映画と同タイトルながら、全く関係のない一冊。
とにかく驚くほど長い。900ぺージの文庫本なんて久々。それで価格は952円というのも格安だけど。
ストーリーも良く練られているが、物語のポイントは敵・味方含めて錯綜する人々のキャラづくりだろう。
単に善人・悪人ではなく陰影に富んだ性格付けがしてあり、主人公だから無条件に強い、というわけですらない。
ストーリーの流れもオフビートなところがあって、脇にそれた物語展開・描写に戸惑うところもあるが、文章自体が濃密で読み応えがあるので飽きることはない。
変わった落としどころのラストも含めて、やはりこの作者の力量が並みならぬものであるのが分かる一作。
次の作品を読まないと。