女の名前 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 22
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094061673

作品紹介・あらすじ

直木賞作家・桜木紫乃にとっての母なる一冊

東北の小都市で、暮らしを愛し、文化を愛し、ひっそりと詩や小説を書き続けてきた女性がいた。

1996年、自費出版として世に出ていた本書を、15年余の後「ちょっと読んでみてほしい」という知人の薦めで手にしたのは、後に直木賞を受賞することになる作家・桜木紫乃だった。

「そこから先は自分も同じ言葉であちこちに薦め始めた。既に古書店にしかない親本を、見つけたらとにかく表題作と『マリアはいますか』を読んでみてくれ、と言って歩いた。」(本書の「解説」より)

1932年に生まれ、戦前から戦後、そして現代へと、たゆみなく歩みを続けてきた著者の筆運びを、桜木はこう書く。

「著者の視線は柔らかく、上からでも下からでもなく、一貫して日々を生きるひとの目の高さで書かれている。そのくせ文章は切れ味鋭い刃のよう。自戒を込めた一行に触れるとき、はっとさせられる。誰かになにかをもの申すといった気負いもなく書かれた文章の中に、反省や諦念、気づきがちいさなダイヤのようにちりばめられている。」

子として、女として、母として、時代を、社会を見つめてきた市井の女流による、各編が美しい掌編小説のような見事なエッセー集!

感想・レビュー・書評

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  • 岩手県南に在住する作家のエッセイ集。前半のエッセイを読むと著者の父母や祖母にまつわるテーマが多く、しかも、死にまつわる話が目立ち、身につまされ、深く考えさせられるのだが、後半になると綺麗なリズム感のある、さらさらと流れるような文章で日常を切り取ったようなエッセイが増える。前半のエッセイも良いが、後半のエッセイの方が好みである。

    自費出版ゆえに発行部数も少ない本書は、直木賞受賞作家の桜木紫乃の目に止まり、19年の時を経て文庫化されたようだ。

    本書を手にしたのは、何故か一関市内の殆んどの本屋に山積みされていたからで、読んでみるとその理由が分かる。殆んどのエッセイが、岩手県、或いは一関市に所縁のあるテーマであった。

    『母の戒名を胸に』に登場する白崎の天神社などは地元の人間でも殆んど知らないかも知れない。

    『仁丹のドクトル・メジチェーネ・笠原』も一関市民なら、ニヤリとするようなエッセイである。

    もしも、桜木紫乃が絶賛しなければ、間違いなく埋れてしまったであろう佳作が陽の当たる場所に登場し、こうして手に取ることが出来たのは、本当に嬉しい限りである。

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