サラバ! (上) (小学館文庫)

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  • 小学館
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レビュー : 164
  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064421

感想・レビュー・書評

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  • この本の帯についていた芸人で作家の又吉直樹さんの言葉「これは、あなたの魂ごと持っていく物語」という文言に惹かれ即購入したのがきっかけである。
    主人公は空気を読んで、ひたすらマイノリティにならないことで、一番にならないことで地位を保つ圷歩。その一方、彼の姉貴子は周囲を困らせ、「私を見て」というアピールをし続け、周囲の人たちを困らせる「問題児」をして描かれている。
    その姉を見ている歩は、常に受け身で学校でも家でも自分の意見を言わずいい子として育っていった。歩はエジプトに住んでいた時期があり、そのときにヤコブという親友に出会う。

    この本を読み終えた後、私は本当に、自分の中で情けないような、感情が渦巻いた。西加奈子さんは、どれだけ自分を削って削って、この作品を書いたんだろう。どれだけの思いがあれば、こんな本が書けるんだろうか。なんで、こんな風に内面を表せるんだろう。

    この本を書き上げるのに三年かかっているらしい。私の魂を持っていくのには十分すぎる内容だった。読了後抜け殻のような気分になった。本当に、すごい小説だった。

    私は主人公の歩に共感する場面が多かった。常に受け身な姿勢でどう思われるかを最優先する、波風の立てない姿勢は私そっくりだ。最終的に痛い目をみそうだということも、なんとなく感じるのだ。実際物語の最後に歩は職も恋人も離れていく。実際自分が見下している人が離れていく。

    わたしはこの小説から強いメッセージを受け取ったと思う。「あなたが信じることをだれかに決めさせてはいけない。」歩は最初、貴子の言うことに耳を貸さない。歩の心情を見ていると、読んでいてきつかった。私自身のことが書いてあるから。
    歩に話す貴子の言葉。
    わたしはあなたを愛している。それは絶対に揺るがない。あなたを信じているからじゃない。あなたを愛する私自身を信じているからよ。

    わたしはわたしを信じる。わたしがわたしでい続けたことを信じているの。だからもしそれが間違いだったとしても、もう私は壊れないわ。わたしは誰かにだまされていたわけでもない。だれかに任せていたわけでもない。わたしはわたしの信じるものを、誰にも決めさせはしないの。
    ぼくはどうやら、姉がこころから自分のことを思っているらしいということに気が付いていた。
    いい言葉だ。すごくいい言葉だ。あなたを信じるのではない。あなたを愛する、わたしを信じる。その言葉は今、自分の凝り固まった頭に、心に澄み渡って、まっすぐに響く。
    この言葉に出会えて、ほんとうによかった。

  • 続きが気になって読む手が止まらない。
    下巻まで退屈とか言ってる人もいるけれど、上・中があるから主人公の人間性が分かる。
    読んだ方がいいよ。

  • 再読。上巻をじっくり堪能。愛すべき圷家。『サラバ』続けて中巻へ♪歩とヤコブの『サラバ』に、涙。

  • 物語は圷家の日常を描いているだけなのに、
    どんどん物語に引き込まれていく。
    中巻が楽しみ!

  • 勇気もらった。

  • 心が震える。私の体に命を吹き込んでくれる。1番好きな本です。

  • 「あなたが信じるものを、誰かに決めせてはいけないわ。」
    とてもストレートで本質的な言葉。ズシリと胸に刺さる。

    自分で決めているつもりでも、弱った時、迷った時に、誰かに決めてもらいたくなる気持ち。ほとんど無意識にその気持ちは存在すると、これまでの自分の生き様を振り返ると思わざるをえない。
    この小説をもっと前に読んでいたら、自分の人生は変わっていただろうか。そんなことはないのだろう。今の自分にふさわしい小説と、ちょうどいいタイミングで出会った。こんなにも強く共鳴するのは、これまでの時間があったからだ。

    人生の前半は自分が信じるものを見つけるまでの旅。
    人生の後半は自分が信じるものを拠り所に、自分と他人を受け入れ、そして楽しむ時間。
    その前半を生まれた瞬間から描写したのがこの小説。
    でも、この小説が自分が信じるものを決めてくれるわけではない。それは自分で決めるものだから。

    大人になるということは、後半に入ったということだ。
    (単純な時間の長さではない。)
    だがその前後半は連続している。後半をどう生きるかを、前半に自分で決められれば、きっと美しく生きられる。

  • 感想は下巻にて。

  • 直木賞作品はつまらないものが多いんだけど,これは別.
    「きろいゾウ」や「さくら」や「ふくわらい」を読んで,西加奈子先生とは少し波長がずれているのかなと思っていたけど,見事にどストライクの作品.
    サラバをかみしめたい.

  • 子供ながらの貧困、貧富の差に関することや、ジェンダーに関して向き合っているところ、ズキズキする感覚があった。

    「彼ら」という名前のないただの「集団」であるとき、
    「ヤコブ」という固有名詞として、1人の人として見たとき、見え方が変わる。
    ナチスでの暗殺のことを思い出した。
    彼らを名前でなく数字で呼び、扱っていたこと。

    ジェンダーに関しては、知らないことを知った。
    続きがとても楽しみ。

  • さすが西加奈子さん。
    とても人間臭くて、救われる本です。

  • 久しぶりに西さんの本を手に取りました。3冊の長編で少し尻込みしていましたが、あいも変わらず素晴らしい!

  • 独特の言い回しと世界観。とてもワクワクして、あっという間に読み終えた。どうなっていくんだ、圷家!早く続編読みたい!

  • ワクワクする。この物語の家族、圷一家と私は共通点が多い。姉と弟の兄弟構成、イスラム圏での駐在生活。「わかるわ~」が溢れ出る。舞台はイラン、日本、エジプトと、圷家は転勤族としてさすらっていく。お嬢様女王様然とした母、超キョーレツな問題児の姉、その狭間でひっそりと、幼き頃から静観達観で生きてゆく主人公の弟。西さんの本は、自分的に当たりハズレが大きい。この本も放置していたが、今のところ、作者独特の人物描写は面白く、エジプトでの出会いと別れの描写も胸熱。さて、エジプト編はひと段落、これからどうなるの?中巻へ~

  • なんだろう。この本は!
    上だけしか読んでないのに。
    全体の1/3しか触れてないのに。
    きっと序盤なんだろうけど。

    もう「上」だけで完結してもいい。

    いや。
    むしろ「上」だけでもいい。
    そんな気持ちに。
    なりました。

    ただ。中も下もある。
    時間を置いて。
    他の書籍を手に取ってから。

    続きを読んでみよう!

  • 家族の関係をメインに、恋人、友達との関わりの内容である。そして、海外での暮らしについて、、、。
    世間と交流がもてない姉がパートナーと出会ったことかきっかけで、家族と向き合い、逆に主人公が世間から身を隠すような生活をしていく経過は驚きだ。長編小説で難しい。
    何度か読み進んでいくうちにわかるだろう。

  • 人間って綺麗なだけな生き物じゃないよね。その圧倒的な文章力にやられてしまいました。
    どうしてもっと早くこの本を読まなかったのだろう。
    (私の大好きなバンドマンがこの本を読んだとかで、それならばと最近になって手に取ったのでした。)
    心の奥底に押し潰して隠していた物を拾い上げてもらったような感覚。
    時には、歩に、姉に、母に、自分を重ねながら読み進めました。
    まだまだ序盤。中巻下巻に期待!

  • さくさくっと読めた。
    特に大きな起伏がたくさんあるわけじゃないけど、文章に引き込まれるような感覚!
    ここからどんな展開になっていくのか楽しみ。

  • 「30代のクズを救えるのは、日本で西さんだけ。マイナス思考の私が泣きましたから。」
    このオードリー若林さんの帯が目に留まり、書店で購入。
    この作家の作品は初めて読んだが、非常に読みやすく
    内容にぐいぐい引き込まれた。

  • 僕は心の中で何度も、その名前を呼んだ。ヤコブは隣にいるのに、その気配を存分に感じているのに、僕はヤコブの体内にいるようだった。

著者プロフィール

西加奈子(にし かなこ)
1977年、イランのテヘラン生まれ。エジプトのカイロ、大阪府堺市で育つ。関西大学法学部卒業。雑誌「ぴあ」のライターを経て、2004年『あおい』でデビュー。
2007年『通天閣』で織田作之助賞大賞、2011年咲くやこの花賞、2013年『ふくわらい』で第1回河合隼雄物語賞、2015年『サラバ!』で第152回直木三十五賞を受賞。
その他代表作として、宮崎あおい・向井理出演で映画化された絵本『きいろいゾウ』、同じく映画化された『円卓』、20万部を超えるベストセラー『さくら』、本屋大賞ノミネート作『i』など。2020年初夏、『さくら』が映画化決定。プロレス好きとして知られる。お気に入りの本は『アントニオ猪木詩集』。

西加奈子の作品

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