絶対音感 (小学館文庫 R さ- 20-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (437ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094030662

感想・レビュー・書評

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  •  日本人で絶対音感を持っている演奏家(アマ含め)が多いらしい。絶対音感は幼少からの音楽教育で養うことが出来る。音楽家に絶対音感は必須なのかの是非について本書が触れいている。

     日本人全般にいえることとして、技巧を競う曲は別にし、バッハ、モーツアルトのような曲は味気なく豊かな感情表現に乏しくなる。その理由として、ソリストとなると平均律より音の高低を調整しなければならない。絶対音感を持つ演奏家が絶対だと感ずる音を出してもメロディが死んでしまう(P216参照)音楽教育の在り方から音楽の奥深さまで知ることが出来る一冊。

     追記:『ハルモニア (文春文庫)』篠田節子著を読んで絶対音感に興味を持ちこちらを手にする

  • 2013年9月25日読了。ベストセラーとなったノンフィクション、取り扱う内容はまさにタイトルの通り。「絶対音感とは、そもそも何なのか?持っているとどうなるのか?」という問いから始まり、音楽家たちの葛藤と人生、絶対音感を持つゆえの悩みや絶対音感教育の是非といった内容から、脳はどうやって音を知覚するのか?人間にとって音楽とは何か?といったテーマにまで広がっていく展開は非常に知的好奇心をゆすぶられるスリリングな内容だった。絶対音感とは「聴覚した音の周波数に『ド』『レ』などのラベリングをできる能力」に過ぎないのだが、3~6歳くらいで脳の感覚は固定されてしまうため(訓練によって絶対音感に近い感覚を持つことはできるようだが)、あと持つ人と持たない人で感覚を共有することができないため、「絶対音感を持たないと音楽家として大成できない」といった強迫観念がうまれたり幼児教育が過熱したりしたもののようだ・・・。結論としては絶対音感がいいものとも悪いものとも言えず、「人間の脳ってふしぎ」というあたりに落ち着くしかないのだが。

  • 音を聞いただけで音階がわかるのを「絶対音感」だという。その絶対音感についての調査と、音楽関係者への取材の結果にできたフィクションである。

    この本を読むきっかけは友人との会話。
    「ああ、うん私もちょっと絶対音感あるよ」
    「え、絶対音感って何?」
    とまあ、私のように音楽関係がてんでダメな人間にはなんだかよくわからないがすごい能力だと思っていたのだが、この本を読んで絶対音感というものは考えていたよりずっと複雑なものだと感じだ。

    絶対音感を持っているある人は音楽だけでなくサイレンや物音などすべての音がドレミに置き換わってしまう。
    音階に気をとられて、純粋に音楽が楽しめない。
    すべての音の音階がわかることの苦痛もあり、そんなに都合のいい能力ではないらしい。

    絶対音感があるのはすばらしい音楽家としての必須条件だと考え、絶対音感を身に着けるための音楽教育が盛んに行われた。
    絶対音感は先天性のものか、後天性ものか。
    そういえばピアノを習っていた妹は音あてテストがあるといっていたが、それも絶対音感を身につけるためのものだったのかな。
    そして、日本人は音をはずさない演奏をして世界コンクールに入賞するが、世界的に有名な音楽家が生まれない現状から、はたして絶対音感がすぐれた演奏家にとって必ず必要なものなのかという疑問がわく。
    もちろん、あれば有利なものには違いないだろうが。
    音楽家や専門家への取材も多く、現場に携わっている人々の複雑な心情が伝わってくる。

    その辺を含めて、絶対音感について何も知らなかった私は興味深く読めた。

  • 絶対音感、以前は持っていた。初版の時、この本を理解できなかった。今回は興味深く読めた。一方、私の絶対音感は知らないうちになくなっていたが困ることはない。音譜より歌詞が聞こえるほうが楽しいから。でも、この頃の楽曲は歌詞とメロディーがしっくりこないものが多い・・・気がする。

  • 挫折しました。
    面白さが私にはわからず....うーむ。

  • 080904(n 080919)
    081001(n 081015)
    081111(n 081115)
    081208(n 081223)
    090215(n 090512)
    100625(n 100713)

  • 最相葉月の出世作。
    絶対音感は音楽家には必要不可欠な物なのか?
    様々な角度から迫っていきます。
    音楽家のエピソードが印象的で読ませます。

  • 楽器の音に限らず、車のサイレン音なども音階として理解できてしまう能力。
    便利だと思っていたが、音楽を純粋に楽しめないという点では邪魔になりそうだ。
    幼い頃に特訓すれば備わるものらしい。

  • 未読

  • 今でこそ理解できますが、浪人してた時に購入した当時は、すごく難しい印象をもったことを憶えております。絶対音感に弊害が伴うケースも往々にしてあるというのをこの本で初めて知りましたとさ☆

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著者プロフィール

1963年、東京生まれの神戸育ち。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、精神医療、信仰などをテーマに執筆活動を展開。著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞)、『星新一 一〇〇一話をつくった人』(大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞ほか)、『青いバラ』『セラピスト』『れるられる』『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』『証し 日本のキリスト者』『中井久夫 人と仕事』ほか、エッセイ集に『なんといふ空』『最相葉月のさいとび』『最相葉月 仕事の手帳』など多数。ミシマ社では『辛口サイショーの人生案内』『辛口サイショーの人生案内DX』『未来への周遊券』(瀬名秀明との共著)『胎児のはなし』(増﨑英明との共著)を刊行。

「2024年 『母の最終講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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