- 本 ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093897747
作品紹介・あらすじ
死の2ヶ月前、最期に明かした「真実」
【各紙誌大絶賛!】
・書評
読売新聞 「異端経営者の盛衰史」(2017年12月17日付、評者:稲泉連氏)
日経新聞 「変革者の軌跡から探る病根」(2018年2月3日付)
週刊現代 「墜ちた名門の元トップが語る不正と巨額損失の真実」(2017年12月23日号、評者:磯山友幸氏)
週刊文春 「何もかも切ない」(2018年2月1日号、評者:山岡淳一郎氏)
日刊ゲンダイ 「若き頃の活躍と死の直前インタビューの落差」(2017年12月18日付、評者:中川淳一郎氏)
・著者インタビュー
週刊ダイヤモンド(2018年1月13日号)
プレジデント(2018年2月12日号)
・その他
朝日新聞 「折々のことば」(2018年1月22日、文:鷲田清一氏)
【内容紹介】
イランで現地採用され、社長に成り上がるや、米原子力事業を6400億円で買った男は、いつ、どこで、何を、どう間違え、東芝を “奈落の底”に突き落としたのか。
2017年10月初旬、横浜市の自宅で3時間半に及ぶインタビューは行われた。実は、西田氏は9時間を超える大手術、3ヶ月に及ぶ入院生活を経て、ようやく退院したところだった。存亡の危機に立たされていた古巣と同様、西田氏もまた死線をさまよっていた。
――東日本大震災、そして原発事故がなければ、東芝はどうなっていたんでしょうか。
「事故が起きなくても同じような問題が起きたんじゃないでしょうか。先延ばしされただけじゃないかな。すべては経営の問題だから」
この発言から2ヶ月後、西田氏は心筋梗塞で逝去した。享年73。文字通り、最期のインタビューで、何を語ったのか。かつて「平成のスター経営者」と謳われ、昨今は「名門崩壊を導いた戦犯」と指弾されていた経営者の「遺言」である。
【編集担当からのおすすめ情報】
2000年代、顔の見える経営者、そして「選択と集中」の実践者として、元東芝社長、西田厚聰氏は、日本財界の顔でした。東大大学院で西洋政治思想史を学び、恋人を追ってイランに辿り着き、そしてイラン政府と東芝の合弁会社に現地採用された異色の経歴も、氏の出世伝説を引き立てました。しかし、西田氏が社長を退いてから10年にも満たない現在、誰が東芝の窮状を想像できたでしょうか。そして、米国原子力事業の買収をはじめとして、名門崩壊のトリガーを引いたのは、西田氏と糾弾されてもいます。本作は、西田氏という異端の企業人の歩みを追いながら、企業崩壊の内幕を描くビジネスノンフィクションです。
感想・レビュー・書評
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『トヨタ 中国の怪物』で著者の筆致に魅せられて、他の著作も読んでみようと手を出した1冊。
「東芝壊滅」というのはなかなかな言い回しですが、今の東芝は株式市場からも退出したほか、ホームページの「製品・サービス」を開くと、「東芝ブランド許諾商品等(ご案内)」として、切り売りされた事業が並ぶというお寒い状況。まぁ間違いとは言えないか…。
で、その原因を作ったと言われているのが、本著で取り上げられた西田社長、佐々木社長の時代です。宮仕えの身として読んで損はないのではと思って読了しました。
学びがあり、読みやすく文章もコンパクト。個人的に仕事が4月から繁忙期に入ってしまったのですが、業務の後にも気負わず読める1冊でした。
①夢の無いサラリーマンすごろく
②企業のガバナンスとは…
①夢の無いサラリーマンすごろく
気負わず読める1冊でしたが、内容的には読んでて明るくなれる感じではないなと…。
偉くなっても幸せになれる訳じゃないよね…という帰結だし、これは筆致の問題ですが人の無能ぶりが強く描写されている感もあり、一流企業で腕を見込まれた(はずの)人材が采配を誤り、手をこまねいて、言い訳をする様を見るとゲンナリしてしまいます。
著者の書き手としての強さ(西田氏に失敗の要因を問うたり、氏が「変わってしまった」描写をしたり)を感じつつ、勤め人の悲しさが伝わってきます。
②企業のガバナンスとは…
そんな東芝ですが、本著ではあまり描写されていないものの「コーポレートガバナンスの優等生」として、先進的な取り組みをしてきた企業です。
ガバナンスとは、本著で挙げられたような不祥事を防ぐ仕組みであったり、発覚した事象に適切に対応する仕組みだったりすると思うのですが、本件では結局役には立たなかった訳で。。
最後は「人は城、人は石垣、人は堀」なんでしょうが、流行りのコーポレートガバナンスは、実効性を伴うものなのか疑問に思ってしまいます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
元東芝社長の西田厚聡は2017年に急性心筋梗塞のため逝去。73歳だった。東大大学院で政治学を修了し、イランの現地法人を経て1975年に東芝に入社。2005年に社長に就任。米原発設備大手ウエスチングハウス(WH)の買収劇が有名。
09年に社長から会長に退き、相談役だった15年に東芝の会計不祥事が発覚。後任の佐々木則夫社長との確執もあり、両者は東芝解体の戦犯とされる。
本著は、こうした解体劇に至る経緯を追いながら、西田を巡るドラマを描く。東大学者時代から、フィアンセを追ってイランに向かい、人生を変えた。その才能も好意的に語る。一方的に断罪するのではない、バランスの取れた内容だ。何より、西田という一人の男の人生は面白い。
土光敏夫が東芝にチャレンジとレスポンスと言う精神を叩き込んだ。しかしそのチャレンジと言う言葉がやがて目標達成できなかった場合の粉飾を助長する言葉に変質してしまった。
真っ直ぐな明るい勤勉家。しかし、万事がうまくいく訳では無い。組織が歪み、幹部の関係性が拗れ、感情が炸裂する。足下で起こる誤りを見抜くガバナンスはない。東芝をきっかけに社会が変わった面は否めない。見せしめという事では無いが、社会は、インパクトの大きなインシデントでも底上げされていくものなのだろう。
この一連を把握するに適した名著である。 -
『感想』
〇西田厚聰氏と東芝の凋落について著者の取材をもとに語られている。
〇どんなに優秀な人でも組織を動かすのは簡単ではない。社会情勢にも左右されるし、それぞれの正義で動いている人がどれだけでもいて、その結果を負う立場は大変だ。
〇立場が上がれば権力も得るが、そこに利害関係のある者が当然いるわけで、全員がいい目をみられるわけではない。外された方は恨みにも思うだろう。
〇立場が人をつくるところはあるが、立場が人を変えるわけでもある。 -
中途採用という異色のスタートから社員20万人を抱える東芝という大企業の社長となった西田厚聰さんに関する本。ビジネスマンとして、本当に才能があり、実績も残し、すごい人だということは分かったが、最後には欲に溺れ、自分を正当化する。WHの買収、パソコン事業でのバイセル行為。過去を振り返っても、反省しても現実は変わらないが、この方、また歴代社長の判断によってどれほど多くの人が露頭に迷ったことか。内部にいても全く情報が無かったが、こんなやりとりが上層部ではあったのかと。
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経営の原点は自責、当事者意識
自分の手でコントロールできないことが多すぎるからこそ、自分にベクトルを向けるパラドックス
■概要
東芝の栄枯盛衰を1人のサラリーマン経営者である西田厚聰氏にフォーカスし、ドラマチックに見ていく。ウェスティングハウスのM&Aは博打だったのか?3.11と原発事故が無かったとしたら?"不正会計"なのか"不適切会計なのか"?大企業の権力争い、社長指名の実態と経営者の資質...
迫真のノンフィクション
■感想
・経営者は自責というタイトルに関して
不確実性が極めて高く、従業員の生活を背負う覚悟、株主や顧客(競合も交えた市場)といったステークホルダーに向き合い、何より「意思決定」の最高責任者である経営者に必要なものは自責である。
環境のせい、部下のせい、過去からの...こういう言葉が出てくる者は経営者に値しない。西田氏はサラリーマンとしては極めて優秀だったのだろうが、サラリーマン経営者、操業経営者とも呼べないのではないか。様々なフォロー、観点もあって然るべきだが、このインタビューの発言が本当であれば、いくら切り取りが仮にあったとしても酷い考え方である。その反面教師になる個人ドラマだった
→圧倒的当事者意識を持つリクルートがなぜ経営者(何なら起業家)を輩出できるのか?その対偶を見ているようである
・1人のサラリーマンとして捉えると
これは大変優秀な方であるし、婚約者の事情とは自らイランに行って、現地採用→本社採用→社長にまで出世する、というのは圧巻であった。特にイランの国政や環境に翻弄されながらも、東芝の中東進出の足掛かりを作ったことや、後に出てくるラップトップPCの普及と欧州市場攻略に胸躍るものや学ぶものはある
・そもそも経営者任期が短すぎる
4年の社長任期じゃ何もできないし、結果責任を取れないだろう。半導体にしろ、原子力発電にしろ長期で投資判断の是非が問われるのに対して、後任に対する足枷になりかねない意思決定を簡単にしかねないインセンティブ設計に見える。
そこを後任が思い通りに進めないことに対して、他責になるのも納得であり、西田氏の資質というよりは東芝という会社としての経営者選定プロセスが機能不全を起こしており、日本企業の多くが同様の悩みを持つのであれば、その問題点を濃縮した様な企業であった-
海外展開
→なぜ途上国に私が行きたかったのか、が詰まっている
要は途上国だからこそ、色々できるし、逆に障壁もある。それを乗り越えてこそ日本を...海外展開
→なぜ途上国に私が行きたかったのか、が詰まっている
要は途上国だからこそ、色々できるし、逆に障壁もある。それを乗り越えてこそ日本を再興できると考えていた訳ですわね
エース≠経営者
・数字への正しい向き合い方
・なぜ経営者になって変わった?
内紛、政治、権力闘争
・社長ゴール、出世の先にあるもの
→これが間違い。財界ポストも選考フローがあるとかえって"候補者"を見誤る、候補者達が適切に動かないインセンティブになる2024/08/14
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未だに続く東芝の迷走の原点を西田という異色の経歴を持つ元社長にスポットを当てて描いた作品。丹念な取材と読み易い文章で纏められている。
この人の本を初めて読んだが凄く面白く読めた。他の作品も読みたい。 -
取材力が素晴らしい。
聡明な西田氏と、手術後の西田氏の対比が、作者の同氏への愛情と落胆を感じた。
なぜ聡明な東芝の社員が、社長になるとみなおかしくなるのか?結論はでないが、国、政治、国際情勢に翻弄され、サラリーマンとの乖離に変わらずを得ないことが理由だろうか。
国策会社、政商会社の呪いを感じた。
本来は、欧州だと貴族、日本だと旧華族が社長をやった方が良い会社なんだろうな。 -
東芝の不正問題について学びたかったのだが、その辺りはさらりと書かれており、あまり参考にならなかった。
西田氏についても、深く掘り下げて書かれているとは思えず、もう少し厚みのある記述が読みたかった。
巨大企業の社内政治はドラマのようで面白かったし、経団連の事などは勉強になった。 -
東芝が失墜していった背景について書かれた書ではなく、西田とその近くの人物についてフォーカスされた書。ノンフィクションの物語として面白く読めた。西田とのインタビューを書いた章では、著書の西田に対する思い、拘りが透けて読める。
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博士から企業に。
イランの配偶者と魅力ある人物だった西田社長。
どこで間違えたのか、最後のインタビューに集約されている。
児玉博の作品





