- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093965200
感想・レビュー・書評
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昨年亡くなった 流通ジャーナリスト 金子哲雄さんの
最後の500日を記した1冊。
辛い終末期の中 どうして自分の死後のことまで
あんなに完璧に準備できたのだろうと
不思議に思っていましたが
この本で 金子さんの人となりを垣間見て
理解できました。
奥様のあとがきも 素敵な文章で
自然と涙がこぼれました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最初本屋で立ち読みしていたが、これはやはり金子さんのために買ってあげなくてはと思ってお香典をわたすつもりで買ってしまった。金子さんは流通ジャーナリストとしてテレビでもよく顔を見た人だが、10万人に一人という病気―肺カルチノイド(一種のがん)にかかり、500日の闘病生活を経て41歳で亡くなってしまった。本書はその金子さんがなぜ流通ジャーナリストになったかと話から、発病、そして死に至るまでいかに終活をしたかという記録である。肺カルチノイドという病気は、かなり特殊で金子さんがそれに気づいたときは、いつ死んでもおかしくない状態だったらしい。実際かれは大病院からも見放された。途方にくれていた彼を救ったのは大阪の病院で、かれはそこでの治療によって500日も生き延びたと言えるかも知れないが、その後のかれは、世の中の人の期待に応えるために、治療のあいまをぬって講演やテレビに出演し、逆に命を削ってしまったのである。かれからすればそれは本望だったのだろう。しかも、かれは死が近いことを悟ると、お葬式の準備、挨拶文、そしてその後の謝恩会まで設定し、最後は自宅で妻に看取られながら死んでいったのである。実に凄惨な最後である。彼としてはこれ以外の選択肢はなかったのだろう。しかし、ぼくにはできないし、同じ終活をするにしても、こんなかたちではしたくないと思った。
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とても興味があった本。夫と変わらない年齢で病気を伏せて最期まで仕事( ほんと亡くなる数時間前まで)をした金子さん。色々考えさせられる一冊。ここまで自分の死をプロデュースできたなんて。エンディングノートの必要性は分かってたけど白紙のまま。やはり私には覚悟がないのだな。今を精一杯生きること、死も生も同じラインにあること、などなど。また読み返したい。
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最近金子さんって人見かけないな…とふと思った頃、突然の訃報。あれから早半年、やっと読むことができました。
学生時代から闘病生活、亡くなるまで彼の心情が丁寧に細密に記されています。周囲の人に迷惑をかけたくないという思いから、ごく一部の人々にしか闘病のことを打ち明けていなかったことに彼の優しさ、思いやりの心を感じると共に心の強さも感じました。相当の覚悟が無ければ出来ないものだと思います。もし自分があと数ヶ月しか生きることができないとしたら、何をするだろう…死ぬとは…残された家族は…考えました。
最後のページに生前に遺した葬儀令状がありましたが、読んでいて涙が出ました。テレビでも何度か紹介されていましたが、本心や闘病の辛さを知ってから読むと少し心が痛かった。早期リタイヤ、魔法のドア…といった言葉のチョイス、堅苦しくならないようにとユーモア溢れる文章に、最後の最後まで金子さんの心遣いが感じられました。
きっと東京タワーを見るたびに金子さんを思い出すと思います。 -
死に方を自分でプロデュースするというのは新しい発想だと思う。
ただし、私のような一般会社員にとってはこのように金・時間を都合つけることは難しい。そもそも死の直前まで働ける人はどのくらいいるのだろうか。
今の私にとって本書は余裕のある人間の自慢話としか受け取れなかった。 -
土曜日一日中かけて一気に読み終わりました。
金子さんは本の表紙、ネクタイ、それにめがねまで、命の感じる暖かいオレンジ色にしたのは、命や生活への情熱は読めました。
扼腕するほどの若さなのに、あまりに生き生きした口調で語られていたのが、最後まで「死」の実感は与えられませんでした。
「死に方」より、「形の変わった生き方」と言ったほうが適切かもしれません。
死にながら、まだこの人がどっかで活躍している、と思わせるのが、もっとも尊厳のある立派な死に方ではないでしょうか。 -
自分のやりたいことを仕事にし、最高のパートナーと人生を歩んだ。
自身の死に方をプロデュースには感銘を受けざる得ない。
やりたい気持ちは生きる力だ。 -
同い年です。
今、自分はこんなに立派に逝けるか?
きっと無理。
まだまだ、精一杯生きよう。 -
本を買って、すぐにタリーズで読みました。
涙が止まりませんでした。
色々な情報があり、色々な読み方ができると思うけど、私は恋愛本だと思っています。
相手に対する気遣い、思いやりに涙。
ちょっと違うかもしれないけど、「最上のわざ」を思い出します。
老いていくわけじゃないけど、だんだんできなくなっていく、というところ。
ここまでの人と出会えた金子夫婦は幸せです。
今年もこんな素敵な本に出会えて嬉しいです。 -
読んでいてぼろぼろ涙がこぼれた。
と同時に、人としてどう生きていくべきなのか、の指針を考えさせられた。