始祖鳥記 (小学館文庫)

著者 : 飯嶋和一
  • 小学館 (2002年11月6日発売)
4.14
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  • レビュー :70
  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094033113

作品紹介

空前の災厄続きに、人心が絶望に打ちひしがれた暗黒の江戸天明期、大空を飛ぶことに己のすべてを賭けた男がいた。その"鳥人"幸吉の生きざまに人々は奮い立ち、腐りきった公儀の悪政に敢然と立ち向かった-。ただ自らを貫くために空を飛び、飛ぶために生きた稀代の天才の一生を、綿密な考証をもとに鮮烈に描いた、これまた稀代の歴史巨編である。数多くの新聞・雑誌で紹介され、最大級の評価と賛辞を集めた傑作中の傑作の文庫化。

始祖鳥記 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 2017年は酉年、ということで選んだ1冊。(鶏ではないけれど…)

    江戸時代、岡山の町では夜な夜な藩の失政を嘲笑う鵺が飛ぶという。
    民衆たちは藩を非難する怪鳥に喝采を送り、役人たちは捕縛に躍起になった。
    町を騒がす怪鳥の正体は、1人の空を飛ぶことに魅せられた男でした。

    主人公・幸吉を突き動かすのは「空を飛びたい」という一念のみ。
    世間から、悪政に反発するため空を飛んだ男、と見られていることに、幸吉自身は戸惑いを感じています。
    しかし、当の本人を置いてきぼりにして、幸吉が空を飛んだ話は日本中に広まり、人々を奮い立たせ、大きな動きを生み出す源になっていきます。
    たった1人の志を貫く姿が、多くの人々に伝播していく様に胸が熱くなりました。

    物語は3部構成で、第3部はわが故郷・駿府が舞台。
    馴染みのある町名や場所が登場したことも手伝って、より一層物語にのめりこんでいました。

    ほかの飯嶋和一作品も読まねば!

  •  うおー!すごい!「全日本人必読!」と書くだけはある!<br>
     ものすごい急展開もない。すさまじいオチもない。派手な名ゼリフがあるわけではないし、現実離れした濃いキャラクターが出てくるわけでもない。それなのに、とても胸が熱くなるのだ。第一部では天才表具師でありながら、空を飛ばずはにいられない幸吉の心中に共感し、第二部では「××が来た!」と伊兵衛と一緒になって叫んでしまった(笑)そして第三部では……と、それは読んでのお楽しみ。<br>
     それじゃあ、この小説はどんな小説だったんだ、と振り返ってみる。ものすごくざっくりした言い方だが、ただ出会うべき人物が出会い、為すべきことを為し、淡々と、しかし着実に、物語が展開していき、辿り着くべき結果へ辿り着く。<br>
     そこで、ああそうか、とはたと気づく。それが歴史というものなのだ。それは人間の営為の積み重ねなのだ。同作者の「出星前夜」に井上ひさし氏が寄せた賛辞と重なってしまうが、そこにはたしかに歴史があった。

  • 元気のないとき、勇気が必要なとき、また奮起したいときなどに聴く曲、というのをもっている人は多いと思う。
    自分の場合は、それにあたる小説が、この『始祖鳥記』である。
    仕事がうまくいかんとき、海外旅行のとき、入院したときなど、読んで力をもらったものである。

    本書の、資料資料した説明をいやがる人もいると聞く。だがこの小説の3人の男たち備前屋幸吉、巴屋伊兵衛、福部屋源太郎の男前さを堪能するには必要な部分なのだ。

    もう何回目かの読了かわからん。カバーを引っ剥がしてところかまわず読んじゃうので、自分がもっている今の文庫本は3代目にあたる。

    数少ない、次回作が楽しみな存命作家が飯嶋和一なんだもんね。

  • ひとつの夢を追い続けることはとても難しいことだと思っている。子供のころ純粋に思い描き形にしようと思う傍ら生きてゆくための暮らしがある。それは年齢を重ねる程に大きな割合を占めるようになり、強く願っていたことは次第に生活の中次第に色色あせていってしまうことが多いのではないだろうか。そのため「夢は夢」…そんな切ない言葉がつい口を衝いて出てしまう。それは単なる言い訳なのかもしれないと、この本を読んで考えてしまった。

    例えば生活の中、薄れてしまったとしてもいつまでもその思いを胸のどこかで温めていることで描いた夢へと向かうことが出来る瞬間を見逃すことなく進めることは出来るのだと思う。その時はとても勇気が必要となるかもしれないけれど夢を叶えるということは、何かを犠牲にする「勇気」や「ちから」が必要なものなのかもしれない。

    そんな風に夢を持ち、夢へと向かう姿は他者からの目にも輝くものが見て取れ、それがその人の魅力となり、またその姿を見た人の希望にも変わる。誰かの夢が誰かの夢の手助けをする…そんな連鎖が続いていく。夢というものには、そんな不思議な力が宿っているようにも思えた。

    この「始祖鳥記」は、そんな夢が夢を呼び忘れかけていた希望を手にして行く男たちのお話。またこのお話は実際にあった出来事をモデルとしたもので、この時代にとんでもない夢を持った人物がいたということに驚く。

    夢は風を見極め掴むこと。
    共に夢を見てくれる理解者。
    そして何より飛び立つ勇気と羽ばたく力強さ。
    それとほんの少しの運。
    これらが重なったときに形をなすのかもしれない。

    その運は単なる「運」ではなく夢に対する自身の思いが運んでくる「運」でそこには必ずひとがついてくると思う。そう考えると「夢を描き続けること」それこそが夢を叶えることに繋がるのだろう…

    そんな風に自分の中で眠ってしまった夢を再び思い起こさせてくれる素敵な本だった。

  • ずば抜けてレビューが高評価でしたので読んでましたが・・・

    自分の好みではなかったようです。
    江戸時代のお話であり、言い回しが耳慣れない文章だったのと、凧や船について延々と専門的な説明が続くのも苦痛でした。

    最後にちょっと感動みたいなのも感じましたが、
    飛ぶなら「イツマデ」言わなきゃダメでしょw

  • 江戸時代、鳥のように空を飛びたいと願い、大凧で羽を作って空を飛んだ男の人生譚

  • 『始祖鳥記』(著:飯嶋和一)

    いわた書店さんの「一万円選書」の1冊(9/11)
    今年の3月、キャンセル待ちに当選して、届いたカルテに記入し、待ちに待った本が届きました

    カルテに書いた私の希望は「小説が読みたい」
    選ばれた11冊の本はどれも素晴らしく
    しばらく小説を読んでいなかった私の胸のスポンジに
    たくさんの感情の雨を降らしてくれました

    また一万円選書をお願いしたいけど、大人気で再度は無理のよう・・・
    いわた書店さんに選んで頂いた本から、自分で新たな世界を広げていきたいと思います
    いわた書店さん、小説の素晴らしさをまた思い出させていただいて
    ありがとうございました!

    11冊の中には、テンポ良く読み進めてしまって付箋すらつけずにいたものもあります。
    付箋が付いている本は付箋部分を紹介
    付いていない本は備忘録としてタイトルのみご紹介します。


    ・人とめぐり会うとは、どういう事なのかを、幸吉が初めて知ったのは、その卯之助と名乗る旅の砂絵師からだった(p36)

    ・人は皆同じものを見、同じものを聞いたとしても、同じ思いを抱くわけではない。いや実は、人それぞれが見たり聞いたり
     しているものは、すべて異なるものだ(p63)

    ・やれるだけのことを一つ一つ積み重ねて行けばよいのだ。一足飛びに何かをかろうとしたことが間違いだった(p210)

    ・杢平がよく言うように、人は願った通りになってしまう。どんな言い訳も通らない(p334)

    ・意志のないところには形もありえません。川は川の思い、木は木の思い。どんな言い訳もできません。決断したら
     変えてはなりません(p355)

    ・「・・・これまで、嵐を超えずに咲いた花などなかったように思う」(p356)

  • 次回プレゼント本予定:茂樹さん

    理由はまだ読んでいるのが途中だから。
    (この本面白そう)

  • この小説は、江戸時代で地震・火災など天変地異の多発によって、人々の心が低下している中一人の岡山・津山の主人公「表具師 弥作」が希望をもって鳥人になり。

  • 2016.09.05読了。
    今年6冊目。

    岩田書店、一万円選書の一冊。

    ひさしぶりにものすごく面白かった!
    凧で空を飛んだ幸吉の話ももちろん面白いんだけど、源太郎や伊兵衛、杢平など登場人物も魅力的で面白い。
    塩の話や、船での沖乗りの知識や颶風の中の航海などは興味深かった。
    元気がもらえる一冊です。

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