優駿観戦記で甦る日本ダービー十番勝負 (小学館文庫 R て- 1-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094024814

作品紹介・あらすじ

競馬の祭典ダービーを舞台にした名馬の名勝負が今、甦る。「優駿」誌上に掲載された、シンザンからヒカルイマイ、シンボリルドルフ、ナリタブライアンなど10のレース観戦記(寺山ほか、梶山季之、佐藤愛子、草柳大蔵、古井由吉、影山圭三、吉村昭、高橋三千綱、木村幸治)を再録。さらに当時のデータを掲載。その後の馬と人に迫った「蹄跡」を新たに書き下ろしたオリジナル編集による競馬ファン待望の書。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと昔に買った本を、もう一回、空いた時間に少しずつ読む。
    桜花賞が終わった頃から読み始め、ダービーまでに読み終えればいいやと思っていたけれど、なんのなんの、読めばその時代が呼び起され、いつの間にやら読み終わる。
    それにしてもこの選者、私と同じ頃から競馬を始めたと思え、そうでなければ、数あるダービーの中から、昭和40年代から50年代のレースをこうも選ばないわなぁと思う。私には有り難いことだけど。
    思えば競馬を観始めた頃の記憶は鮮烈で、去年のダービーを覚えてなくても、その頃のダービーなら昨日のことのように思い出す。今年の5月31日が来れば82回目のダービーデー、第37回から数えて45のレースを見ている訳で、確かに歳を取るものだ。
    “「優駿」観戦記で甦る”と銘打たれてはいるけれど、観戦記そのものは千差万別、どちらかと言えば、虫明亜呂無みたいにレースのことを詳しく書かないのが粋みたいな感じのものが多く、その中では競馬ファンの本質を喝破したような草柳大蔵の文章に興味を惹かれる。

    シンザン 元よりレースは見たことはないが、亡くなる前の年に訪れた谷川牧場で見せていただいたことがある。背は垂れ目も白濁した姿だったが、だけども不思議な神々しさがあった。
    ダイシンボルガード この馬のことはここで語られるタカツバキ嶋田功の落馬と石田厩務員の今ではあり得ない行動で知るのみ。
    タニノムーティエ 私が競馬を観るきっかけになった馬。ATいずれも強かった。今はあまりこういうライバル物語がないのが寂しいね。Aは短距離のGⅠがある今ならもっと名を遺した筈。
    ヒカルイマイ 勝って引き揚げる馬道で鞭をスタンドに投げ入れた若き田島良保のカッコ良かったこと。
    タケホープ、コーネルランサー、クライムカイザー 数あるダービーの中で、勝った馬の名でなく負けた馬の名で呼ばれるダービーはこの3つくらいなのでは。丁度、この頃は高校から大学に進む時期で、今思えば、競馬観戦はそれなりの頃。
    カツラノハイセイコ 本書にはハイセイコーの子供は『父に似ず』とあり、この馬も確かに父とは違い小柄だったけど、その姿、首差しはハイセイコーそのものであったと記憶する。
    シンボリルドルフ 今もって初めて見た菊花賞のパドックでの姿を忘れない。私の中にある最高のサラブレッドの姿。いつも強く、紐にはいつも人気薄を連れて来た。
    ナリタブライアン 1998年、訪れたCBスタッドでは腸閉塞の手術後で既に馬房になく、ひと月後には亡くなった。全盛期の頃、私は北陸に住んでいたので、三冠なった菊花賞を淀で見ていないのが心残り。

    今年も5月最後の日曜日を待つ。

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著者プロフィール

詩人、歌人、劇作家、シナリオライター、映画監督。昭和10年12月10日青森県に生まれる。早稲田大学教育学部国文科中退。青森高校時代に俳句雑誌『牧羊神』を創刊、中村草田男らの知遇を得て1953年(昭和28)に全国学生俳句会議を組織。翌1954年早大に入学、『チェホフ祭』50首で『短歌研究』第2回新人賞を受賞、その若々しい叙情性と大胆な表現により大きな反響をよんだ。この年(1954)ネフローゼを発病。1959年谷川俊太郎の勧めでラジオドラマを書き始め、1960年には篠田正浩監督『乾いた湖』のシナリオを担当、同年戯曲『血は立ったまま眠っている』が劇団四季で上演され、脱領域的な前衛芸術家として注目を浴びた。1967年から演劇実験室「天井桟敷」を組織して旺盛な前衛劇活動を展開し続けたが、昭和58年5月4日47歳で死去。多くの分野に前衛的秀作を残し、既成の価値にとらわれない生き方を貫いた。

「2024年 『混声合唱とピアノのための どんな鳥も…』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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