逆説の日本史10 戦国覇王編(小学館文庫): 戦国覇王編 天下布武と信長の謎 (小学館文庫 い 1-10)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094020106

作品紹介・あらすじ

「足利将軍義昭との抗争」「一向一揆はじめとする抵抗勢力の大虐殺」「安土城建設」そして日本の歴史史上最大の謎である「本能寺の変の真相に迫る」“破壊王”信長こそニッポンという国家像を描き、天下一統のグランドプランを実現していったのである。しかし。思いなかばで本能寺に斃れた一代の梟雄の栄光と挫折を描く。歴史学会の定説を覆し、「信長論」の新たなる地平を切り開く第10巻、待望の文庫化なる。

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい
    秀吉と家康まで話が及ぶのかと思ったのだけど、違いました。信長の話です。井沢元彦さんの信長愛?炸裂。宗教団体勢力を叩き潰した。無宗教日本国民化の話が妙にまた激化している中東に思いが飛びいまのこの平和を享受できているありがたさまで感じられる一冊

  • 前巻までは驚きの理論に納得していたが、今巻は疑問符がつく内容だった。井沢氏の信長愛が爆破した内容です。

  • 「日本の歴史上の人物の中で誰に一番惹かれるか?」と問われると躊躇することなく「織田信長」と答えてきた KiKi にとってこの巻は実に楽しみだった巻でありました。  そういう意味では一気に読み終えたかったにも関わらず途中で突発事項が発生し、読みかけ状態で放置せざるを得なくなってしまったことがあの理由によるものでなかったら、ひょっとしたら本気で怒り出しちゃったかもしれません(笑)  

    宗教心が希薄だと言われる日本人の気質の大元には信長が戦闘的な宗教集団と徹底して戦い、結果、この時期以降の大半の日本人が異なる宗教もしくは宗派間での血なま臭い争いから解放されることになったことにも起因するという井沢氏の分析には、心から賛同します。  世界中の歴史を見てもこの時期以降の日本の歴史ほど「政教分離」が徹底できていた世界はそうそう滅多にあるものではありませんから・・・・。 

    個人的にちょっと不満だったのは以下の2点です。  一つは「本能寺の変の黒幕に関する考察」の部分、そしてもう一つは「信長は最終的に天皇家をどうしようと考えていたのか?」ということに触れている部分です。  

    KiKi はもともと本能寺の変に関しては世に数多ある「陰謀説」のどれにも与する者ではなかったんだけど、この本ではかなりあっさりと「明智光秀単独犯行説」を唱えて終わっちゃっていて、しかも「昔は僕も○○説だったけど今はね・・・・」的な文章で終わらせてしまっていて、正直なところ「へ??」という感じ・・・・・。  巷にあるいくつかの「○○説」への反証らしい反証もなく、せっかく自説を変えたにも関わらずそのなりゆきさえもがちゃんと書かれているとは言い難い筆致なために、さらっと読んで終わっちゃった・・・・・ ^^;  

    文庫本の裏表紙で「企んだのは朝廷か将軍義昭か、はたまたイエズス会か?」な~んていう風にある意味読者を煽っておいてそれはないだろう・・・とちょっと肩透かしを食らっちゃったような気分なんですよね~。    

    そして「天皇家をどうしようと思っていたのか?」という考察部分では、現代的合理精神の持ち主であり、ある意味で一本筋が通っている人として1巻丸々描かれている信長にも関わらず、「vs. 天皇家」となった瞬間に井沢氏の歴史観である「怨霊信仰」でチャンチャンというのはちょっと安直な感じがしちゃいました。  少なくとも、旧来の権威である天皇家を超える権威である「神」になろうとした男として描かれている信長像と「怨霊信仰」ではどことなくミスマッチ感が漂うような気がするのは KiKi だけかしら??  

    少なくとも、信長がなろうとした「神」と「怨霊」の相対的な位置関係をもうちょっと説明してくれないと、信長公のおかげ様で「宗教的なものの見方」の基礎がまったくできていない現代日本人の KiKi には井沢氏の結論がある意味で唐突に感じられてしまいました。

    (全文はブログにて) 

  • 出た時に買ってからチマチマと読んできてやっと読了。
    とある人権の講座で「今の教科書では『士農工商…』なんて教えてないのだよ」と聞かされて、「俺が学校で習った歴史って何だったんだよ〜」ということで、改めて日本史へ入れ込んで、網野善彦や井沢元彦にめぐり合ったわけですが。
    史料絶対主義に抗い宗教や言霊に拘る井沢史観は、私みたいに人から言われることを何の疑いも持たず聞いてしまう人間には、いつも興味津々です。
    この巻は信長っていうことで、ここでもまた独自の「逆説」が展開されるわけですが、結構身近な場所で起こった史実も多くあることに気づかされ、暖かくなったら安土や石山まで出掛けてみようと思うのです。

  • 信長の革命の一つ。狂信的な宗教を潰したことである。そのおかげで日本は現実主義的になり、俗になり、近代的思考を持つことができた。良くも悪くも。
    信長は地名をつけたり、天下統一の道筋を考えたり、宗教を潰したり、あらゆる革命をやった。コロンブスの卵の連続。世界的な英雄である。だが当時の画期性を、後の世の我々はわからない。

  • 職場で「どうする家康」談議になった時に勧められた本。この本を読んでいるからこそ分かる描写があり大変良かった。ありがとう…パイセン。

  • 2回目の通読。勉強になる。歴史の見方が変わる。わかりやすく、よみやすい。

  • 信長残虐説は改めるべしという一部の意見について、多々思うところあり。
    現代では残虐行為でも、時代を考え、雑多の武力勢力を抑え込むという方向性からすれば、そんくらいやっとかないとっていうことで、しょうがないんじゃないのー程度に思ってたんだが。
    宗教論争をさせたということについて、無神論者とか以前に、宗教テロ絶対ダメって言ってるんじゃ?と、思った。
    問答中に、言い返せなくなって刀掴んで武力行使しようとしたヤツに、宗教なんだから言論で戦えって怒ってるわけで。

  • 本巻では、織田信長の天下統一の企図にせまる試みがなされています。

    著者は、下部構造が上部構造を決定するというマルクス主義史学を批判しており、そのために英雄史観的な歴史の見方が色濃く出ています。とくに本巻では、著者の信長への愛が押し出されており、歴史的な事実の評価に現代の常識を持ち込んではならないとつねづね主張する著者のほうが、信長に時代を超越した壮大なヴィジョンをあたえてしまっているようにも思えます。

    とはいうものの、著者の熱い語り口が読者をぐいぐい引っ張り込んでいく魅力をもっていることは事実です。とにかくたのしんで読むことのできる内容でした。

  • 独自の歴史観が面白い

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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