サラバ! (上) (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 137
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064421

作品紹介・あらすじ

累計百万部突破!第152回直木賞受賞作

僕はこの世界に左足から登場した――。
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。

感想・レビュー・書評

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  • 初めはアクの強い登場人物たちにやられ、読みきれるのか、と不安でしたが
    読み進んで行くほどに何だか垰家の変人たちが好きになってくるから不思議。
    エジプトでの生活が始まった辺りから一気読み。
    ヤコブ少年と歩の友情が『精神的ホモセクシャル』と書かれており、私の知人も『少年時代の男同士の友情はホモに近いものがある』と言っていた事があったなぁ、とふと思い出し妙に納得。
    男同士の友情って、昔から密かに憧れている事のひとつだったりする。
    中巻へ続きます。

  • この本の帯についていた芸人で作家の又吉直樹さんの言葉「これは、あなたの魂ごと持っていく物語」という文言に惹かれ即購入したのがきっかけである。
    主人公は空気を読んで、ひたすらマイノリティにならないことで、一番にならないことで地位を保つ圷歩。その一方、彼の姉貴子は周囲を困らせ、「私を見て」というアピールをし続け、周囲の人たちを困らせる「問題児」をして描かれている。
    その姉を見ている歩は、常に受け身で学校でも家でも自分の意見を言わずいい子として育っていった。歩はエジプトに住んでいた時期があり、そのときにヤコブという親友に出会う。

    この本を読み終えた後、私は本当に、自分の中で情けないような、感情が渦巻いた。西加奈子さんは、どれだけ自分を削って削って、この作品を書いたんだろう。どれだけの思いがあれば、こんな本が書けるんだろうか。なんで、こんな風に内面を表せるんだろう。

    この本を書き上げるのに三年かかっているらしい。私の魂を持っていくのには十分すぎる内容だった。読了後抜け殻のような気分になった。本当に、すごい小説だった。

    私は主人公の歩に共感する場面が多かった。常に受け身な姿勢でどう思われるかを最優先する、波風の立てない姿勢は私そっくりだ。最終的に痛い目をみそうだということも、なんとなく感じるのだ。実際物語の最後に歩は職も恋人も離れていく。実際自分が見下している人が離れていく。

    わたしはこの小説から強いメッセージを受け取ったと思う。「あなたが信じることをだれかに決めさせてはいけない。」歩は最初、貴子の言うことに耳を貸さない。歩の心情を見ていると、読んでいてきつかった。私自身のことが書いてあるから。
    歩に話す貴子の言葉。
    わたしはあなたを愛している。それは絶対に揺るがない。あなたを信じているからじゃない。あなたを愛する私自身を信じているからよ。

    わたしはわたしを信じる。わたしがわたしでい続けたことを信じているの。だからもしそれが間違いだったとしても、もう私は壊れないわ。わたしは誰かにだまされていたわけでもない。だれかに任せていたわけでもない。わたしはわたしの信じるものを、誰にも決めさせはしないの。
    ぼくはどうやら、姉がこころから自分のことを思っているらしいということに気が付いていた。
    いい言葉だ。すごくいい言葉だ。あなたを信じるのではない。あなたを愛する、わたしを信じる。その言葉は今、自分の凝り固まった頭に、心に澄み渡って、まっすぐに響く。
    この言葉に出会えて、ほんとうによかった。

  • 歩が産まれてから高校2年生になるまでの、家庭環境、住んでる場所、学校での様子、とても丁寧に記されている。

    読みやすくて、理解しやすい文章。著者の他の本も読んでみようと思った。
    そしてエジプトに住んでみたくなった。私って単純^_^

    いつも冷静で、少し冷めたところのある歩が、この後どんな大人になっていくのか、ちょっと特殊なお姉さん、元気なお母さんがどうなるのか、下巻が楽しみ(* ॑꒳ ॑* )⋆*

  • この本を手にとった時期は「文章で自分を表現するってどういうことだろう」と考えていた頃です。

    この西加奈子さんの「サラバ」は幼児期から青年期を振り返るように書かれた自伝風小説です。まさに表現の教科書というべきセンスの塊の連続でした。

    美しすぎる文章に違和感もあった時期だったので、この「サラバ」にあるゴツゴツとした整備されていない岩山を、歯を食いしばって地を這って見つけ出すという生を生々しく描いた小説が心にガツンときました。

    そして、自分の幼少期から思春期の1番蓋をしていた場面がバッと写真になって蘇ってきたのです。ーそうだ。自分ってこういう人間だった。ー

    この本を手にとったきっかけである「自己表現」とは「作るものじゃないんだ。思い出すことなんだ。」と、表現の叩き台となった一冊になりました。

  • 続きが気になって読む手が止まらない。
    下巻まで退屈とか言ってる人もいるけれど、上・中があるから主人公の人間性が分かる。
    読んだ方がいいよ。

  • 帯につられて読んだけど、
    まだまだおもしろさがわからない。
    ひとまず塩漬けして、また気が向いた時に
    読み直してから続きを読もうと思う。

  • 初読

    序盤は読みやすいっちゃ読みやすいけど…
    エンタメ色強すぎ?
    とか思いながら読み進めていくと
    いつの間にか引き込まれ。

    カイロでの生活の描写、
    ヤコブとの出会いの中で自分を恥じる描写、
    家の中の「不穏」をやり過ごそうとする子供。
    なかなかグッとくるわぁと思いながら上巻を読み終わりそうな時の
    いきなりのナイル河の出来事。
    えっえっw

    中巻に続く。

  • 再読。上巻をじっくり堪能。愛すべき圷家。『サラバ』続けて中巻へ♪歩とヤコブの『サラバ』に、涙。

  • 物語は圷家の日常を描いているだけなのに、
    どんどん物語に引き込まれていく。
    中巻が楽しみ!

  • 直木賞受賞作の文庫化で読んでみた。
    最初は多少受け狙いの文体かなとも思ったが、読み進める内に登場人物の性格や思いや考えが擦り込まれてきて、しっくりとして来る。
    心休まる暖かい話しに期待して、次巻を楽しみにします。

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著者プロフィール

1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。
プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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