付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女 (小学館文庫 か 35-9)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094063547

作品紹介・あらすじ

打ち首獄門、市中引き廻しの付添い!?

第一話 犬神憑き
付添い屋の秋月六平太は、北町奉行所の同心・矢島新九郎から「打ち首獄門にかけられる罪人の、市中引き廻しに同道していただきたい」と依頼される。隠れ家を密告され捕らわれた兇盗・五郎兵衛は、奪った金五百両の隠し場所を、打ち首と決まっても白状せずにいた。五郎兵衛は、死の直前、不思議な言葉を六平太に告げる。
第二話 宿下がりの女
新川の味噌屋「出羽屋」の娘・寿美は、つい最近、奉公していた武家屋敷から宿下がりをした。その直後から、編笠を被った侍に付け狙われるようになったという。寿美は、側室と家臣の密通をはからずも目撃してしまっていた。
第三話 となりの神様
六平太は鰻屋「兼定」の主人定松から、店で無銭飲食をしたまま出ていった亀助という男の居所を調べてほしいと依頼させる。亀助はどこの店に行っても金を払わない。だが、彼が長く滞在する店は必ず繁盛するというのだ。
第四話 嘘つき女
代書屋「斉賀屋」に勤める博江に呼び出された六平太は、ある少女が代筆を依頼した不穏な手紙の内容について相談される。一方、市中引き廻しとなった兇盗・五郎兵衛の一味の者たちが、六平太の身辺をうろつきはじめる。

【編集担当からのおすすめ情報】
ドラマ時代劇の英雄
北大路欣也さん、高橋英樹さん、里見浩太朗さん、松平健さん、
村上弘明さん、中村梅雀さん、西郷輝彦さん、古谷一行さん
こぞって絶賛!(コメント到着順)
ドラマ「真田太平記」の脚本も手がけた
書き下ろし時代小説界最後にして最強の新人!
最新刊第九弾のオビコメントは、草刈正雄さん。

感想・レビュー・書評

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  • 六平太と博江の仲が近づいていきます。
    このまま行くと何かが起こるかも……。

    浅草元鳥越の市兵衛店に住まいして、立見流兵法の遣いてで、信濃国十河(そごう)藩加藤家を出て浪人となった秋月六平太(ろつぺいた)が、口入れ屋・もみじ庵からの紹介で裕福な商家の子女の芝居見物などの付添い屋を生業とする人情物語です。
    六平太の義妹・佐和は、火消しの音吉と祝言を挙げ、授かった勝太郎が可愛いです。
    元旅籠町の代書屋「斉賀屋(さいがや)」で働く博江は、六平太の面倒をよくみています。

    【犬神】
    天保二年(1831)八月。盗賊、犬神の五郎兵衛は、居場所を奉行所にたれ込まれ捕縛された。五郎兵衛の盗賊一味のうち頭ひとりだけが捕縛された。いままで稼いだ金の在りかを吐かないで獄門となった。ただ秋月六平太に、五郎兵衛が紅葉の名所は、正燈寺に近い荒れ寺だと言った。これはただの雑談だったのか。

    【宿下がりの女】
    味噌問屋「出羽屋」の娘・寿美が、奉公先の旗本屋敷からお暇を頂いて帰って来た。寿美は、屋敷で側室の密通を目撃したために命を狙われている。六平太が、寿美を江戸から佐原へ送って行く。この間に、六平太が風邪を引き寝込んだら博江が泊まり込みで献身的に看病してくれた。

    【となりの神様】
    繁盛神といわれる亀助は、いろんな店に行っては、本当に美味しく食事をする。そうすると不思議な事に自然に客が増えていく。それを知った潰れそうな店は、亀助を捕まえてきて店におくが、客は増えない。亀助が行く店は、努力していて評判がいい。

    【嘘つき女】
    水茶屋「津雲屋」の玉代は、代書屋「斉賀屋」で博江に親元へ手紙を書いてもらう。その内容が、助けてという大変な内容なので六平太に相談する。調べると嘘であった。その理由を知った博江が、玉代を水茶屋から五両で身請けを考えた。六平太は、正燈寺に近い荒れ寺の枯れ井戸から盗賊、犬神の五郎兵衛の隠し金を見つける。

    【読後】
    江戸時代の貨幣である一両を十万円に換算して、一分(一両の四分の一)は2万5千円、一朱(一両の十六分の一)6,250円と文中で書いているために分かりやすいです。そして1830年頃の江戸の町の風情がこまやかに書かれています。町人文化が大きく花開いた江戸が楽しく、想像が膨らんでいきます。
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    獏の巻 嘘つき女 ― 付添い屋・六平太シリーズの9作目
    2016.11発行。字の大きさは…小。2022.08.14~17読了。★★★☆☆
    犬神、宿下がりの女、となりの神様、嘘つき女、の連載短編4話。
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  •  金子成人「嘘つき女」、付添い屋六平太シリーズ№9、2016.11発行。犬神、宿下がりの女、となりの神様、嘘つき女の4話。どれも味わい深く楽しめました。六平太が風邪を引いて二階で寝てる時、看病のため一晩一階で過ごした博江。孤児の女の子玉代を5両で水茶屋から引き取り世話をしたのも六平太と博江。この二人いよいよ近いかと思いきや、音羽におりきが帰ったとの噂も。しとやかで控えめな博江と派手で色っぽいおりき、さあどうなることか。

  • 秋は付き添い家にも忙しい時期。
    ある日、知り合いの同心から、支柱引き回しの付き添いを頼まれる。

    盗賊の頭立った男が、未だ金の隠し場所を教えない。
    きっと捕縛を魔逃れたその配下の接触があるはずだった。

    その話を今回は全編に散らばせつつ、いくつかのエピソードを絡ませる。

    イイ話揃い。

  • 博江さんとどうにかなるのかと思えばおりき姉さんが帰ってくる?

  • 安定の時代小説。痛快な場面は少ないけれど、それが強さの証。でもそれ以外の「江戸の市井の暮らし」を描いている部分、切なさやもの悲しさを感じさせる物語が好きです。

    出来れば実写化して欲しくないです。

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著者プロフィール

一九四九年長崎県生まれ。会社勤めのかたわら倉本聰に師事し、七二年「おはよう」で脚本家デビュー。九七年、第十六回向田邦子賞を受賞。「鬼平犯科帳 」「剣客商売」「御家人斬九郎」「水戸黄門」など脚本作品多数。著書に「追われもの」「付添い屋・六平太」「ごんげん長屋つれづれ帖」「かぎ縄おりん」などの各シリーズがある。

「2023年 『小梅のとっちめ灸(三)針売りの女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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