復興の書店 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 123
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094061017

作品紹介・あらすじ

感動ドキュメント「書店員たちの3.11」

本書では、大宅賞作家・稲泉連氏が、被災地における書店の「歩み」を記録することで、ネット注文や電子書籍が一般化しつつある昨今の出版界における、書店の「存在意義」そして、紙の書籍の「尊さ」を再発見していく。
文庫版には、震災から3年半を経た東北の書店の「現実」を綴った補章と、本書にも登場する元書店員・佐藤純子さんの特別手記が収録されている。

感想・レビュー・書評

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  • 本に関わる人たちによる、被災地で書店が、本がどのような役割を担っていたかや、書店経営再開や被災地で書店を始めた人たちにスポットをあてたドキュメンタリー。

    正直、美談のような話が多く感じられてバイアスかかってるように思われましたが、私も本が好きなのでそこは目を瞑りながら(汗)…

    被災地で本が求められたエピソードについては、人間はどのような境遇にあっても、あるいは被災地のような極限的な状況だからこそ(本のような)心の安らぎを感じられる存在を求めるのかなぁ、と思いました。また「本」という存在が我々にどのように関わっているのか、今後どのように関わっていくのかについて考えさせられました。

    個人的には「ほんの村いいたて」のエピソードを別の本(3.11 あの日を忘れない)で少しかじっていたので、そこに登場する書店員さんの名前を見た時「リアルスターシステムや!」と妙なワクワク感を覚えたのが印象に残りました。

    「事実は小説より奇なり」じゃないけど、現実世界でがんばっている人はフィクションのヒーロー/ヒロインと同じくらいの存在感・影響力があるんだろうと思うと、少し感動しました。

  • 3.11後、必要とされた、本。

    出版業界が厳しい昨今、紙の本の存在感に鼓舞させられる内容だった。
    そうして、書店員さんたちが「自分たちは必要とされている」と感じたことも、嬉しかった。

    便利であるということが、必ずしも必要であるということでは、ないのだと思う。

    「だから、少しでもいいから本を持ってくればよかった、と思ったんです。だって、周りを見渡すとね、皆さんプライバシーがない上に、人によってはじっとしていなければならないんです。テレビも体育館全体で一台しかないし、やっているのは震災のニュースばかりでしょう。本だったら、個人個人が自分の好きなたった一人の世界に入り込むことができる。週刊誌でも絵本でもいい、ここでは本が必要とされているんだ、と」

    感情と、経営と、時間の推移。
    それらがいつも、同じニーズをもたらす訳ではない難しさも分かる。
    中でも、後書きにおけるジュンク堂仙台店の店長さんからのメッセージはちょっとしたショックだった。

    本の中では、あれほど奮闘し、また励まされながら経営を続けたエピソードが載っていたのに。
    昨年の夏に閉店したという結末。どのような事情があったにせよ、残念である。

    それでも、本に携わる喜びを語る彼女に、また書店員として生きて欲しいと、個人的に願っている。
    本そのものも人が作り出すのだけど、どんな本を選び、棚を作るのかにも、人の思いや手が加わっていることだから。

  • 田口久美子『増補 書店不屈宣言 わたしたちはへこたれない』(ちくま文庫)p221で紹介。

  • 本や本屋がいらない、ネットで買えるという人もいるかもしれない。それでも私は本や本屋のない世界には生きていけない。漫画でも小説でも人が紡いできた言葉と心の中でひとり対話する時間が愛おしい。
    東日本大震災で本を求めた人達も販売に携わる人達も苦しい中で本の持つチカラに支えられている。本通して、震災が奪っていった日常を丁寧に描き、その中で困難な中でほんの束の間、本で休息を得た人たちを知ることができてよかった。

  • いまや本はネットで買える。電子書籍という選択肢もできた。なのに我々はなぜ本屋さんへ行きたくなるのだろう?そんな素朴で究極の疑問への答えが詰まっている。震災後、それぞれの想いを胸に各地で書店が再開。そのとき書店は被災者のコミュニティの場となり、希望の基点ともなった。災害のあとには奇妙な共同体が生まれるとよく言われるが、それとは違う。なぜなら、街の本屋さんは懐かしき場所であり、活気の象徴でもあるからだ。普段、何気についで寄りしているつもりでも、実は自分の中で心の拠り所にしているのかもしれない。

  • 被災した時に必要な物は衣食住だろうと漠然と思っていましたが、書店が開店した時にあらゆる本を買い求める人々で行列ができたそうです。やはり人は食べて寝るだけでは満たされないんですね。書店は重要です。でも今はリアル書店は閉店閉店また閉店です。書店受難の時代だと思います。
    この本に出てくる書店や書店員さん達は、とにかく本を人々に届けたいという情熱を糧に前に進んでいます。胸が熱くなりました、皆んなかっこいい。儲けたいなら違う仕事に就く方が早いですから。憧れるけど僕には出来ないな書店員。僕は読む専門でいます。

  • この著者の『命をつなげ 東日本大震災、大動脈復旧への戦い』を読み、本書も手に取った。東日本大震災で被災した東北の街の書店のその後を描いたルポルタージュである。地盤沈下や原発事故の影響など被災状況も様々であるが、懸命の努力により復活した書店もあれば、やむなく廃業した書店もあり、中には全くの未経験にも関わらず、新たに開店した書店もある。こうした様々な街の書店の苦しみや努力が行間から伝わって来る。多くの人びとの心の支えとなった街の書店に心から感謝したい。

    本書に描かれている書店の中では、宮脇書店気仙沼店、金港堂石巻店、ヤマト屋書店、ジュンク堂書店仙台ロフト店に行った事がある。中でも、宮脇書店気仙沼店は品揃えが非常に良く、かなり気に入り、東日本大震災前に何度も通った。先日、場所を替えて、オープンした新店舗にも行ったが、規模は縮小したものの、本のセレクトの良さは変わっていなかった。

    東日本大震災以降は生きる事と被災した方々の支援に精一杯で、なかなか本を読めなかった。落ち着いてから書店に行ってみると、しばらく買っていなかった新刊が並んでいて嬉しくなった。

    表紙の写真は、陸前高田市の奇跡の一本松。文庫化にあたり、『それからの日々』を加筆。

  • 単行本も読んだのだけれどそれからの日々も読みたくて再読。
    そういえば、大槌の一頁堂同様、ヤマト屋書店中里店も入口近くに震災関連本の棚がある。地元の役割なのですね。

  • 本の力 信じる

  • 書店員自身、嗜好品だと思っていた本を、震災直後から求めるお客さんの姿に、必要なものなんだとあらためて気付かされるくだりが印象的。日常に帰るためのツール、他人と身を寄せ合うしかない中で「一人」になれるツール、子供が笑顔になるためのツール。本というのはそんな大切なものなんだって、読んでいる私もハッと気付かされた。
    あの災害の中で、少しでも早く店を開けようと動き出した、そのエネルギーには感嘆せずにはいられない。
    4年が経ち状況は変わってきているし、これからも変わっていくだろうけれど、不況から抜け出せないと言われる書店業界もまだやれるところがあるんだなって思った。
    また、次に自分が大きな災害に遭ったとしても、人にはあんなエネルギーがあるんだからって思い出して踏ん張れるかも。

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