- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094062762
作品紹介・あらすじ
この医療活動は日本の底力だ。
簡易ベッドで埋め尽くされた待合室、廊下にあふれる被災者、家族の安否もわからないまま不眠不休の極限状態で働く医療従事者の姿――東日本大震災で災害医療の最前線となった石巻赤十字病院での全記録です。
約20万人が居住する石巻圏の医療施設がほぼ壊滅状態となり、唯一、水没を免れ、自家発電機を所有していたこの病院に人々が殺到。また、石巻市役所が浸水のため孤立、一時は300か所以上に膨れあがった避難所への医療提供やアセスメント(評価付け)も医師自らが担いました。結果的に救えない命も少なくはありませんでしたが、それを最小限に留める努力を、赤十字の組織力と機動力をもって全力で行ったこの病院の取り組みは、今後の災害医療のモデルケースになるともいわれています。
かつてない規模で行われた過酷なトリアージ、津波被害特有の“低体温症”患者への対応、避難所の劣悪な環境が引き起こした肺炎――石巻赤十字病院が体験した死闘の100日間を追い、そこで生まれた様々な人間ドラマと交差させながら描くノンフィクションです。
ロングセラー単行本を、増補(5年後の石巻赤十字病院・約1万8000字)して文庫化!
感想・レビュー・書評
-
東日本大震災から13年…このタイミングでこの作品を手にしました。発災から100日間、石巻赤十字病院の災害医療活動を追ったノンフィクションです。
地域に根差した医療活動と、災害に備えた活動を発災前から行っていた石巻赤十字病院…。備えがあったからこそ発災後も対処できたこともあれば、津波肺や低体温の症状を呈した患者さんの対応や、ライフラインや物資が十分でない中の活動は想定を越えものだった…。職員も家族の安否が不明であったり、家族が犠牲になったり、住まいの損壊に見舞われたりと、職員も被災者でもあり役所も機能不全の中、それでも命を救うために尽力する…。
備えはしすぎることはないもの…そう強く感じました。自然災害の前では人間は無力とはいっても、立ち向かう場面に来て備えがあるのと全くないのでは雲泥の差が出ます。それと、印象に残ったのは段ボールベッド…被災者さんの身体機能を落とさないためにも、感染予防対策にも、そしてプライバシーに配慮することにもつながるもので、この震災を教訓にして取り入れられたんですって…!被災者さんにお薬を届ける活動や避難所のアセスメントも医療現場のトリアージも、学ぶべきことが沢山ありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『石巻赤十字病院の100日間: 東日本大震災 医師・看護師・病院職員たちの苦闘の記録』|感想・レビュー - 読書メーター
https://bookmeter.com/books/4191716
石巻赤十字病院の100日間 【増補版】 | 書籍 | 小学館
https://www.shogakukan.co.jp/books/09406276 -
観測史上最大のマグニチュード9という巨大地震と巨大津波に襲われた石巻市。石巻市の医療施設の殆どが壊滅し、その中で唯一の医療基地として、被災した人びとの命を守り続けた石巻赤十字病院。
自らも被災者である石巻赤十字病院の医療関係者と被災者たちの苦難に満ちた闘いの描写に思わず涙がこぼれる。
地震発生直後から災害対策本部を立ち上げ、地域医療の最前線にして、最後の砦となり、数多くの尊い命と向き合った石巻赤十字病院の100日。本当に頭が下がる。
文庫化にあたり、『5年後の石巻赤十字病院』を増補。 -
医療の現場からみた災害現場がよく見えてくる。極限状態で冷静に判断して、淡々と仕事をこなす姿はすごいとしか言いようが無い。
-
2016年熊本地震の最中、この本を読んだのは偶然ではない。
あの未曾有の災害の記憶も未だ薄れない中、熊本で起きている地震で、あの3.11の反省は活かされているだろうか?
まだまだなような気もする。
東海・東南海・南海地震や首都圏直下地震も叫ばれる中、この度の熊本地震での経験が、将来に活かされることを祈念してやまない。 -
災害時、日頃の訓練や備えがいかに大切か。最近、わたしの会社も震災時に帰宅困難者受け入れ施設に手をあげて指定されましたが、必要品を購入したもののそれがどこにあるのか、実際その時にどう動くのか、全く計画されていません。日々の業務を確実に行うと同時に災害への備えを一人一人が考えること、被災者になってから考えては遅い。
-
小論文対策推薦図書 医療系
-
街は、いろんな人の役割分担(仕事)で成り立っていくのだと思った
-
東2法経図・6F開架:498.8A/Y97i//K