十三億分の一の男 中国皇帝を巡る人類最大の権力闘争

著者 :
  • 小学館
3.93
  • (22)
  • (57)
  • (26)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 311
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093897549

作品紹介・あらすじ

習近平の一人娘に世界初直撃!

現代の中国皇帝・習近平が政権を発足させて以来、中国共産党には粛清の嵐が吹き荒れている。検挙された共産党員は、25万人超。なぜ習近平は、そこまでして腐敗撲滅に取り組むのか。

実は、側近すら信用しない習近平の「不信」と「警戒」は、自らを放逐しようとした最高幹部たちによるクーデター計画の露見から始まっていた――。中国13億人からたった一人に選ばれた中国皇帝、その男が直面する生存闘争は、まさに「死闘」とよぶに相応しい。

本書は、優れた国際報道の貢献者に贈られるボーン・上田賞を受賞した朝日新聞記者の徹底的に「現場」にこだわり抜いた取材から、中国共産党の最高機密を次々と明かしていく。

例えば――。
●習近平の「一人娘」を米国・ハーバード大学の卒業式で世界初直撃
●ロサンゼルスに存在した中国高官の「愛人村」への潜入
●側近が次々と逮捕された今際の江沢民が習近平にかけた「命乞い電話」
●「世界秩序」を決めた米中トップ会談、語られざるその中身
などである。

中国共産党が最も恐れるジャーナリストが、足かけ8年にわたって取り組んだ、中国報道の集大成となる衝撃ノンフィクションが、ここに解禁される。

【編集担当からのおすすめ情報】
たしかな取材を基にしたスクープノンフィクションであると同時に、著者が中国共産党の監視の目をくぐって、いかに取材対象に近づいていくのかを味わえる一級のエンターテイメントでもあります。中国高官の「二号さん」が暮らす「愛人村」に潜入する際の臨場感を”仮想体験”してみてください。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 共産党大会での胡錦濤退席。李克強の引退。江沢民の死去。そして、中国全土に広がるコロナ対策を契機にした民衆のデモ。異例の習近平3期続投。今、中国で何が起こっているのか。この本は、これらの事件より以前に書かれたものだから、直接的な解説にはならないが、そこに繋がる関係性がよく分かる。単なるゴシップ本ではなく、中国共産党の動きに対し、叡智を養うきっかけになる。

    江沢民は引退後も共産党の重要事項は江沢民に報告すると言う内部規定を作り人事や重要政策に決定権を持っていた。そうすることで胡錦濤の権限を弱めるための仕掛けを作っていた。江沢民vs胡錦濤。胡錦濤から権力を受け継いだ習近平だが、共通の政敵を意識していた事がわかる。

    一方で習近平自身も、簡単に今の地位に昇り詰めたわけではない。比較されていた李克強は北京大学法学部で常にトップ。抜群の頭脳であり、一時、序列の最下位にいたと言われる習近平とは異なるエリート街道。時に、江沢民が習近平を担いで、胡錦濤派の李克強を追い落とす。共産党内の序列が入れ替わる。江沢民の上海閥と習近平の太子党が共闘し、道が出来上がる。江沢民と胡錦濤の間を上手く掻い潜りながら、権限を次第に強めた習近平。

    そして今、である。あれこれ噂話はあるが、真相は分からない。しかし、噂話の根底にあるものを、この本が解説してくれた気がする。

  • リアル中国

  • 項羽と劉邦の世界が未だに続いているんだと思った. 情報は足で取るという感じの取材記事.さらっと読める.

  • ふむ

  • 20190831 中央図書館
    国家としての統合を果たし、意思決定のシステムを機能させるために、一人のカリスマだけで動いているわけでは決してない。国家あるいは人民、人種?としての道徳や倫理や地勢の条件や歴史や文学や思想や哲学や、何もかもが今の機構や体制を形作っている。もちろん少しづつ変わっていくのだろうが。そういえば令計画なんて人の名前も聞いたことがあったな、ということも記憶の彼方。習近平もそろそろ「次は誰だ」の年代になった。

  • 2015.05.21 HONZより

  • 江沢民、胡錦濤、習近平の戦い。その他の共産党の失脚した幹部達が楽しく読めた。

  • 【頂点への荊道】現場に足を運び,当事者への取材にこだわる中から,著者なりの中国共産党像を描き出した一冊。中国共産党内の権力闘争を主軸としながら,ドキュメンタリー調にその内幕を描いていきます。著者は,朝日新聞社で特派員を務める峯村健司。

    よくここまで取材したなというのが読後の第一印象。一般的な報道ではすくい取ることが難しい共産党の内幕の一端を暴いていく筆は本当に見事です。13億人を擁する大国ですが,ミクロを突き詰めていくとその輪郭までもが浮かび上がってくるものなのかと驚きの念を覚えました。

    〜権力闘争こそが,中国共産党を永続させるための原動力なのではないか。〜

    なんだかんだ言われますが,日本の東アジア報道に極めて質の高いものがあるということを改めて思い起こさせてくれる一冊☆5つ

  • 習近平と李克強の共産党総書記を争った際の駆け引きが面白い。このふたりに加え薄煕来の三人の出世レースだったわけですが、結果的に能力的に一番劣るとみなされていた習近平が権力を手中におさめるというところがなんだかんだいってアジア的という感じもします。
    李克強と薄煕来はずば抜けた能力で周囲の人間に対する要求もきつく、恨みを買うことも多かったそうですが、習近平は引退したもと高官などの家を定期的に訪問することも多かったそうです。若い頃から、人柄は良いが能力は???という評価だったらしい。だけど一度権力を手中に収めてからの行動力は凄まじいですね。薄煕来事件とは実はクーデターの鎮圧であった、という事もこの本では書いてあります。
    その他、中国の関する本といえばやはり
    【ワイルド・スワン(上) (講談社文庫) 文庫 – 2007/3/6ユン チアン (著), 土屋 京子 (翻訳)】でしょうね!一般市民から見た文化大革命がどんなものだったのか?ということの一端をこの本で教えてもらえましたし、衝撃的でした。ちなみに習近平の父親は文化大革命で吊るし上げられ失脚(その後名誉回復)習近平自身も地方へ飛ばされ、かなり貧しくつらい生活を送ったということです。13億分の一の男によれば、竪穴式住居に6年間住んでいた?という記述もありますね。で、そんな権力をほしいままにしていた父親が一夜にして人から蔑まされ、母親も市中引き回しみたいな刑に合わされたことが、習近平の現在に大きな影響を及ぼしていないわけはないですね。ある種の人たちにとって、権力を手にし維持し続けるということは生きるか死ぬか?ということと同義であるのかもしれません。

  • 著者は朝日新聞の元中国特派員。権力闘争こそが、中国共産党を永続させるための原動力ではないかー。「現場」に突入し様々な人に取材をしながら、ドロドロとした政治の世界に踏み込んでいく。この表紙に出ている習近平にしても、決して盤石に立っているわけではない。今このときも殺るか殺られるかの世界に身を置いているのである。中国の公安当局がまっさきに飛んでこないかと心配するような内容だが、その現場力に圧倒される。

全41件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

峯村健司(みねむらけんじ)一九七四年生まれ。青山学院大学客員教授。北海道大学公共政策学研究センター上席研究員。ジャーナリスト。元ハーバード大学フェアバンクセンター中国研究所客員研究員。朝日新聞で北京、ワシントン特派員を歴任。「LINEの個人情報管理問題のスクープと関連報道」で二〇二一年度新聞協会賞受賞。二〇一〇年度「ボーン・上田記念国際記者賞」受賞。著書に『宿命 習近平闘争秘史』(文春文庫)、『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』(朝日新書)がある。

「2022年 『ウクライナ戦争と米中対立』 で使われていた紹介文から引用しています。」

峯村健司の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
マイケル・ピルズ...
佐藤 優
リンダ グラット...
ベン・ホロウィッ...
トーマス・セドラ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×