雷電本紀(小学館文庫)

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  • 小学館 (2005年6月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784094033137

作品紹介・あらすじ

異常気象、凶作、飢餓、疫病の蔓延と、厄災ばかりがうち続いた江戸天明期、後世まで語り継がれる一人の力士が彗星のごとく現れた。巨人のような体躯と野獣のような闘志で豪快に相手を投げ倒していくこの男に、抑圧され続けてきた民衆は未来への希望の光を見た。実在の伝説的相撲取り「雷電」の一生を、緻密な時代考証を踏まえドラマチックに描いて、飯嶋和一の名を世に知らしめた大傑作歴史巨編の文庫化!

みんなの感想まとめ

力士の人生を描いたこの物語は、江戸時代の厄災の中で民衆の希望の象徴となった雷電の姿を通じて、力強いメッセージを伝えます。彼は常に市井の人々の味方であり、勝利の重圧を一身に背負いながらも、正義を貫く姿勢...

感想・レビュー・書評

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  • 雷電と呼ばれる偉大な相撲取りの人生を描いた物語。
    最初から最後まで、雷電は市井の人々の味方だった。勝ち続ける重圧を1人で受け入れた。抱え込んでいたものの大きさを思うと、ずっと切ない。

    雷電は実在したらしい。
    さらっと見て終わりにしてしまっていた富岡八幡宮の大相撲石碑、ゆっくり見に行こう。

  • 相撲界は相変らず問題続きで、ワイドショウの恰好の餌食となつてをります。では角界といふのは、昔は良くて最近急に駄目になつたのか。いやいやさうではありますまい。
    例へば暴力問題。昔は「兄弟子はムリ偏に拳骨」と呼ばれたやうに、とにかく口より手が先に出る指導だと言はれてゐます。暴力の無い日はなかつたでせう。弟弟子は「なにくそ、今に見てをれ」と、歯を喰ひしばつて耐へたのであります。そして自分が兄弟子になると、「俺もかうして強くなつたのだ。これは後輩の為の愛のムチなのだ」と信じ込み、今度は後輩に鉄拳指導・制裁を加へるやうになるのでした。

    当時は問題にもならなかつたでせう。しかし時代は暴力(体罰含む)否定であります。昔と比較すれば遥かに民主化された相撲部屋ですが、それでも一朝一夕に暴力根絶とは参りません。八角理事長は頑張つてゐるとは思ひますが、兎に角相撲協会憎しの逆風は強い。その反動で、世間はあの貴乃花親方を擁護したのでせう。しかしどう考へても協会より貴が悪い。白鵬ふうに言へば、本来子供でも分かる事なのに、相撲協会に反発する一派に喝采を送ることで世間は溜飲を下げてゐたのでせう。
    序でに申せば、やはり風当りの強い池坊氏の発言も、わたくしは至極当然の常識的なものだと考へます。

    さて、何かと伝統伝統と強調する相撲界。しかし実態はどうだつたのか。改革なくして、現在までこの興行が続いてゐるとは思へぬのですが。
    本書『雷電本紀』の時代は、力士は各藩お抱へで、スポンサアである藩の意向が色濃く土俵に反映されてゐました。
    その為には拵へ相撲もするし、勝負が明らかな一番に物言ひを付けて、強引に預りや引分にしたりするのです。
    そんな時代に一人敢然と立ち向かつた雷電。折しも世は飢饉続きで庶民は飢餓寸前、更に悪政が拍車をかけてゐた正にその時、民衆はこの雷電に希望を託したのであります.....

    生涯に僅か10敗しかしなかつたといふ強豪力士を主人公にした、骨太の評伝小説であります。あくまでも小説なので、実在しない人物も出れば、時代背景に目を瞑つた部分もあります。しかし改革者の孤独といふものは時代を問はず、普遍性を持つものでせう。同時にその足を引張る一派の愚劣さも同様ですね。
    最後の釣鐘新造騒ぎは、純粋な雷電の心持が政争に利用された感があり、眞に腹立たしい。この世渡り下手では、如何に強くても「ヨコヅナ」の称号は遠かつたのでせう。
    さはさりながら、力士として以前に、人間として実に魅力的な人物を創造した本作は、細いかも知れないが長く読み継がれるのではないでせうか。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-745.html

  •  .
    江戸時代末期の隠岐島を題材した小説を読んで、「この島で、このような事が起こっていたのか」と、学ばせてもらいました。

    『狗賓童子の島』
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4094066853

    作者の飯嶋和一に興味を持ち、他に文庫化されている作品がないか、探してみました。
    数点あった作品の中から、”伝説の力士“の伝記と思われる題名のこの作品を、読むことにしました。

    時代は1700年代の末期。
    大火事が続き、庶民の心が乱れていた江戸で、一人の力士が話題となります。
    大きな体とともに、人々の注目を集めたのが、その取り口。

    大きな体の人どうしを戦わせ、籤の対象にもなっていた、当時の相撲。
    見せ物的で予定調和の面もあった相撲興行の中で、この力士は圧倒的な力を発揮し、時には対戦相手に大怪我をさせてしまう、荒々しい取り口で連勝を重ねます。

    その力士の名は、雷電為右衛門。

    “江戸デビュー”を描写した序章の後は、雷電が力士として知られるようになった17歳の頃に戻って、その生涯が描かれていきます。

    信州の農家の一人息子、それも、農作業に最適な身体を持つ雷電がなぜ、相撲取りとして江戸に出ることになったのか。
    著者は、この時代に信州で起きた出来事を描写した上で、人と人との結びつきが強いがために、卓越した能力を持つ人物が“浮いて“しまう、農村社会の風土を、取り上げています。

    そして、抜群の体力を持つとはいえ素人である雷電が、どのようにして相撲という競技の技術を学び、力を発揮出来るようになったのか。
    興行としての相撲の位置付け(見られ方)が変わるタイミングで、雷電という力士が登場したのだと理解しました。

    それ以降も、雷電の活躍が時系列で描かれていくだろうと思ったのですが、少し違いました。
    雷電を後援する鉄物問屋、鍵屋助五郎の視点での描写に、多くのページが割かれています。

    雷電個人だけでなく、この時代の力士たち、さらには町民や農民の姿を、描きたかったのだと理解しました。

    ・階級が固定された社会における、農民の困窮
    ・自らの恵まれた環境に胡坐をかき、庶民の暮らしを顧みない、武士階級の人々
    ・異形の人を見せる場から、力と力のぶつかり合いを見せる場に変わった、相撲界の転換期

    階級社会の江戸中期の庶民がどのように暮らし、どんな理不尽なことが起こっていたのか、その一端を知ることができました。

    この作家さんは、歴史上の有名人や重大事件よりも、記録の少ない庶民階級の人に起こった話を書くのが、好きなようですね。
    他にも気になる作品があるので、順番に読んでいこうと思います。
     .

  • 躍動感溢れる筆致が印象的でした。


  • 蒼竜篇
    朱雀篇
    白虎篇
    玄武篇

    著者:飯嶋和一、1952-、山形県、小説家)
    対談:久間十義、1953-、北海道新冠町、小説家)
    解説:倉本四郎

  • ★2008年1冊目読了『雷電本紀』飯嶋和一 評価A

  • 後半からグイグイ引き込まれる。江戸時代のお相撲さんの話かと思いきや、町民文化的なディティールと生き様的な漢っぽさに読み応えたっぷり。

  • 大作、力作であることは疑う余地のないところ。

    ただ、話の流れが前後するため、流れがつかみにくい。

    20歳の頃の話のあとに、18歳の頃の話になり、
    別の人の話がはじまり、26歳の頃の話になるという調子で
    編年形式ではない点が難点だった。

    資料がないなかで人物像を浮かび上がらせるため
    いろんな周辺人物で脇を固めているものの、
    ややもすると雷電の物語なのか、雷電周辺の人の物語か
    わからなくなってくる。

  •  モンゴル勢に土をつけ来場所綱取りがかかる大関琴奨菊、なんと10年ぶりの日本人力士の優勝だった。TVを観ていて感動した。相撲つながりでこちら『雷電本紀』を手にする。

     なんと雷電は21年間現役相撲人生で10回しか負けていない、勝率.962で、大相撲史上未曾有の最強力士(wiki参照)と言われている。ただ強いだけではない涙あり笑いありの自伝である。強い力士といえば、『ああ播磨灘』さだやす圭による日本の漫画作品がある。憎らしいほど強く無敵だ。実在した力士、朝青龍は強くても好きくないな(笑

  • 伝説の大関「雷電」本紀。
    浅間山噴火による天明飢饉の鬱屈とした時代を背景に稀人雷電の傑出した相撲人としての姿を描く。
    江戸時代の相撲文化や興行のあり方も分かる傑作。
    雷電は貴ノ浪に押しの強さを加えて磐石にした感じのイメージで読んでいました。

  • [ 内容 ]
    凶作、飢餓、貧困に悪政が追い打ちをかけた天明、寛政年間、後世まで語り継がれる一人の力士が彗星のように現れた。
    巨人のような体躯、野獣のような闘志で、生涯にわずか十敗。
    豪快に相手をなぎ倒すこの男の相撲に、抑圧され続けてきた民衆は快哉を叫び、生きることへの希望を見いだしていった。
    実在する伝説的相撲人・雷電の一生を、雄大な構想と綿密な時代考証をもとに、足かけ六年の歳月を費やして執筆。
    いずれも粒ぞろいの飯嶋和一の歴史小説だが、その嚆矢として作家の名を鮮やかに読む者の脳裏に刻み込んだ、感動の歴史大作である。

    [ 目次 ]


    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 全1巻。
    個人的にちょっと雷電を調べる必要があって読んでみる。

    それほど相撲に興味が無くても引き込まれる
    迫力ある取り組みの描写はすごかった。

    また、雷電が伝説的強さと優しさを兼ね備えた
    魅力的な人物として描かれているのも好感。

    ただ、個人的には小説としては....な感じだった。
    雷電の話と思って読んでみると、
    ずいぶん長く別の人物の描写にページを割いていて、
    その人物と雷電の友情が軸に物語は進むのだけど、
    時間も人物も行ったり来たりで混乱する。
    著者が小説っぽい書き方を嫌っているようだったけど、
    それにしても話が見えなく、
    イマイチはっきりしない印象だった。

  • 江戸時代のお相撲さん、雷電為右衛門のお話。すげー関取がいたもんだ!!

  • 100を吸収し1を生み出す。まさにそんな小説だと思う。細部を描くことでその時代に生きているような感覚に陥る。だから、この方の小説は凄まじい。

  • (欲しい!/文庫)

  • 尊敬する上司から選別として頂戴した小説。

    実際の力士をモデルにした物語。雷電の強さに、江戸の人々と同じように圧倒される。

  • 伝説の力士を主人公にした物語。江戸時代の人々の生活の息づかいが感じられた。回行院が相撲の聖地だったというのに驚いた。

  • 皆さんは相撲界最強の力士、雷電をご存知だろうか。
    この作品は江戸時代に最強の大関(当時の最高位)として活躍した雷電を主人公にした小説である。

  • 江戸時代の関取の話。江戸時代の町の描写などもうまく、馴染みのない分野の小説だったが楽しく読めた。

  • 文章が凄まじく不自然にねっとりと絡み付いてくる。
    どうだい俺これだけ雷電のこと調べたぜ褒めて褒めて的な。
    面白いけど、鬱陶しい。

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著者プロフィール

小説家。1952年山形県生まれ。1983年「プロミスト・ランド」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。88年「汝ふたたび故郷へ帰れず」で文藝賞受賞。(上記の二作は小学館文庫版『汝ふたたび故郷へ帰れず』に収録)2008年に刊行した単行本『出星前夜』は、同年のキノベス1位と、第35回大佛次郎賞を受賞している。この他、94年『雷電本紀』、97年『神無き月十番目の夜』、2000年『始祖鳥記』、04年『黄金旅風』(いずれも小学館文庫)がある。寡作で知られるが、傑作揃いの作家として評価はきわめて高い。

「2013年 『STORY BOX 44』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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