reinouさんの感想
2017年1月14日
2000年刊行。著者竹前は東京経済大学現代社会学部教授。岡部は創価大学法学部准教授?。◆憲法改正論議が進む一方、国際的な評価の高まりも見られる現行日本国憲法について、制定経緯等の共通理解を深めるべく、各種史料を列挙し、事実経過を余すところなく提示しようとしたもの。全7巻中、本書は1巻。◇各種史料が列挙されているので、事実経過については十分な説得力を持つ。気になる記述事項を備忘録的に列挙すれば、後記のとおり。 ①ポツダム宣言を連合国を拘束する規範と見るべきなのかどうか。②昭和天皇が現行憲法に賛同としていたかどうか。③現行憲法制定が極東委員会の政治介入を防ぎ、天皇を戦犯とすることを防いだかどうか。④貴族院・衆議院で、草案を一部修正することが行われたことをどのように評価するか。⑤松本委員会案を含め、ほとんどの日本側の試案は見るべきものがないということ、⑥近衛文麿が憲法改正に動いていたこと、などである。
東京経済大学名誉教授 法学博士 1930年長野県に生まれる。東京教育大学卒業 東京都立大学大学院博士課程修了。EWC奨学生としてハワイ大学、カリフォルニア大学大学院に留学。フルブライト客員研究員としてスタンフォード大学ロースクールで研修。 〈主な著書〉 『戦後労働改革』(東京大学出版会、1982) 『GHQ』(岩波新書、1983)、『占領戦後史』(岩波現代文庫、1992) 『GHQの人びと』(明石書店、2002) 『アメリカ初の障害者差別禁止法はこうして生まれた』(監訳、明石書店、2000) 『障害者政策の国際比較』(竹前栄治編/障害者政策研究会共著、明石書店、2002) 『失明を超えて拡がる世界』(桐書房、2007) 『GHQサムス准将の改革──戦後日本の医療福祉政策の原点』(桐書房、2007) 「2010年 『イギリス障害学の理論と経験』 で使われていた紹介文から引用しています。」