神無き月十番目の夜 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094033144

感想・レビュー・書評

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  • 久々に面白い歴史小説を読んだなぁ。
    悲劇的な結末に物事が収束していく様子を描いていて、読後感は「救いの無いもののけ姫」のような感じ。物語自体は、徳川家康の治世がまさに始まろうとしている時代の史実にある事件をあつかったものなのであるから、劇的というよりは淡々とした悲しい話である。しかし、人と自然の生活がまだ切り離されていない時代を異常なまでの細かな描写で描いていく筆力でグイグイ引き込まれて最後まで一気に読んでしまった。

  • 始まりは、つい先程まで人がいた気配がありながら、人っ子一人消えてしまった村というミステリー風でありながら、読み進めて行くと一つの村を襲った惨劇となり、さらに読み進めていくと、戦国から江戸へと変わっていく社会や、文化の狭間にある人々の葛藤が悲劇へと至る過程が身に迫る筆致で描かれていて、目が離せなくなりました。

    弥三郎は逃げ切れたのかが気になるなぁ。

  • 熊谷先生からのご紹介

  • 史実を基にしてこれを書いたなら相当この作者、つわものだと思う。

    最初は人物も状況もよくわからないままだけど、
    途中から流れがつかめてくると、全容が一気に駆け抜ける。
    そして最初のシーンに戻るという驚愕の小説。

    人の欲の尽きるところなし。
    どの時代もそこは一緒なんだなと実感させられる。

  • 江戸初期に起った小生瀬村、一村滅亡させられた惨劇。無思慮な若者の暴走が悲劇を引き起こした

  • 太平の世を築き上げようとする江戸初期の裏歴史。徹底した封建制度のなかで、消えていったのは誇り高い百姓たちだけではなく、神もまたその一人だった。

    とにかくやるせない読書だった。誰かが大切にしているものが踏みにじられていくのを読むのがこんなに辛いものだとは。途中でもう何度もやめようと思ったが、最後までなんとか読み終えた。HPが大幅に減った気がする。

  • その時代に迷い込んだような臨場感。土台が揺るがないからこその重厚さは圧巻。これだけの物語が、初版のまま書店に並んでいた事実が何より勿体ない。

  • 戦国末期、ヒエラルキー下部に位置づけられてしまった農民たちの、その溢れる生命力ゆえの戦いと弾圧の軌跡を描いた力作。倒叙的に結末が見えているせいか、ただただ読み進むのがつらい(決して読みにくい文章だという意味ではありません。念のため)。口伝も記録もほとんどない日本の片隅の小さな史実から、よくここまでの物語をつむげるものだと驚嘆します。

  • 途中まで何が起きるのかワクワクしながら読んでただけに、どーしても「あぁん?」っていう疑問はぬぐえない…。
    役職とかその辺の設定を頭に叩き込んでもっかい読み直したらば、印象も変わるかもしんない。

    とかって言うけれど、黄金旅風よりは読みやすかった。

  • 飯嶋さんの中では一番心に残っている作品です。いつか必ず再読するつもりです。

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著者プロフィール

小説家。1952年山形県生まれ。1983年「プロミスト・ランド」で小説現代新人賞を受賞しデビュー。88年「汝ふたたび故郷へ帰れず」で文藝賞受賞。(上記の二作は小学館文庫版『汝ふたたび故郷へ帰れず』に収録)2008年に刊行した単行本『出星前夜』は、同年のキノベス1位と、第35回大佛次郎賞を受賞している。この他、94年『雷電本紀』、97年『神無き月十番目の夜』、2000年『始祖鳥記』、04年『黄金旅風』(いずれも小学館文庫)がある。寡作で知られるが、傑作揃いの作家として評価はきわめて高い。

「2013年 『STORY BOX 44』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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