優駿観戦記で甦る桜花賞十番勝負 (小学館文庫 R て- 1-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (345ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094024845

作品紹介・あらすじ

満開の桜の下で繰り広げられる桜花賞は、春の訪れと本格的な競馬シーズン開幕のファンファーレでもある。命短い桜の花にあわせるかのような疾走は、華やかで、そして儚い。今回も、ワカクモ、タマミ、ナスノカオリ、アチーブスター、テスコガビーからシスタートウショウ、ニシノフラワーなど10頭の名牝のレースを新橋遊吉、田辺聖子、志摩直人、藤本義一らの観戦記で再録。寺山修司による騎手伝記「武邦彦」を加えた、シリーズ第4弾。

感想・レビュー・書評

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  • この本もまた、新刊が途切れる合間に少しずつ読み進む。
    この本のセレクトと私が競馬を見ていない時期とが重なっていることもあるけど、こうしてみると桜花賞馬って、桜の花と同じようにパッと咲いてパッと散り、後々まで印象に残っている馬が少ないような…。
    とは言いながら、アチーブスターが『武邦彦という騎手に栄光のスタートを与えるためにのみ舞い降りてきた』かのように書かれていても、引退後には10頭の母となり、今年の若葉ステークス2着のワンダーアツレッタの母母母にその名が見えるように、連綿とした血の繋がりは彼女らがレースを走るためだけに生まれてきたのではないことを物語る。

    ワカクモ 元より昭和41年のレースを見ていることもないわな。クモワカからテンポイントへ続く物語として知るのみ。
    タマミ スタートした瞬間、既に首から半馬身ほど抜けている写真を見たことがある。美少女の印象。希代の快速馬。
    ナスノカオリ この年、私のアイドルはスズランパスであった…。
    アチーブスター この年、私のアイドルは九州産のシンモエダケであった…。『今年の桜は葉桜の…』という志摩さんの詩のフレーズは良く覚えている。この年であったのか。
    タカエノカオリ この馬のこと、記憶にも印象にも全く無い。
    テスコガビー 実はこの頃、あまり真面目に競馬を見ていないんだよね。『後ろからは何にも来ない』も後から見聞きしたような。
    インターグロリア 強い馬が揃っていた世代の割には、この馬の名前は記憶にあっても、何の印象も残っていない。
    ハギノトップレディ 華麗なる一族、デビュー3戦目で桜花賞勝ち。って、これもカムイオーの物語から後付けで知る話。
    シスタートウショウ ここもまた実力馬が多かった世代。『靴をなくした抽せん馬イソノルーブルに王子様はやって来なかったのである』って、どっこい遅れてやって来たのだった。
    ニシノフラワー この馬も強かったのだけど、取り上げるべき強烈な印象って何だろうという感じ。

    このシリーズ、最初の巻が出た時に『この後、菊花賞、有馬記念、桜花賞、皐月賞、天皇賞(秋)、天皇賞(春)、オークスの順に刊行を予定しております』と書いてあったのだけど、この桜花賞の巻を最後に出ることはなかった。
    武豊騎手のダービー初制覇、タイキシャトルとシーキングザパールの海外GⅠ制覇や伝説の毎日王冠や金鯱賞に代表されるサイレンススズカの快進撃(と非業の死)などがあって競馬が盛り上がっていた時期ではあったけど、さすがに売れなかったんだろうねぇ。私としては読みたかったよ。

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著者プロフィール

寺山修司(てらやま・しゅうじ)
1935年、青森県生まれ。54年「チェホフ祭」で短歌研究新人賞特選を受賞。早稲田大学教育学部在学中にネフローゼを発病、4年間の療養生活を送ったのちに劇団、演劇実験室「天井棧敷」を結成。
劇作家・演出家として活動するかたわら、映画監督、詩、小説、批評、歌謡、競馬評論など、国内外で様々な分野の才能を発揮した。
83年5月、肝硬変と腹膜炎のため敗血症を併発、47歳で逝去。

「2024年 『あした死ぬとしたら 今日なにをするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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