埋蔵金発掘課長 (小学館文庫 む 2-6)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094062960

作品紹介・あらすじ

それは愚策か、それとも起死回生の一手か?

早期退職し、故郷に帰ってきた元広告マン。午前中は、道の駅で働き、午後はのんびり海辺で過ごす生活を送っていた。ある日、市長の秘書をつとめる同級生が、市長直々のお願いがあるとやってくる。お願いとは、財政破綻目前の市のために、埋蔵金を発掘してほしい、というとんでもない依頼だった。日給に釣られ、半信半疑で着手することにした俺は、郷土史家を訪ね、小学校の裏山が怪しいという情報を得る。市の職員と二人で発掘をはじめたが、なにせ広大な土地だ。市に懇願して、人員を増やし、巫女の力を借り、なんと古銭の発掘に成功する。勢いに乗った発掘課は、やがて日照市の海軍工廠に眠るお宝の情報にたどりつく。彼らが発掘したお宝とは?
荒唐無稽、なのに感動の室積ワールドは今回も健在! 笑って泣ける最強エンタテインメント、いきなり文庫で登場!!

感想・レビュー・書評

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  • フィクションなんだよね。凄い面白かった。
    室積さんは山口県出身の作家さんで、今回の舞台が室積さんの地元。
    私も知ってる場所があちこち出ていてわかりやすい。
    埋蔵金を探し求めるうちに、戦争の頃の歴史も紐解かれ、ハラハラドキドキしながらも、感慨深い気持ちになったり。
    最後にオチもあり、映画になったら凄く面白いと思うな~

  • テンポ良くキャラクターが活かされていて読みやすく面白いです

  • ストーリーの途中からリアルになった気がします。
    もっとハチャメチャだと思ってました。
    中途半端に自分は感じましたね。
    最後までハチャメチャでいて欲しかった。

  • 東京の会社を早期退職して故郷の山口県に戻った主人公。実家に一人で住み幼なじみたちとのんびりと暮らしていたある日、市役所勤めの幼なじみから、地域活性のために埋蔵金を発掘してくれと頼まれる。市の財政が悪化して一山当てたいという市長の意向ということで、市役所の若手職員と地元の野球クラブの青年と発掘を始める。市役所の一部署として正式に発足し、ひょんなことから1年間のテレビの密着取材がつくことに。
    地元に詳しい諸先輩方から埋蔵金がありそうな場所を教えられその調査を進めるうちに、あるひとりの天才科学者に行き当たり、彼が埋蔵金のキーマンであることがわかる。
    彼が残したものはなんだったのか、そして彼が伝えたいことはなんなのか。

    他の本と同様にけっこうふざけているのかと思ったが、これはわりと真面目でよかった。
    埋蔵金から戦争の話につながると思わなかったが、そのつなぎは無理がなかったと思う。
    まぁ、いろんな場面で特殊能力を持つ巫女さんの力に頼っているのがマイナスポイントといえばそうだけど、エンターテイメントということでゆるされる範囲か。
    天才科学者や回天の開発者の思いがたくさんの人に伝わればいいなと思った。



  • 広告会社を早期退職し、帰郷した主人公の元に、市長の秘書をつとめる同級生がやってきた。市長からの密命で、市の財政破綻を救うために、埋蔵金を発掘してほしいという。
    エンタテインメントものではあるが、そこは室積氏らしい作品に仕上がっている。

    戦時中の10代の子の写真を見ると、幼くして既に達観したような精悍な顔つきをよく目にする。
    物語中盤から海軍の話になる。
    現在でいう中学生くらいの男の子が、校庭で遊ぶ更に歳下の子供らを見て、この子らの明日のために、自分の明日を賭す、と。
    国の為、死地に赴く、その覚悟。あんな顔つきになるのだろうな。
    人間魚雷「回天」を開発し、自ら初の搭乗をする。
    城山三郎氏の『指揮官たちの特攻』を思い出す。

    笑えるエンタテインメント作品ながらも、目頭を熱くさせる室積氏らしい、良い一冊でした。

  • 瀬戸内海に面したとある市に急遽できた、埋蔵金発掘プロジェクト、その一年の奮戦期。「日輪の遺産」張りの、お宝発掘ストーリーに仕上がっている。

  • 市の財政難を打破するために、埋蔵金を発掘する。
    市長の思いつきから始まる、ユーモア小説。
    空気の読めない職員。
    妄想爆発の銀行員。
    軽いノリの市長。
    憑依体質の巫女。
    個性的なキャラが集まっての、ドタバタ。
    一口にお宝といっても、時代背景はさまざま。
    テンポよく楽しいだけでなく、最後は真面目な問題も。

  • 父親の介護のために東京の仕事をやめ、山口県の日照市の実家に戻った筒井であったが、父親があっけなく亡くなってしまったため単調な毎日を過ごしていた。そんな折、同級生が秘書課をやっているという縁で、市長に声をかけられ、埋蔵金発掘課に抜擢される。市職員で役立たずの伊藤と、地元の社会人野球のピッチャーでリストラの憂き目にあった石川の3人で、歴史研究家の指摘した場所を掘り始めるが…。

    基本的にタイトルのとおりと思って読み始めても、全く問題ない作品である。当然のようにほっても何も出てこないし、役立たずのキャラがいらないことをやらかす。歴史研究家と作家は、意味ありげなことを言い、市長は仕事だけ振って、成果を求める。キャラクター設定は完全にコメディーである。

    しかし、後半に差し掛かったあたりから、それまでのストーリーとガラリと方針が変わるのが、本作の醍醐味であろう。詳しくは実際にお読みいただきたいが、第二次世界大戦中の山口県の軍事産業における開発秘話を中心とした話に移っていくのだ。

    全体に、多彩なキャラクターによる王道コメディードラマ仕様になっており、目をつけたテレビ局に取材されるなど、井上ひさしなどを彷彿とさせる、最近ではかなりレアなガチガチの作りだ。

    一方で、後半部分はかなり調べたのであろう厚みとなっており、なかなかに引き込まれるものはあった。

    しかしながら、キャラクターの設定が独りよがりな部分があるため、名前だけが独り歩きし、読者の理解が追いつくのが難しい部分があったり、コメディー部分はストーリーが進まないもんだから、全てオカルトに頼ってしまったりという部分は今ひとつ。

    また、何も見つからないなら見つからないままで終わればいいものの、終わりの幕切れがダラダラと長引いた挙げ句、余計なエピソードを入れたのは必要だったのか?

    ついでに、最近の作家に見られがちな、過去の階層に入るのか入らないのか曖昧なまま、過去の話が語られがちなのは、結構困るんだよね。

  • 室積作品の中では、比較的落ち着いたお話でした。
    が、やはりアイデアは突拍子のないものでした。
    埋蔵金発掘という派手に見える面の背後に
    郷土愛や人を育てる重要性のメッセージが見えました。
    海を観たくなりました。

  • 財政難に悩むふるさとのため、主人公の筒井は市役所に努める同級生からの依頼により、「埋蔵金発掘課」の課長として仕事を始めることになります。
    設定のハチャメチャ具合いはこれまでの作品同様、作者の「よさ」が出ているように思います。
    ストーリー展開もスムーズで読みやすかったです。

    特に、「カネ」を発掘することに終始するのではなく、歴史的な遺産や「記憶」を発掘して現在の社会に一石を投じるようなエピソードが挟まれているところなどは、単純なエンタメ作品とは一線を画す部分かもしれません。
    この作品を通して、先の大戦で被害を受けた人々だけでなく戦争を経験したすべての人々に対して(被災者だけでなく、徴兵された学徒兵や、彼らの使用した武器や兵器を開発した若い技術者たちも含めて)想像力を働かせるきっかけにもなると思います。
    といっても、主なテーマが戦争ではないので、そこまで「暗く」なることはなく、「読みやすさ」という面では大きな影響はないと思います。

    しいて言えば、ラストの「後日談」的な部分が蛇足だったのかな(この作品の「オチ」ではあるので、まったく無駄というわけではないのでしょうが)という印象で、個人的には別の終わり方をしてほしかったな、とも思いました。

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著者プロフィール

1955年山口県光市生まれ。本名の福田勝洋名義で、俳優としてテレビ・映画に多数出演、また劇団「東京地下鉄劇場」を主宰し劇作家としても活躍。2001年『都立水商!』で作家デビュー。同作はコミック化・ドラマ化もされヒット作となる。主な作品に『史上最強の内閣』『史上最強の大臣』『ドスコイ警備保障』『埋蔵金発掘課長』など。

「2022年 『森の石松、社長になる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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