神々の指紋 上 (小学館文庫 R ハ- 1-1)

  • 小学館
3.32
  • (18)
  • (34)
  • (109)
  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 352
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094038415

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (01)
    トンデモ,珍説,空想小説などのレッテルが貼られた本も,その時代の空気を呼吸しており,その意味では書かれた動機からは少し離れて歴史的な史料として読むこともできる.本書もそんな時代の空気を頁に保管してくれているのではないだろうかと手にとった.
    時代とは,もちろん本書が発表された20世紀末であり,その世紀末はたまたまそれまでの1000年の終わりでもあった.しかし,本書を読めば,その時代の終わりは,もしかすると1万年にも及ぶ周期にあっての末世を示すものでもあった.著者はその終わりの時代にあって,始りの時代にあった中南米とエジプトにある古代遺跡の現場へと足を運び,そこで吸った空気を,本書に吐き入れているのであるから,敏感な読者は,その世界とその終わりに呼応することもあるだろう.
    歴史を超えて,何か時間的なものごとを語ろうとするとき,それは預言的に,黙示録的に,また神話的なテクストに拠らざるをえない.歴史学や偏屈な考古学を超えようというのであるから,地質学,天文学,気象学といった別の時間スケールにある科学(*02)や,それを計測するための数学も動員される必要がある.
    天体としての地球や星々をにらみ,地表をなす石や砂や水,大地と大海,そして氷と雪と向き合った遥か昔の人々が呼吸していた空気が,本書から感じ取られるとすれば,それは詩と科学という方法が,古今を通じているからなのかもしれない.

    (02)
    科学の定立は機械の設置を必ずともなう.観測装置や実験装置として機能した機械のイメージが古代遺跡に重ねられている.それは残された建築という産物は,産まれた当初にあっては機械として機能していたのではないだろうかという問いかけでもある.
    その時代を生きて死んでいく人のための建築,住むために住居として機能し,死んでいく人のために墓所として機能する建築を否定する建築とはどのようなものであろうか.本来的な建築とは,時代を貫通するべく,強大で不変で定位され,次代の時代,そのまた次代の時代へと時を運ばれる程度の科学と技術を有した機械でなければならないのではないか,という超古代からの提案であるかもしれない.
    長期的な天体運動に合わせた不動は観測所にもなり測量原点ともなる.その不動性(*03)を確保するための素材は主に石であるから,位置と素材の選定,材料の運搬と構築は,技術複合体となって巨大な石造物という機械を取り持つ.文字通りの月日や星々に向き合い,巨大や長大をもって望遠的に空と時に望みつつある姿,風や雨にさらされるつも,時に水を貯えながら配水し,文字や像を刻むための白紙としても機能する姿,こうした機械としての建築の姿には,超古代の人類からのメッセージを読むよりも,彼女ら彼らの偏執的な建築愛(機械へのマニアックな愛)を読むのが正しいのかもしれない.

    (03)
    不動と遊動は,何をその動性の基点に置くかによって相対的であるが,技術とそれを運ぶ技術者を基点とした際に,航海術は世界の動態を相対化させる.動かないもの,どこでも使えるものとしての技術を伝える人は,そのとき動きまわる人になる.箱舟や草舟といったモチーフも本書には記されており,遺跡との興味深い絡みも説明されている.
    水をこなす航海と石をこなす建築という両技術の複合を日本列島に入力したとき,この国の古代史の動かしがたいところと動きまわるあたりが,はっきりしてくるのかもしれない.

  • ジャーナリストの経験で培われた、行動力と情報収集力を駆使しながら、時には危険を冒して、古代文明の遺跡を訪ねる旅を続ける著者、グラハム・ハンコック。16世紀の古地図、中南米に点在する古代遺跡、その地に伝わる数々の伝説を調べていくうちに、彼は人類がもうひとつの文明を"記憶喪失"していることに気付き始める。これまでの古代史解釈をあらたな角度から見つめ直した世界的ベストセラーの文庫化。

  • 簡単に言うと、
    前作の「神の刻印」に比べて面白くなかった。

    それが、数字が多いせいなのか、
    スケールが大きすぎてついていけないせいなのか、
    クエスト感が薄いせいか。

    (下巻に続く)

  • ジャーナリストの経験で培われた、行動力と情報収集力を駆使しながら、時には危険を冒して、古代文明の遺跡を訪ねる旅を続ける著者、グラハム・ハンコック。16世紀の古地図、中南米に点在する古代遺跡、その地に伝わる数々の伝説を調べていくうちに、彼は人類がもうひとつの文明を"記憶喪失"していることに気付き始める。これまでの古代史解釈をあらたな角度から見つめ直した世界的ベストセラーの文庫化。解説・井沢元彦。

  • 面白かったよ

  • 「エチオピアを知るための50章」に出てた。
    失われた聖櫃(アーク)はどこにいったのか、って考察でエチオピアを推しているんだって。

  • ノンフィクションぽいフィクション。

  •  帯にだまされた。廃棄。

     ドキュメンタリータッチはいいんだが、読んでいて飽きる。時間がもったいないので廃棄することとした。映画「2012」なんかで人類滅亡とかが話題になるけれど、はるか昔にも一度人類は滅亡しているみたいな話だね。さて、次はなににしようかな。

  •  氷に覆われていない南極大陸の地図が16世紀に書かれていた。それは衛星などの科学観測でしかわかり得ないものであるはずなのに、ほぼ現在の観測結果と一致していた。
     著者はその謎を追求するうちに現在の文明が築かれる1万2000年前に、高度な文明がすでに築かれていていたことに気づく。
     世界各地に残る洪水伝説や南米の古代遺跡にその痕跡をさぐり、失われた文明の存在を追求していく。そしてその滅亡の原因を、地球の地軸のずれにより惹き起こされた地表面の移動があまりにも急激に起きたために、地球規模の天変地異が襲いかかったことに由来すること突き止めた。
     
     ミステリー小説を読んでいるようですが、これがすべて事実に基づいていることに感動を覚えます。当時はダヴィンチコード以上の話題となりました。いろいろ批判する方もいますが、それだけの新事実を考古学の世界に投げつけたと言えます。

  • * Review は最終巻にて。

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

イギリス出身。元『エコノミスト』特派員。国際的なノンフィクション・ベストセラーの著者。主な著書は『神々の指紋』、『創世の守護神』、『神々の世界』(共に小学館文庫)、『天の鏡』(翔泳社)、『異次元の刻印』(バジリコ)、『神々の魔術』(KADOKAWA)など。冒険小説には『リアとレオーニ・時空を超えた姉妹』(講談社)、『WAR GOD』がある。彼の著作は30ヶ国語以上で翻訳され、世界中で700万部以上売れている。有名なテレビ・シリーズ『Quest for the Lost Civilization and Flooded Kingdoms of the Ice Age』をはじめ公開講演、ラジオ・テレビ出演も多数。WEBでも数千万人の視聴者を捉え存在感を示している。また、型にとらわれない思想家として知られるハンコックは、人類の過去や私たちの現在の苦境について、共感を呼ぶ疑問を投げかけている。

「2020年 『人類前史 失われた文明の鍵はアメリカ大陸にあった(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

グラハム・ハンコックの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
グラハム ハンコ...
グラハム ハンコ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×