々が今できることとは、一体何なのだろうか。

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