魂の昭和史(小学館文庫) (小学館文庫 R ふ- 8-1)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094028966

作品紹介・あらすじ

"もし自分がその場にいたら、戦争を止められただろうか""なぜ日本はふたたび経済的な発展ができたのか""君が「売春をしたっていい」と言えるまでになるのに、どれだけの蓄積が必要だったか"…。本書は、世界の動きを追いつつ、大きな流れの中で昭和史を捉え直す。歴史は単に年表を追うものでも、他人事として裁くものでもない。時代の波に翻弄され続けた先人たちの喜びや悲しみ、誇り、戸惑いなどに思いを馳せれば、歴史はもっと身近になる。すべての日本人が自分に直接かかわる問題として共感できるようやさしく語りかける、渾身の一冊。こんな歴史観があったのか。

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の末期から平成にかけての日本の時代の流れが、わかりやすい言葉で書かれ良く分かった。
    こうした大きな流れをを知った上で、これからを生きていく事が先のわからない現代では必要だと思った。

  • 徒に日本人は悪いことをしていないとは書いていないだけに質の悪い本。
    彼の言う日本人の情けなさによってアジアの人々に強いた被害を覆い隠してしまっていると感じた。中国とは決定的に過去の蓄積が違うから仲良く出来ないと一刀両断しているところも何だかなぁ…。「魂」という極めて曖昧な立場を取りつつな右。
    極めつけは後書き。ナションリズムや愛国心の発露であると言っているワールドカップで愛国心剥き出しにしてる人見て「日本もまだまだ大丈夫」ってどの口が言えるんだ…。ないわぁ…。

  • 第一次世界大戦後の、ベルサイユ講和会議の意味、目的。世界的大恐慌の遠因。目にウロコでした。確かに日本は何もわからないまま、昭和に入って行ったんだ。

  • 高校生くらいに向けた昭和史。戦争は誰も望んでいなかった。でも、起きた。なぜ?当時の国際情勢、日本人の気持ちが分かりやすく描かれる。歴史を知る意味、生きる糧となるわけが分かる。面白かった。

  • 近現代史の面白さを再認識し、各々の歴史的事実において勉強するきっかけとなった。

  • 保守派の論客である福田和也が、若い人に向けて昭和史を分かりやすく語った本です。

    日本が戦争へと突き進んだ時代を、理解できない狂気に支配された時代と見るのではなく、当時の人びとが時代の状況の中で一生懸命生きてきたことに「共感」を寄せることが、歴史を学ぶ上でもっとも大切なことだという考えに基づいて書かれています。

    ただ、明治以降、世界という舞台で戦ってきた日本人への「共感」と、戦後民主主義を築いた人びとへの「共感」が、容易には折り合いをつけられないことがきちんと語られていない点が、少し残念な気がします。そうしたことも含めて日本の歴史を考えてほしいというのが著者のスタンスなのですが、戦後の繁栄を支えたのは「モノへの憧れ」だったと語られているところなどには、著者自身の立場へ読者を導こうとする意図も感じられます。

    むしろ、反米保守の立場からの昭和史だという主張をはっきりと打ち出してほしかったという気がします。

  • 第一次世界大戦の頃から実は世界は変わっていたのだね(高校の日本史でやったような気もするけど、忘れた)、というのが認識できた。日本の政治は何も決められなく、前例主義だらけでグランドデザインなど描けない、と常々思っていたことは、実は結構昔からそうだったのだ、というのがよくわかった。調整する力、何とかする力は持っているものの、じゃあ、どこへ行くの?は決められない。そこはやっぱり日本人の特性なのだね。ただし、だからこそ現在のような豊かな国になりえたのかもしれないけど、とも思う。グランドデザインを大きく間違えて進むととんでもない結果になってしまう恐れもあるし。でも、ある程度でも覆すことができればいいな。

  • 北方領土はアメリカがサンフランシスコ講和条約のときに日本のものかソビエトのものかはっきりさせなかったということを初めて知った。


  • 日本人のメンタリティや社会構造・現在の社会の成り立ちを全体的に見渡したいと思い、手にとった。

    恥ずかしながら、歴史小説を含め、日本の歴史をほとんど学んだことがなく、その危機感からとりあえず入りやすい本を探した次第である。

    この本は、江戸の解説から昭和以降の社会構造の変化をエッセンスのみをトピックとして抽出した本であり、分量としては軽すぎず、重すぎず、とてもバランスの良い本であった。

    第一次世界大戦の勝利から、有色人種として、日本は初めて列強の仲間入りができると思ったが、全くそうではなかったときの失望感。

    闇雲に第二次世界大戦を行なった経緯。

    これらの日本の歴史はビジネス人としてのメンタリティに訴えかけるには必要な知識であろう。

    偶然、同じタイミングに、ハゲタカファンドを取り上げた『ハゲタカ』という映画を観た。

    物語の設定は、日本の自動車会社が中国の政府系ファンドにのっとられる話。

    トヨタ自動車とリーマンショックの話になぞらえたフィクションだが、トヨタという企業に対する日本人の思い入れは、昭和以降の歴史から派生するメンタリティに発するところがあると思うし、それはビジネスを行なう世界中の日本人に共通するものだと思う。


    歴史に傾倒する必要はないが、最低限の知識は必要であると感じている。

    時間を見つけては少しずつ勉強をしていこうと思う。

  • ふたたびテレビ画面に映し出されたスタジアムに目をやると、チュニジア戦の勝利の余韻のなか、日の丸の旗と共に「神風」と書いたハチマキをして声をからしている者がいます。私にはそれが、ピアスをし、髪を染めた若者たちが、自分と親身になる日本という国を見出して、素直にそれを愛する姿のように見えます。この情念がある限り、まだまだ日本は大丈夫だと思うのですが。

     またまた福田和也+歴史で、題名のとおり昭和史。今回も年代順に出来事を並べてるだけだけど、ほんの少し「言いたいこと」が混ざっている。その「言いたいこと」がちょっと日本寄りだから、著者は右翼だと言われているんでしょう。でもこの本が伝えてくれることは、右も左も全てひっくるめて日本であり、そして日本に生まれた自分なんだということ。そして善悪は時代によってコロコロ変わるから現在から昔を眺めて「悪かった」と言うのは安易すぎるってこと。歴史が続く限り、全ては純粋な出来事でしかない。悪いこともいっぱいしたかもしれないし、今も悪いかもしれないけれど、それら全部を眺め感じることが肝要。
    この流れってアレにそっくり。
    「良いところも悪いところも受け入れて・・・」
    まさに日本と愛せということなのだ

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。批評家。慶應義塾大学名誉教授。『日本の家郷』で三島賞、『甘美な人生』で平林たい子賞、『地ひらく――石原莞爾と昭和の夢』で山本七平賞、『悪女の美食術』で講談社エッセイ賞を受賞。

「2023年 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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