船に乗れ! 1 合奏と協奏 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 129
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063004

作品紹介・あらすじ

本屋大賞候補の音楽小説三部作、新装文庫化

新生学園大学音楽科の創設者を祖父に持つ津島サトルは、プロのチェリストを目指し、一家の敷いたレールに乗っていたはずだった。しかし芸高に落ち、失意のまま新生学園大学付属高校に入学する。
サトルはそこで一流の音楽を奏でるため奮闘する同級生たちに出会う。フルートを奏でる美少年・伊藤慧とポニーテールの鮎川千佳。そして、見たこともない澄みきった目をしたヴァイオリン奏者、南枝里子。オーケストラの想像以上に過酷な練習は、彼らを戸惑わせる。夏休みのオーケストラ合宿、文化祭、南とピアノの北島先生とのトリオ結成と、一年は慌ただしく過ぎていくが……。
本屋大賞ノミネートの傑作青春音楽小説3部作が、人気漫画家・穂積さんの描き下ろしカバーイラストで新装文庫化!!

感想・レビュー・書評

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  • 読み始め…16.7.13
    読み終わり…16.7.13

    音楽が題材になった小説として読んでみたくてかなり前から探していたところ、カバーが新装され出版社も変わって再販されていたところにやっと出会うことができました。新装されたカバーのイラストは漫画家さんであるという穂積さんによるもので、楽器に向かうその真剣な眼差しがこのストーリーに登場する人物たちにも似ていてなかなかの迫力です。

    音楽一家に生まれ育った津島サトルはチェリストを目指して東京芸大の付属高校を受験するも失敗し、結局サトルの祖父が学長を務める私立の音楽高校に入学するというところからストーリーは始まります。

    音楽科に特化した過酷なカリキュラムに奮闘するサトルとその同級生たち。友情と恋にも揉まれ、高校生という多感な年頃の心の葛藤は全力で熱いです。

    ことにオーケストラという集団での演奏について、一つの音楽を集団で作り上げ、ステージ上で演奏するに至るまでの過程の描写があまりにもリアルで真に迫るものがありました。

    楽器というものはたった一つでも音楽(曲)を成すことができるけれど、集団で一つの音楽を作り出すこともできる。

    オーケストラでは、楽器一つでも成せるのが音楽だからといって自分一人だけが目立ったり、勝手なことをしたり、あるいは手を抜いたりしていたんでは一つの音楽(曲)は出来上がらない。自分の役割を忠実に果たすことによって初めて一つになるもの...

    並行して読んでいる本があるせいか「駅伝」にも通じるものがあるように思えました。

    一つの目標に向かって全力で熱くなる青春。
    一生懸命。好きな言葉です。

  • 音楽に打ち込む若者たちの青春小説。
    三部作の第一弾。

    津島という苗字は、もしかして、恥の多い人生を送ってきた例の文豪から取ったのだろうかと思ったら、やはりそのようでした。

    失ったものを語る口調の回想から入るあたり、何か残念なことが起こってしまったのだろうとは想像するけれど、第一弾は、まだ、華やかな登り坂だ。

    滑稽なほど思い上がった可愛げのない子供だった津島サトルは、その鼻っ柱をへし折られて、華麗なる音楽一族の長である祖父が学長を務める「三流の」音大附属高校に情実入学を果たす。

    津島サトルが気取った仮面を脱ぎ捨て、素直に音楽に傾倒し、情熱を傾けるようになるまでが、この一冊。
    楽器の演奏、合奏、自分を磨くこと、人の音を聴くことは、スポーツに通じる。
    だから、音楽家たちの青春ものは、熱くて爽やかで、輝いている。

    前半、哲学の話題が多かったが、津島くんがそういう小難しいことばかり考える少年だったのだから仕方がない。

    彼が普通の(才能と育ちを考えると全然普通じゃないが)DKになった、と思った瞬間は、戸田先輩に「オイ!」と突っ込みを入れた時。
    そして、普通の高校生らしく、恋に落ちて行くのだ。

    美少年・伊藤の眼差しが気になる。
    健気なポニーテール・鮎川の語らぬ思いが気になる。

  • 序盤のインテリぶった文体に少し嫌悪感を抱きました。

    けれど芸大付属高に落ちたり南枝里子を強く意識するようになると、サトルの“素”の部分がドンドン前にでて来、サトルがとても魅力的な人物に(いいヤツ、という意味ではないです)思えてきました。

    サトル以外の人物もキャラが立っているし、演奏や人間関係で上手く行ったり行かなかったりと展開にメリハリがあって、のめり込むように読んでいました。

    気づけば一気に読み終えていました。

    唯一説明が不足していると感じたのは、南がどうしてサトルを意識し始めたのか、という点。

    南はプライドが高そうなので、チェロが上手いと評判だったサトルが気になっていた、ということでしょうか?

    この点については続く2作目、3作目で明らかにしてほしいところです。

    • 三条司さん
      初めてコメントします。

      南がサトルを好きになったのは、彼がチェロが上手いと言われていたから、だけな気がします。
      結局、彼女は、自分の...
      初めてコメントします。

      南がサトルを好きになったのは、彼がチェロが上手いと言われていたから、だけな気がします。
      結局、彼女は、自分の欲を満たすためにヴァイオリンを選んだのであって、サトルのように音楽に圧倒された経験はないんじゃないかな、と。
      好きというよりかは、南が自分の行きたい場所に到達するために、サトルの力が必要だと感じたからじゃないかなと思いました。踏み台みたいな…。
      2016/07/14
    • inutoolsさん
      返答遅くなってすみません。そしてコメントありがとうございます。

      確かに、思い返してみると南は「好き」という感情ではなく…極端な話「自分...
      返答遅くなってすみません。そしてコメントありがとうございます。

      確かに、思い返してみると南は「好き」という感情ではなく…極端な話「自分の栄養になる人材」としてサトルに擦り寄っていたようにすら感じてしまいます。

      そう考えると「好きというよりかは、南が自分の行きたい場所に到達するために、サトルの力が必要だと感じたからじゃないかな」は、とても核心を突いているように感じました。

      それ故に、音楽に対してその程度の覚悟しかなかったのにあれだけ周囲をかき乱した彼女のことを、今まで以上に許しがたい存在と思うようになってしまいました。相手の男が音楽界で権威のある人で、退学後も音楽をずっと続けていたら、音楽に対する執念にだけは納得ができていたかもしれません。ただの妄想ですが…
      2016/07/19
  • 音楽一家に生まれた津島サトルは、一家の敷いたレールに乗ってプロのチェリストを目指すが、芸高に落ち、失意のまま三流音楽高校に入学する。そこで生涯忘れられない同級生たちに出会う。
    青春音楽、時々哲学。
    大人になった主人公の独白形式で物語は進むが、振り返るあの頃に不穏な空気を孕んでいるのが気になる。

  • あるかしら文庫で読んだ。何も期待しないで読んだが、音楽の知識は全くない私でもそのテンポだったり緊張感だったり、青春の甘酸っぱい感じを存分に感じることができた。蜜蜂と遠雷以来の感覚だった。1巻で終わらないとわかって、先が気になるが、まずは小休止したい。あの熱量をあと2巻味わうのもなかなかハードルが高い。しかも、挫折が待っていそうな予感。まずは、津島と南がいい感じでいい方向にいきそうなところでホッと一息つきたい。また、続きが気になる時に次の巻に手を伸ばそう。

  • 2016.10.17 読了

    藤谷治が3部作で描く青春音楽小説。2010年本屋大賞ノミネート作品。本書は主人公の津島サトルが高校時代からある時点(第1部では詳細不明)までを振り返るように語る回顧録として描かれている。第1部のタイトルは『合奏と協奏』。プロのチェロ奏者を目指す主人公が新生学園付属高校に入学し、合奏(=オーケストラ)と協奏(=ピアノ・トリオ)に向け奮闘する。南との恋模様も甘酸っぱくて良いが、お互いの音楽を認め合える仲間として描かれている場面が心に響く。1部を読み終えてすぐに2部と3部も購入。読む。

  • 配架場所 : 文庫
    請求記号 : BUN@913@F103@1-1
    Book ID : 80600058301

    http://keio-opac.lib.keio.ac.jp/F/?func=item-global&doc_library=KEI01&doc_number=002523642&CON_LNG=JPN&

  • サトルと南と北島先生がメンデルスゾーンのピアノ・トリオを演奏しているシーンでは、音が体中に鳴り響いていた。協奏し、共闘し、最後に融合していく音楽の至福!愛を語り合うような音による交歓!ゾクゾクし、鳥肌が立ち、涙が出た。これぞ音楽。魂の発露。久しぶりにあの感動を思い出した。

  • 友達が気になっている本として勧められて読む

    ピアノトリオの話がでるまでいまいち読み進むのが乗らなかった

    続きの巻に期待

  • 一流音楽家の家系に生まれチェリストをめざす津島サトル

    芸大附属高に落ちて入学した高校の音楽科で出会った友人や教師と
    迷い悩みながら自分たちのめざす音楽をつくりあげていく

    漱石や大宰にも通じる濃密な独白体による青春音楽小説三部作の第一巻

    著者自身が「僕はなんでも書けますから」(解説)というとおり
    音楽や哲学を縦横に語りながら展開する物語には強い吸引力がある

    発表当時「本屋大賞」7位になった単行本の2度目の文庫化

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著者プロフィール

1963年東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2003年、『アンダンテ・モッツァレラ・チーズ』でデビュー。08年、『いつか棺桶はやってくる』で三島由紀夫賞候補。10年、『船に乗れ!』三部作で本屋大賞第7位。14年、『世界でいちばん美しい』で第31回織田作之助賞受賞。他の著書に『燃えよ、あんず』『綾峰音楽堂殺人事件』などがある。

「2019年 『花や今宵の』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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