海が見える家 (小学館文庫 は 3-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064391

作品紹介・あらすじ

ワケあって、田舎暮らし、はじまる。

苦戦した就活でどうにか潜り込んだ先はブラック企業。働き始めて一ヶ月で辞職した。しかし、再就職のアテもなければ蓄えもない。そんな矢先、疎遠にしていた父親の訃報が飛び込んできた。孤独死したのか。どんな生活を送っていたのか。仕事はしていたのか。友人はいたのか。父について何も知らないことに愕然としながらも、文哉は南房総にある父の終の棲家で、遺品整理を進めていく。はじめての海辺の町での暮らし、東京とは違った時間の流れを生きるうちに、文哉の価値観に変化が訪れる。そして文哉は、積極的に父の足跡をたどりはじめた。「あなたにとって、幸せとは何ですか?」と穏やかに問いかけてくる、著者新境地の感動作!

【編集担当からのおすすめ情報】
千葉県は南房総、館山を舞台にした小説です。
解説は、丸善津田沼店の沢田史郎さんという千葉つながりです。
もちろん、作家・編集者とも千葉出身です。

感想・レビュー・書評

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  • 会社の先輩からお借りした作品。

    文哉は大苦戦の末、漸く受かった企業を、一ヶ月で退職した。
    再就職のあてもなく途方に暮れていたところ、突然訃報の電話がかかってきた。

    暫く連絡をとっていなかった父親が亡くなったのだという。
    全く連絡をとっていなかった為、父親がどんな生活をしていたのか、仕事をしていたのか、全く知らないことに愕然とする。

    南房総の父親が亡くなった時住んでいた家で遺品整理を始めた文哉。

    次第に父親の暮らしぶりがわかってくると同時に、色々な気づきを得る。


    うーん、ほんわかいい話。
    とても読みやすい本だった。

    こーなるだろーなーって予想した辺へ話が落ち着いてしまうが、それが悪く無い(^^)

    この本は続きがあるようだな。
    会社の先輩が貸してくれるのならぜひ続きを読んでみたい(*^▽^*)

  • 主人公、文哉がブラック企業をやめた矢先、疎遠にしていた南房総の父の訃報を知る。そして父の仕事を引き継ぎ別荘の管理人の仕事を続けるうちに、父の生き方、歩みがが明らかになっていく。
    富浦など知ってる地名が出てくる。よくつれる魚の名前が出てくる。海の恵みを生かした生活は自分も少しばかり味わっているので共感してしまう。
    社会に出て人と同じように生きる道は、競争も軋轢もありレースに参加する意義を見失うこともある。自分がどう生きたいか実現していくことは難しい。けれど「どう生きたいのか」いつも問いかけていきたい言葉だと思った。

  •  仕事とは? 生きがいとは? 幸せとは? と自問しても、勿論正解はありません。それらに対して何を求めるのか、何を基準に考えるか等、価値観や持っている物差しの違いで変わるでしょう。
     本書は、そんな理想と現実のギャップに悩んでいる人へ、一つのヒント或いは一歩踏み出す勇気を与えてくれる、そんな物語だと思いました。

     入社1ヶ月で会社を辞めた主人公・文哉。直後、疎遠にしていた父の死を知らされます。遺されたのは、南房総の丘にある「海が見える家」でした。
 遺品を整理しながら、文哉は父の足跡を辿っていき、様々な意外な事実を突きつけられていくのでした。そこには、文哉の知らない父が生きていて、父の遺品、交流した人、見ていた風景、海の恵み‥、それらの声・父の想いに耳を澄ますことで、文哉は自分の生き方を見つめ直し、深めていきます。

     330ページほどの物語ですが、脚本のように57の場面に分かれ、加えて一文が短いので、とても読みやすいです。
     ある意味、文哉の今後の生き方の軸足が定まったところで終わるので、続編も気になるところです。

     余談ですが、はらだみずきさん初読みで、更に著者が男性であることを初めて知り(スミマセン)、自分の無知さと思い込みの危険さを痛感しました。
     続編が何冊も出ている本書に、〝あったかさ〟と〝ホッコリ感〟をいただきました。

  • おとうさん、ちょっといろいろあったけれど、海の近くて生き生きと暮らしていました。それを窺い知ることもなかった子どもたち。
    おとうさんの「たいせつなもの」。それはそうですよね。
    少しづつ本当のことが見えてくる。
    いい暮らしだなあ。ほんとうに。

    「エミリの小さな包丁」にちょっと似ています。
    海は生きている、ということ。
    ほんとうに生きている。ありがたいです。

    ↑あわせて読もう! でも、おなかすいてもしらないぞ~

    +++

    海の近くに親戚がいます。
    「家に鍵なんてかけないよ。だって誰か何か置いてってくれるからね」

  • 父が残してくれたのは、家だけでなく温かい人々との繋がりでした。自然と周りの人々の中でたくましく成長していく文哉を気づいたら応援していました。更に文哉がどんな生き方をするのか続編の「それから」が楽しみです。

  • 1ヶ月でブラック企業を辞めた直後に父が亡くなったと電話が入る。
    しばらく、父とは音信不通であり、長年勤めた会社を50を過ぎたばかりで辞めて南房総の田舎で暮らしていたことを知る。
    とりあえず、無職のため父の住んでいた家を処分するつもりで遺品整理を始める。

    そこで、父がどのように暮らしていたのか…
    亡くなってからわかる親のこと…
    そして、自分の今を考えて、どうしたいのか?見つめ直すきっかけになる。
    前に進まなければ、何も見えないよ、と背中を押してくれるような希望も見える。

  • 夏に読めて良かった。

    主人公の文哉はようやく入った会社を1ヶ月で辞めてしまい無職になります。
    そこへ疎遠だった父親の訃報が届いてきます。

    父親がどこでどういう生活をしていたのかもわからない状態で、父親の暮らしていた海が見える家へやってきます。

    そこで遺品整理をしているうちに父親の暮らしぶりがわかってくるのですが。。

    読み進めていくうちにどんどん引き込まれていきました。
    人との関わりは鬱陶しいこともあるかも知れないけど、やっぱりいいな!と思える作品でした。

    こういう本は幸せを感じます。

  • この世界観は好き。
    続きが読みたくなった。
    南房総いいなあ

  • 面白くて直ぐに読み終えました。
    小説中の各節の番号が短く区切られいますので、とても読みやすかったです。
    主人公の文哉がブラック企業を1か月で辞めると疎遠だった父親の訃報が、そして、父の住んでいた南房総へ向かい父親の足跡をたどりはじめることに。後半は姉の宏美さんも南房総へ。
    南房総の皆さんとの心温まるふれあいが素敵でした。
    幸せとは何かを本当に穏やかに問いかけてます。
    とても穏やか物語です。
    文哉と姉の宏美さんは、この南房総で暮らすのかなあ。
    続編が出てますので直ぐに着手したいと思います。楽しみです。

  • 亡き父を追いかけるストーリーに、思いっきり自分をダブらせちゃった。ウチの親父は何に夢中になっていたかなと想像を膨らませ、遺書も遺志もない記憶の底から何か出てこないかと期待した。結局なーんにも見つからなかったけれど、父と対話するチャンネルが初めてひらいた、ような気もした。

    創作っぽさが雑多に垣間見えるけど、その1点において私にパーソナライズされている作品(自己中か)。


    ──静寂に包まれた海の上で、ボードにまたがったまま、主人公はその時を待った。どれくらい時間が経っただろう。数分だったのか、あるいは数十秒だったのかもしれない。海の上は、時間の長ささえ定かではなかった─

    この世界が放っている煌めきを親子で共有できる瞬間。振り切れた幸せメーターの感動を忘れたくない。けど、いつか忘れるんだろなと思う。

    それを覚えてる人がいるとしたら、それはあなたの周りの人だよってことだよね。

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著者プロフィール

千葉県生まれ。商社、出版社勤務を経て作家に。二〇〇六年『サッカーボーイズ再会のグラウンド』でデビュー。「サッカーボーイズ」シリーズ、「海が見える家」シリーズの他に『帰宅部ボーイズ』『ようこそ、バー・ピノッキオへ』『会社員、夢を追う』『太陽と月サッカー・ドリーム』などの著書がある。

「2022年 『サッカーデイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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