日本の近代 猪瀬直樹著作集6 土地の神話 第6巻 (第6巻)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 47
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093942362

作品紹介・あらすじ

『ミカドの肖像』の主役・堤康次郎のライヴァル、五島慶太がデザインした欲望の構図とは。

感想・レビュー・書評

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  • 京都は、土地から離れようとした人びとによって作られた街(東京との違い)
    日本人は仮説なしで資料集めをしがち。だから構図・構造がよく分からない。

  •  私を猪瀬ファンに変えた作品です。

     この著作を端的に言えば、「五島慶太伝」+「東京都市開発論」その比率、3:2。
     前編である『ミカドの肖像』に比べて扱ってる事件が古いものが多いので、その辺の取っ付き辛さがあるかもしれませんが、『ミカド』より文章が上手だなあという印象です。続編扱いですが、単独で呼んでも十分楽しめます。
     資料の引用の仕方も信頼性が高いので安心して読めます。「日本の鉄道史」と「イギリスの都市計画史(田園都市=Garden City)」という一見相容れない要素を結びつけるという発想の素晴らしさには目を見張るものがありますが、その両方に興味がないと結構なボリューム感があるので読んでいてしんどくなる作品だと言えます。

     個人的には容易に入手可能な五島慶太伝の中ではかなり批判的な作品なので「逆に」新鮮で面白いなと思っています。
     猪瀬氏は人を疑うことの本当に巧みな方だと思います(良い意味で)。ただ、五島慶太伝としては田園都市開発にスポットを当てているので、1940年以降の記述に関しては省略も多く、読む人によっては物足りないと感じるでしょう。さらに本論に関係のない人物の解釈については十分とは言えず「不当な評価かなあ」と思う部分もあったりします。
     また、文中疑問として投げかけられている部分が最後まで結論らしい結論が無かったりと、読んでいてどういう方向に落ち着くのかがよくわからない印象も持ちました。

     とはいえ、戦前の都市開発史を論じた読み物としてフツーに面白い作品だと言えます!
     久々に面白い本を読ませていただきました。

  • 東京開発において、渋沢栄一の息子がかかわった田園都市株式会社の発足から、関東大震災、太平洋戦争を経た東急電鉄のかかわりについて記載してある。鉄道が不動産業という認識を持つことで、東急は大きくなっていったようだ。

  • 不動産関係者はとりあえず読んどけ。
    田園都市の夢の始まりと終わり。
    渋沢栄一の最後の夢を食って巨大化する五島慶太。
    東急沿線高級住宅街と東京の鉄道開発がいかになされたか。
    日本の不動産業の始まりの物語。

  • メモ

    ハワードの「田園都市」の理想が東急創始者・五島慶太によって不動産業へと変わっていく。鉄道を点と線で結ぶのではなくて、面として捉え、沿線の両側を住宅として開発していく。その結果が現在の東京郊外の風景だろう。
    東急設立に大実業家・渋沢栄一とその息子秀雄が絡んでいたのは、新たな発見。秀雄が英国から持ち帰ったガーデンシティの考えが、見るも無残に不動産業に成り下がっていく様は、読んでいて複雑。ただ無秩序にみえる東京の乱開発もルールがあって、東京の中心にある巨大な田園「皇居」だけは開発できない。そういえば、いくら東京の土地開発が進んでも、皇居の緑だけは特別だもんな。なぜだろうね。ここらへんのことを研究した書物が個人的に読みたい。

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プロフィール

作家。1946年長野県生まれ。87年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞。2002年6月小泉純一郎首相の下で道路公団民営化委員に就任。07年6月石原慎太郎東京都知事の下で副知事に就任。12年に東京都知事に就任、13年12月辞任。現在、日本文明研究所所長、大阪府市特別顧問。主著に『昭和16年夏の敗戦』『天皇の影法師』(以上、中公文庫)『道路の権力』『道路の決着』(以上、文春文庫)、『猪瀬直樹著作集 日本の近代』(全12巻、小学館)がある。近著に『東京の敵』(角川新書)『民警』(扶桑社)。

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