自衛隊に誇りを: 銀座に装甲車を入れた元陸将の国防軍改革案 (小学館文庫 R し- 7-1)
- 小学館 (2001年2月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094052015
感想・レビュー・書評
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志方退役陸将の自衛隊紹介的な本。処分しようと思ったが、巻末に「ビッグレスキュー東京2000の背景と意義」ってのがあったので処分やめた。
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センセーショナルなタイトルの本ですが、冷戦後の日本を取り巻く状況と自衛隊の直面している課題が論じられています。
21世紀の軍事力は四極化すると著者は言います。第一にあげられているのが、圧倒的な抑止力としての核戦力です。第二に、ポスト・ヘロイック・ウォーにおける通常戦力があげられ、これからの戦争は国際秩序を保つための戦争であり、自分の国を守るために死ぬという悲壮な決意よりも、戦死者を出さないということが重要だと述べられます。第三にあげられるのが、主権国家どうしの戦いには当てはまらない、テロとの戦いであり、サイバー・テロや化学テロ、生物テロ、放射線テロなどへの対策が急務だとされます。そして第四に、コソボ紛争のような民族問題に基づく戦争があげられています。
ところが日本では、これらの事態に対応できるような法整備が十分になされているとは言い難いと著者は指摘します。とりわけ、本書刊行時に未整備だった有事法制の欠如を深刻な問題としており、有事の際に自衛隊が何をすることができるのかを法律で明確にすることがシヴィリアン・コントロールの最重要課題だと述べられます。
アメリカの将軍がリタイアしてもジェネラルと呼ばれるのに対して、自衛隊員はリタイアするとただの人になってしまうとか、自衛隊員には勲章や恩典もないといったことは比較的些末なことだという気がします。ただ、自衛隊という存在を「恥」などと言って隠そうとするのではなく、むしろその実態を市民に示して、どのような自衛隊の形があるべき姿なのかを考えることは、左右どちらの立場にとっても重要なのではないかと考えます。