日本の近代 猪瀬直樹著作集8 日本人はなぜ戦争をしたか (第8巻) (日本の近代猪瀬直樹著作集 8)
- 小学館 (2002年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093942386
作品紹介・あらすじ
いま、すべての30代におくる、ほんとうの日本人の物語。開戦前夜、若きエリートたちが密かに霞が関に集められた。"模擬内閣"、日米戦必敗の予測-。
感想・レビュー・書評
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1983年の書。
各省庁と民間から集められた精鋭が、日米開戦後の必敗の筋書きを正確にシミュレートしてみせ、それを東條英機が直接聞いたにも関わらず止まらない開戦への流れ。読んでて恐ろしくなるほどの典型的な日本的集団的意思決定プロセス。自分の会社の会議の雰囲気とそっくりで空恐ろしくなった。
東條英機が、単なる小心で忠実な能吏に過ぎない、という評価はもはや定着した感あるが、1983年当時は、センセーショナルだったんだろうか。
東條英機の孫が学校で先生からも虐められたくだりは、泣けてくる。歴代最も人気のない総理大臣だろうが、その時その場で最善を尽くしたのであろう特定の個人に全てを帰するのは、何か違うと思ってしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
対米戦争は「日本陸軍=東條英機の暴挙」海軍と国民は犠牲者、が刷込まれた固定観念
教育の効果は大きく恐ろしい
本書は猪瀬直樹氏が「事実」を整理・突きつけ、日本国の責任を告発した歴史に残るもの
歴史は意思決定の積み重ねが生んだ「必然」の記録
責任を問われるべきは、一つ一つの意思決定なのだ
歴史を学ぶことの必要性と意義がそこにある
「総力戦研究所」 現代に知られていないが日本国が機能していた証左
言葉では総力戦といっても、戦争の根本概念が変わったので、戦略・組織体制・人事全てが変わらなければならないはず
「パラダイムシフト」
過去の成功体験・現在の担当者の自己保身などから組織は現状肯定
強力なトップリーダーがなければ進まない
ex銀行のリテールシフトもそう 中小末残との優先順位 リレバン
スルガ銀行のようには出来ない 当行も主要地銀も 首都圏はありうる
志村正 海軍大臣 (海軍大学首席・総力戦が卒論)
「対米戦争に勝てるわけが無い」と言い切る凄さ
わたしも彼の一割のレベルにでも近づきたいと思う -
社会
歴史 -
日本人はなぜ戦争をしたか―昭和16年夏の敗戦 (日本の近代 猪瀬直樹著作集)
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総力戦研究所
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昭和史を考える上で、やはり中心となるのは、なぜ戦争に至ったのかという点であり、その背景を理解するための良質のドキュメンタリーである。 特に大きな判断根拠であった、石油備蓄とその需給に関する試算が、以下に「判断ありき」の数字合わせであったかという点に、通常のビジネスにもつながるものを感じる。
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日米開戦前。昭和16年夏。
軍部、官庁、民間から招集された内閣総力戦研究所の研究生36名。平均年齢33歳の彼らは「日本とアメリカもり相手戦わば?」という問いに対して結論を出した。その答えは「日本必敗」という現実。
日米開戦は避けねばならぬ!と主張した彼らの意見は聞き入れられず、その年の12月に真珠湾への奇襲攻撃が結構され戦争が勃発してしまう。
なぜ日本人は必敗と知りながら戦争に突き進んだのか?この本を読んで初めて知った総力戦研究所の存在がとても新鮮な驚きがありました。
東条英機氏に対する考え方も少し新鮮で面白かったです。 -
誰のリーダーシップも意思決定もなく、空気を読んでなだれ込んでいったというの!
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歴史にもしは禁物だが、戦争がなかったら日本はどうなっていたのだろうか。しかし官僚主導では戦争はなくならなかっただろう。大衆が貧困であることを解決してくれたのは、結局アメリカなんだから。官僚は金持ちだから、大衆や農民の貧困なんて理解できなかっただろう。