サラバ! (上) (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 4735
レビュー : 226
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064421

作品紹介・あらすじ

累計百万部突破!第152回直木賞受賞作

僕はこの世界に左足から登場した――。
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。

感想・レビュー・書評

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  • 初めはアクの強い登場人物たちにやられ、読みきれるのか、と不安でしたが
    読み進んで行くほどに何だか垰家の変人たちが好きになってくるから不思議。
    エジプトでの生活が始まった辺りから一気読み。
    ヤコブ少年と歩の友情が『精神的ホモセクシャル』と書かれており、私の知人も『少年時代の男同士の友情はホモに近いものがある』と言っていた事があったなぁ、とふと思い出し妙に納得。
    男同士の友情って、昔から密かに憧れている事のひとつだったりする。
    中巻へ続きます。

  • 素晴らしい作品。私は女なので、歩の気持ちのリアリティは評価できないが、それでも人生とはこういうことだと気付かされ考えさせられる作品。それでもって軽いタッチで読みやすい。5年後、10年後にまた読みたい。

  • 上中下まとめての感想

    図書館で借りたもの。
    1977年、圷歩(あくつあゆむ)は父の赴任先のイランで生まれた。チャーミングな母、変わり者の姉も一緒だった。イラン革命のあと、しばらく大阪に住んだ彼は小学生になり、今度はエジプトへ向かう。後の人生に大きな影響を与える、ある出来事が待ち受けている事も知らずに――。
    推しが読んでるって聞いて、軽率に読み始めるおたく。

    上中下でボリュームがすごい!
    西さんの自叙伝的な小説。
    直木賞受賞作。

    タイトルの「サラバ!」は、エジプトで仲良くなったヤコブとの挨拶。
    アラビア語の「マッサラーマ」(さようなら)と「サラバ」を組み合わせた「マッサラーバ」がきっかけになって、単純に「サラバ」と言うようになった。
    さようならの意味以外にも様々な意味を持つようになり、歩を安らかな気持ちにしてくれる魔法の言葉になった。

    エジプトでの生活が日本とはちがう事の連続で読んでて面白い。
    海外赴任に付いてってもいいかなーと思った。
    (今までは絶対嫌だった!)
    生活・日常が描かれている話がやっぱり好きだなぁ。


    「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」

  • 父親の仕事の赴任先のイランで生まれ、その後新しい赴任先のエジプトのカイロで幼少期を過ごした垰歩が主人公。4歳年上の問題児の姉、自由奔放でその問題児の娘と折り合いの悪い母親、そんな一家の日常を歩の視点で物語は進んでいくが、どうも私の好みに合わないようだ。この後中巻・下巻と読むのは一旦保留することにした。

  • 大地の子(山崎豊子)を読んだ時、異国を舞台とした長編小説のスケールに圧倒された。それを求め、初の西加奈子作品挑戦。

    前半に関しては、ただただ生い立ちの話で、「いやなんの話やねん!」という内容が続く。しんどくなり、レビュー見てたら「後半から引き込まれていった」との声多数で、それを信じ前半を乗り切る。するとその通り後半から話が展開していき、無理なく読み進めることが出来た。

    ・姉のエジプト以降の落ち着きはなぜ笑 圧倒的に日本という国に馴染めなかったという解釈で合っているのか?
    ・父母の「不穏」のきっかけとなる一枚の手紙の内容は何なのか。母親の精神状態をあれだけ変えたのは、どんな知らせだったのか
    ・姉の彼氏やいとこの男たちがゲイやホモである設定にはどんな意図があるのか

    不穏を引きずったまま、あまり良い思い出のない日本へ帰国。なにかと精神的支柱であった父親もいなくなり、垰家は平静を保てるのか、中下巻へ続く

  • 序盤一体何を読まされているのかと疑問しかなかったのだが、中盤ぐらいから一般的な生活とこの家族像に興味わきわきで、とても楽しく読めた。
    今のところ、サラバのタイトルの真意は分からない。
    物語だとしても、過去のことをえらく詳細で、自分なんて、保育園時代の記憶なんて片隅に断片的にあるものの、会話などは全く思い出せないし、友達から聞いた幼少期の事件なのか自分の記憶なのか定かでないことも多く、都合のいい捏造かもしれないと常日頃感じでいるところである。
    ちなみに最近好きなわーどは えちえちである。

  • わたしはこの本に、
    出逢う時期をもって出逢ったように思う。

    信じるものを、
    わたしも見つけられたと思う。

    どんなに揺れても、
    いつでもここにこの本にあるように、
    戻ってこられるように。

  • 「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」
    主人公の姉「貴子」のこの言葉が本書のメインテーマです。

    このメッセージが出てくる下巻のさらに後半までは、正直、退屈でつまらない物語。
    しかし、そのつまらないさまざまなエピソードが下巻で昇華されて、大きな衝撃をうける物語です。でも、感涙とか大感動とかいう感じではありません。
    頑張って下巻まで読み進めましょう(笑)

    主人公「歩」が37歳までの人生の自叙伝として、一人称で語られる物語。

    まず、上巻では歩が幼少時代から小学生までのストーリ。
    歩の家族は、自己中心的な母親、背が高く優しい父親、奇行が目立つ姉「貴子」、その中で、常に空気をよみ、マイノリティにならないように、受け身で生きようとする「歩」。

    歩はイランで生まれますが、イラン革命のために、大阪に帰国。大阪で幼稚園、小学生とすごしますが、受け身の姿勢で周りに溶け込みます。
    一方で、貴子はその奇行のために、孤立していきます。
    そんな折、父親の新しい赴任先がエジプトとなり、家族でエジプトで暮らすことになります。
    そこで、歩はヤコブという親友に出会います。
    その中で、二人の共通の言葉「サラバ」が生まれます。
    しかし、エジプトからの帰国が決まり、ヤコブと別れることになります。

    上巻で語られる、貴子や母親の行動はあまりに辛い、そして、歩の行動はちょっと鼻につく!
    しかし、これが中、下巻につながっていくのだから、しょうがないかとも思います。

  • この本の帯についていた芸人で作家の又吉直樹さんの言葉「これは、あなたの魂ごと持っていく物語」という文言に惹かれ即購入したのがきっかけである。
    主人公は空気を読んで、ひたすらマイノリティにならないことで、一番にならないことで地位を保つ圷歩。その一方、彼の姉貴子は周囲を困らせ、「私を見て」というアピールをし続け、周囲の人たちを困らせる「問題児」をして描かれている。
    その姉を見ている歩は、常に受け身で学校でも家でも自分の意見を言わずいい子として育っていった。歩はエジプトに住んでいた時期があり、そのときにヤコブという親友に出会う。

    この本を読み終えた後、私は本当に、自分の中で情けないような、感情が渦巻いた。西加奈子さんは、どれだけ自分を削って削って、この作品を書いたんだろう。どれだけの思いがあれば、こんな本が書けるんだろうか。なんで、こんな風に内面を表せるんだろう。

    この本を書き上げるのに三年かかっているらしい。私の魂を持っていくのには十分すぎる内容だった。読了後抜け殻のような気分になった。本当に、すごい小説だった。

    私は主人公の歩に共感する場面が多かった。常に受け身な姿勢でどう思われるかを最優先する、波風の立てない姿勢は私そっくりだ。最終的に痛い目をみそうだということも、なんとなく感じるのだ。実際物語の最後に歩は職も恋人も離れていく。実際自分が見下している人が離れていく。

    わたしはこの小説から強いメッセージを受け取ったと思う。「あなたが信じることをだれかに決めさせてはいけない。」歩は最初、貴子の言うことに耳を貸さない。歩の心情を見ていると、読んでいてきつかった。私自身のことが書いてあるから。
    歩に話す貴子の言葉。
    わたしはあなたを愛している。それは絶対に揺るがない。あなたを信じているからじゃない。あなたを愛する私自身を信じているからよ。

    わたしはわたしを信じる。わたしがわたしでい続けたことを信じているの。だからもしそれが間違いだったとしても、もう私は壊れないわ。わたしは誰かにだまされていたわけでもない。だれかに任せていたわけでもない。わたしはわたしの信じるものを、誰にも決めさせはしないの。
    ぼくはどうやら、姉がこころから自分のことを思っているらしいということに気が付いていた。
    いい言葉だ。すごくいい言葉だ。あなたを信じるのではない。あなたを愛する、わたしを信じる。その言葉は今、自分の凝り固まった頭に、心に澄み渡って、まっすぐに響く。
    この言葉に出会えて、ほんとうによかった。

  • とても良いと聞いていたが、今のところはまだわからない。

    この作家さんは初めての為、予測不可能。

    まだまだ物語は序章だろうけど、この先どうなるのか楽しみではある(*^^*)

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著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

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