WTO加盟の楽観論を排す!中国に再び喰われる日本企業 (小学館文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094025866

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  • 中国にある「闇」を浮かび上がらせよう
    とする努力は、その情報源の確かさから生まれる。

    ただ、この本の中で言われている
    「闇」という評価については、
    かなり確実なものをもっていると思う。

    中国の人脈なるものをきちんと把握することなくして、
    現在の中国を語ることはできない。
    中国の事件の中には、いつも、「闇がある」という指摘はおもしろい。

    ○ヤオハンの失敗 なぜ失敗したのか?
    いま、再び、よみがえる不死鳥と言われる。

    ○上海バブル 住宅建設ラッシュ
    外国人向けである。しかし、ルールができていない。

    ○中国ノンバンクの倒産
    広州国際信託投資公司 GITIC の倒産 1998年10月
    融資していた銀行 第1勧業銀行、富士銀行、三和銀行、あさひ銀行
    不足資本金 2400億円

    ○腐敗政治 
    全日空北京ホテル社長の失踪
    陳小同 北京市市長陳希同 の息子。
    北京市の副市長 王宝森の自殺からはじまる。1995年4月
    陳希同  1998年6月 16年の懲役

    ○李鵬の人脈が、少しづつ暴かれている。

    日本がなめられている というのは、実感する。

  • この本を一言で言うと、
    「一度痛い目を見ているのにまた安易に中国進出する日本企業の悲哀」

    なぜこの本を手に取ったか?
    「中国の不明瞭な体質に嫌気がさして撤退した企業が過去に多数あったが、
    中国が2001年にWTOに加盟して、これできちんとした取引ができると
    再び日本企業が中国に進出した。しかし、実態は予想と異なった。
    なぜ、日本企業は安易に進出してしまったのだろうか知りたかったから」

    流れ
    ヤオハンの倒産

    上海の不動産事情

    中国の危険なノンバンク

    政治腐敗、天安門事件と駐在員

    収賄事件に巻き込まれる日本企業

    中国のWTO加盟で楽観するな



    賄賂のやり取りは日常化していた』(P. 33)
    中国の税関は荷物の処理が遅滞していることを言い訳にして、
    早く処理して欲しければ賄賂をよこせ、と請求してきます。
    しかもこれは少ない額ではなく、何度も要求してくるのです。
    この有様では、人件費が安いからといって
    コストを下げることがはたして可能でしょうか。


    『押し寄せたジャパンマネー』(P. 50)
    実は、1995年をピークにして、
    日本からの中国進出は一度下火になりました。
    当時の中国はWTOに加盟しておらず、今以上にやりたい放題でした。
    それを嫌気した日本企業が中国当局の予想以上に撤退したため、
    焦ったのでしょう、2001年に渋々ながらWTOに加盟しています。
    しかし、それで中国のモラルが急に上がったという話はききません。
    それなのに、世界は中国がWTOに加盟した、と大喜びでした。
    そして、また日本から多額の資金が中国に流入したのです。


    『信じがたいマンション経営の実態』(P. 55)
    中国の施行技術は低く、特に水周りは最悪です。
    日本では配管工としての資格がなければできないようなことでも、
    あちらでは素人がテキトーにやってしまいます。
    日本では考えられないありえない話ですが、
    下水が逆流するなんて中国ではめずらしくありません。
    中国では不動産投資が過熱し、たくさんのビルが建設されました。
    しかし、施行はこのレベルなのです。
    建設中のビルがいきなり倒壊するという
    にわかに信じがたい報告もあります。


    『人々はノンバンク破綻の衝撃を忘れ、マスコミの論調も
    「中国は世界の工場、第二のユニクロを目指せ」と変わってきた』(P. 100)
    中国の地方政府が保証したノンバンク「GITIC」が破たんし、
    日本の銀行は相当の痛手を被ったことがあります。
    それ以降、日本企業は中国進出を控えていました。
    それが、ユニクロの成功によって様相が一変したのです。
    現在、GITICのことが話題になることはほとんどありません。

    喉もとすぎればなんとやらで、チャンスしか目に見えないといった感じです。
    本来、チャンスには相応のリスクが内包されているものです。
    しかし、2000~2005年あたりでは、
    中国に進出しない企業は遅れている、
    といった雰囲気すら漂っていました。
    こうなっては、賄賂など知らない日本企業は、
    人件費の安さのみに目がいってしまい、
    他の企業に遅れまいとしてこぞって進出するのも
    いたしかたないでしょう。


    『中国人の平均収入は日本の20分の1程度。
    これでは買えるモノは限られると考えるほうが普通だろう』(P. 173)
    中国の最大の魅力は13億人ものマーケットであると言われます。
    しかし、13億人の購買力は必ずしも高くありません。
    所得がなければ、商品を購入することはできません。
    その結果、付加価値の高い先進諸国の高価な製品は売れず、
    それを模倣した粗悪品が氾濫しています。
    これで中国の市場を狙うことができるでしょうか。
    中国人にとってはニセモノと分かっていても、
    それと同じようなモノが安く手に入る方が魅力的なのです。

    『中国はニセモノを海外にも輸出する』(P. 183)
    さらに、驚いたことに、中国は偽物で海外市場を荒らしています。
    日本製ということにして、中国製の粗悪劣化コピー品を
    世界各国にばら撒いていたのです。
    これは日本企業はたまりません。
    日本製=高品質、という信頼は、
    長い年月をかけて築いてきたものです。
    それにただ乗りされただけでなく、
    ニセモノによって日本品質への信頼がゆらぐことになります。
    一度失った信頼は簡単には回復しません。
    いまも世界のいたるところで、
    日本製と信じて買った模倣商品にがっかりしている消費者がいるのです。


    『中国進出を急ぐ理由はどこにもない』(P. 200)
    『日本の対中国ビジネスの目を曇らせているのは、
    やはり中国への幻想だと思う』(P. 205)
    目を覚ましてください。
    チャンスだけ見ていてはいけません。
    リスクがあることを忘れて飛び込むと痛い目をみます。
    過去に様々な企業が撤退を経験しているのですから、
    それを教訓にして、よく検討してから
    中国へ進出するか否か決めるべきです。


    ◆反論・誤植・注意点など◆
    特になし


    ◆最後に感想◆
    ネコも杓子も中国へ進出していましたが、
    その後、芳しくない状況がビジネス界によく浸透したため、
    今では海外進出先は、中国ではなく、
    ベトナム、マレーシア、タイなどの東南アジアに変わりつつあります。
    それらの国々は人口が少ないため、
    局地的に人件費が高騰するリスクがあります。
    しかし、毎度のように賄賂を要求される中国よりも
    総合的に見て安くなると判断した企業が多いのでしょう。
    特に、タイは政治情勢が不安であるにもかかわらず、
    2010年現在においても進出する企業が後を絶ちません。
    さらにいえば、これら東南アジアの国々は、みな親日国家です。
    これが駐在する日本人社員にとって、
    どれだけ心強いことであるか、
    経営者は理解しておくべきことであると思います。

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