起終点駅(ターミナル) (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
3.60
  • (29)
  • (72)
  • (77)
  • (10)
  • (3)
本棚登録 : 610
レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094061369

作品紹介・あらすじ

直木賞作家桜木紫乃作品、初の映画化原作!

「かたちないもの」
笹野真理子は函館の神父・角田吾朗から「竹原基樹の納骨式に出席してほしい」という手紙を受け取る。
「海鳥の行方」
道報新聞釧路支社の新人記者・山岸里和は、釧路西港の防波堤で石崎という男と知り合う。「西港で釣り人転落死」の一報が入ったのはその一月後のことだった。
「起終点駅(ターミナル)」 映画化原作 表題作
鷲田完治が釧路で法律事務所を開いてから三十年が経った。国選の弁護だけを引き受ける鷲田にとって、椎名敦子三十歳の覚醒剤使用事件は、九月に入って最初の仕事だった。
「スクラップ・ロード」
飯島久彦は地元十勝の集落から初めて北海道大学に進学し、道内最大手・大洋銀行に内定した。片親で大手地銀に就職するのは、当時異例中の異例のことだった。
「たたかいにやぶれて咲けよ」
道東の短歌会を牽引してきた「恋多き」歌人・中田ミツの訃報が届いた。ミツにはかつて、孫ほどに歳の離れた男性の同居人がいたという。
(「潮風(かぜ)の家」
久保田千鶴子は札幌駅からバスで五時間揺られ、故郷の天塩に辿り着いた。三十年前、弟の正次はこの町で強盗殺人を犯し、拘留二日目に首をくくって死んだ。



【編集担当からのおすすめ情報】
「始まりも終わりも、ひとは一人。
だから二人がいとおしい。生きていることがいとおしい」
――桜木紫乃

感想・レビュー・書評

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  • 3.4
    本題にもなっている終着駅が面白かったですね。
    ほかも良かったですが、もの寂しい話が多くちょっと読んでて辛い感じがしました。
    切なくなりたい人にはおすすめですかね、、

  • 北海道を舞台にした短編集
    もの寂しさや荒涼とした雰囲気が表現されていて、空気感まで伝わってくる。
    明るい作品では無い。誰でも心の何処かにある不安感や孤独感を自然に感じることができた。

  • 人が生きることの辛さと素晴らしさを噛みしめる読後感……

    タイトルの「起終点」という言葉がどこか理解できなかったのだが、瀧井朝世氏の解説を読んだとたん、すんなりと固い頭に沁みこんでいった。

    縁と無縁についての物語だった後から気づかされるなんて。
    どの物語にも共通して描かれるテーマなのだが、縁がないからといって嘆き悲しむべきでないという著者の訴えは、物語を読めばちゃんとわかる。

    以前読んだ、中高生向け新書の「友だちは永遠じゃない: 社会学でつながりを考える (ちくまプリマー新書)」を思い出した。この本の中でも、人はつながって切れて、つながって切れてを繰り返していくということが説明されていたのだが、まさしくそれを物語で表現しているのが本作なんだなと思った。

    桜木紫乃の作品はこういうハッピーなだけではない物語なのにもかかわらず、読み終わった読者に前を向かせるところがすごい。

  • 珠玉の短編を6編を収録。いずれの作品も孤独感の中からの再生する主人公を描いている。独りの世界で見出す人と人のつながり、さりげない優しさはどれだけ人びとの心を救うのだろうか。表題作の『起終点駅』と『海鳥の行方』が、取り分け良かった。

    『かたちないもの』。桜木紫乃が描く女性は皆、逞しいのだが、この作品の主人公の笹野真理子も化粧品会社で働き、厳しいビジネスの世界を生き抜いているキャリアウーマンである。10年前に付き合っていた竹原基樹の死を知らされ、函館の外人墓地での納骨式に参列する。ひとり、逞しく生きていたはずの真理子だが、納骨式を取り仕切る若い牧師の角田吾郎と出会い、その実は自分自身しか見ていなかった事に気付かされる。少しずつ外に目を向けるようになり、再生していく過程の描写が見事。角田吾郎の透明な存在感も非常に良い。

    『海鳥の行方』。主人公は新聞社の釧路支社に働いて二年目の山岸里和。職場の同僚による心無い言葉に揉まれながら、遠距離恋愛も今ひとつの中、里和は現実と向き合いながら生きている。ふとしたきっかけで知り合った失業中の石崎との出会いが…ラストにはジンと来た。こういう複雑な心情を見事な表現で描いてみせる桜木紫乃は、やはり只者ではない。

    『起終点駅』。表題作。桜木紫乃にしては珍しい男性が主人公の作品。国選弁護しか引き受けない弁護士の鷲田完治と彼が弁護した椎名敦子の物語。過去に疵を持つ鷲田と、同じように過去を棄て、現実からも逃げ出そうとする敦子の生き方を静かに描いている。男性が女性に唯一、対抗出来るのは頑なさだけかも知れない。

    『スクラップ・ロード』。これも、また主人公は男性。大手銀行を退職し、無為な生活を送る飯島久彦は、失踪した父親を見付けるが…

    『たたかいにやぶれて咲けよ』。2作目に登場した山岸里和が再び主人公を務める作品。歌人であった老婦人の数奇な人生を追いかける里和が見付けたものは…

    『潮風の家』。主人公は壮絶な過去の出来事で、故郷を離れた久保田千鶴子。三十年ぶりに再び、故郷を訪れた千鶴子は…

  • 言葉にはうまく出来ないけれど、淡々と、しかし切々と...ぐぅっ...と胸にくる短編6集。北海道を舞台に、主人公は誰しも孤独を背負った男女。読んでいると締め付けられるような気持ちになり、それでいて希望とも絶望とも違うラストが余韻を残す。『かたちないもの』『海鳥の行方』『たたかいにやぶれて咲けよ』『潮風の家』の4編が良かった。特に『かたち~』のひんやりとしたロマンチック、『潮風~』のたみ子さんの全セリフが気に入った。好みはあるかと思うが、桜木ワールドにどっぷりハマれる人にはお勧め。私は物凄く良作だと思った。

  • 桜木紫乃作品初読み。北海道を舞台にした短編集。質感のある登場人物たちの起点と終点。愛情で全てが報われるほど、人生は容易くない。表に表れることで全て理解できるほど、人間は浅くない。個人的には里和の立ち位置が一番共感しやすい。里和ほど若くはないが(笑)自分が作り出した荷物を背負ったり引きずったりして生きてる、或いは生きた人たちと、一瞬縁を結んで、だけど未熟さ故に表現しきれない。貰ったものは沢山あるのに。だってまだ、荷物を作ることをしてないから。そのもどかしさが分かる気がする。鬱病を患った彼氏を棄てた。その酷薄さも分かる気がする。

  • 2019/4/10
    あと1章を残してずいぶん放置されていた。
    表面上の起伏が少なく、微細な動きを読み取らないといけないような気がして、なんというか読むのにパワーがいった。
    アンテナしっかり立てとかなきゃ!というような。
    だから疲れてるときはのらなくて放置したのかも。
    長い休みとかに快適な環境で読んだらもうちょっとイケた気がする。私がそこまで余力なかった。
    通勤の時に読んでるからね。不向きやったなと思った。

  • 著者の作品を読んでいつも思います。
    「誰も訳ありの人生を歩んでるんだ」と。

  • 難しい、けれど手放せない。
    そんな本でした。

    解説を読んで泣きました。
    桜木紫乃さんは初めてでした。
    自分にとってこの本はど真ん中ではないけれど、自分の軸の端のほうを持ち上げてくれる本だなと感じました。

    大事なひとたちと行った北海道が舞台だったので読み切れました。ありがとうございました。

  • 【無縁】をテーマにした短編集らしく、何かを失い孤独にならざるを得なかった人々が描かれている。だがこれは孤独の物語ではなく、覚悟の物語。孤独を受け入れ、退路を断ち、それに伴う一切の責任を引き受ける覚悟。過去に縋らず『自分はこれでいい』と今を真っ直ぐ見据える登場人物たちの姿に身が引き締まる思いだ。映画化された表題作「起終点駅」も良いが、女性同士の確かな絆を描いた「潮風の家」が素晴らしい。そして、作品世界を見事に読み解いた解説が秀逸。『たとえ孤独であっても心に誰かがいる』から人は生きていける―。

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著者プロフィール

1965年北海道生まれ。2002年「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞。07年、同作を収録した『氷平線』で単行本デビュー。13年、『ラブレス』で第19回島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で第149回直木三十五賞を受賞。『ワン・モア』『起終点駅(ターミナル)』『ブルース』『それを愛とは呼ばず』『霧(ウラル)』『裸の華』『氷の轍』『ふたりぐらし』『光まで5分』『緋の河』等、著書多数。

「2020年 『砂上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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