共震 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 185
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094062731

作品紹介・あらすじ

『震える牛』『ガラパゴス』著者の原点!

大和新聞東京本社の遊軍記者である宮沢賢一郎は、東日本大震災後、志願して仙台総局に異動する。沿岸被災地の現状を全国の読者に届けるため、「ここで生きる」というコラムを立ち上げた。そんななか、宮沢とも面識のある県職員が、東松島の仮設住宅で殺害された。被害者の早坂順也は、県職員という枠を越えて、復興のために力を尽くしてきた人物だった。早坂は亡くなる直前まで、被災地の避難所の名簿を調べていたという。
舞台は、石巻、釜石、陸前高田--。著者渾身の鎮魂と慟哭のミステリー。

【編集担当からのおすすめ情報】
解説は、『遺体』の著者、石井光太氏、
文庫版解説は、岩手県盛岡市・さわや書店フェザン店の松本大介氏です。
東日本大震災から五年、
いまこそ手に取っていただきたい小説です。

感想・レビュー・書評

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  •  東日本大震災の復興に尽力する宮城県震災復興企画部の課長が東松島市の仮設住宅で殺害され、大和新聞記者の宮沢と、警視庁刑事部捜査二課の田名部管理官が被災地を歩き回り、その真相に迫る話。
     災害廃棄物、被災家屋の解体、高台移転に伴う用地確保などの膨大な復興予算を狙い、あらゆる復興事業に闇社会が手を伸ばしていることは被災地ではよく知られているので、本作のテーマそのものは被災地の人にはあまり目新しくない。
    でも、本作に出てくる被災者の言葉や、宮沢記者と田名部管理官が感じる葛藤の様子に、単なるミステリーとしての一作品ではなく、震災の復興、被災者の心の復興を心から願う作者の熱意が伝わったし、読み応えがあった。現地も細かく取材されていると思ったら、作者は元々記者で、震災前にも石巻市を訪問したことがあったとのことで納得した。情景や感情の描写が鮮明で、被災地の情景がよく浮かんだ。特に、石巻市は生々しい被災状況が伝わってきた。
     被災地の様子や復興の実態を知らない東北沿岸以外の人たちも引き込まれるミステリー性とドキュメンタリー性の両方がある作品だと思う。あとがき、解説も素晴らしい。

  • 震災当時やその後の様子がありありと目に浮かぶ...。石巻や南三陸など震災から約3週間後に目にした光景は、未だに脳裏から離れない。
    当事者同士だから分かり合えるものがある。そうした意味では自分は無能だ。
    ミステリーとしては、様々な社会問題や犯罪行為を織り交ぜつつ、真相に迫っていくが...。これで落ちるのかなぁ...。

  • 父方の実家が大船渡で、小さい時少しだけ住んでいた事があるしいまだに本籍がそちらにある。なので、この本を読もうと思ったんだと思う。
    震災後ずっと連絡がつかず、祖父母たちが無事だと解ったのは避難者名簿に名前があるのをわたしがネットで見つけた時だった。近くの陸前高田や釜石のニュースは流れるのに中々大船渡の情報が解らなくてもどかしかった。2011年秋に現地に行った時の事は本当に忘れられない、本に出てきた言葉、
    「なぜ海が見えるんだ?」
    これが解りすぎて胸が締め付けられた。海に近かった家は流されて、そこからは見えなかったはずの海が見えた。家の前の公園のジャングルジムのひしゃげ方を見た時、角の〇〇さんも、そこの〇〇さんも亡くなって…と祖母が話した時、身震いがした。
    ミステリーだけど、震災の話を読んだという気持ち。読み終わって、タイトルがすごく良いな。と思った。忘れてはいけない、とただただ思う。

  • 解説に、ミステリー作家がミステリーの要素を「付け足し」と言ってしまうほどの現実。とあった。帯には「これを書かねば、一生前には進めないと思った。」という相場さんの言葉。震災からもうすぐ9年、未だに復興半ばの被災地の皆さんの幸せを願わずにはいられない。

  • 大和新聞東京本社の遊軍記者である宮沢賢一郎は、東日本大震災後、志願して東北総局に復帰した。コラム「ここで生きる」を立ち上げ、沿岸被災地の取材を続ける宮沢のもとに、東松島市の仮設住宅で他殺死体が発見されたとの一報が入る。被害者の早坂順也は、宮城県庁震災復興企画部の特命課長。県の枠を飛び越えて復興に尽力してきた人物だった。早坂は亡くなる直前まで、各被災地の避難所の名簿を照合していたという。これは、本当にフィクションなのか?

  • 自分の実家が去年 酷い災害に遭ったので共感するところが多かった。ミステリとしても良かった。

  •  いまだ東北は震災復興からは程遠いという現実がある。
     日本人はそのことを完全に忘却している。

     震災復興に携わっていた県職員が毒殺された。
     大和新聞の宮沢賢一郎は独自に事件を追う。
     一方、警視庁捜査二課の田名部は震災復興費に絡むブラックマネーを追っていた。
     宮沢と田名部の追う先に、震災を食い物にする組織が明らかになっていく。

     3月11日のあの日、日本の広範囲で大地震と複合災害に震え上がったはず。
     しかし、忘れやすい日本人は東北の現実を見ていない。知らない。
     作者の「震災復興の現実を見ろ」という声が伝わってくる。

  • 犯人を追う刑事と、事実を世に伝える新聞記者との関係性をベースに進む推理小説的要素よりも、東日本大震災の現地の事をつぶさに伝え、風化させないというメッセージが多分に含まれている物語。

    東北地方に訪れる機会がなく、現地のことは今も昔も殆ど知らないのですが、阪神大震災のときには大阪に住んでおり神戸の惨状も身近なものとして感じた記憶が蘇ります。

    復興を支える県職員が殺害される事件を負う中で、被災地の状況だけでなく、被災者の皆様の声などもお聞かせいただき、ご家族やお仲間を失われた方の辛い思いを伝える著者の現地に対する気持ちが強く感じられました。

    無責任な頑張れという言葉、言葉の使い方の難しさが一番心に残りました。

  • 『震える牛』がすこぶる面白かった相場英雄。単発ものだと思って読み始めたら、みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎シリーズでした。東日本大震災の被災地で起きた殺人事件。宮城県庁震災復興企画部の特命課長が殺害され、被害者と面識のあった宮沢が事件を追う。被災地の義捐金目当ての詐欺の真相に迫るという本作は、実際にあってもおかしくはない話。ただ、事件の舞台に無理やり被災地を当てた感が強く、ならば純粋に被災地を描く小説を書き上げてもよかったのではないかと思ったりもして。しかも犯人が最初から怪しすぎるのはいかがなものか。が、トリックはそれなりに面白く、被災地を舞台にして何か書き上げることはできないかと考えた著者の心意気にも感じ入るところはあります。

  • 東日本大震災から2年経った宮城県が舞台。震災復興担当の県職員が殺害された事件を新聞社の記者・宮沢、県警の捜査員・門間、警視庁捜査2課の警視・田名部がそれぞれ追う。
    真剣になると充血する人たちが多い。
    震災直後の回想は事件とは関係ない。書きたくて無理に詰め込んだ感じ。

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著者プロフィール

相場 英雄(あいば ひでお)
1967年新潟県生まれ。89年に時事通信社に入社。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。
12年『震える牛』が話題となりベストセラーに。13年『血の轍』で第26回山本周五郎賞候補、および第16回大藪春彦賞候補。16年『ガラパゴス』が、17年『不発弾』が山本周五郎賞候補となる。

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