- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094064445
作品紹介・あらすじ
これは、あなたを魂ごと持っていく物語
姉・貴子は、矢田のおばちゃんの遺言を受け取り、海外放浪の旅に出る。一方、公私ともに順風満帆だった歩は、三十歳を過ぎ、あることを機に屈託を抱えていく。
そんな時、ある芸人の取材で、思わぬ人物と再会する。懐かしい人物との旧交を温めた歩は、彼の来し方を聞いた。
ある日放浪を続ける姉から一通のメールが届く。ついに帰国するという。しかもビッグニュースを伴って。歩と母の前に現れた姉は美しかった。反対に、歩にはよくないことが起こり続ける。大きなダメージを受けた歩だったが、衝
動に駆られ、ある行動を起こすことになる。
【編集担当からのおすすめ情報】
解説は又吉直樹さんが執筆くださいました。
感想・レビュー・書評
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『もっと早く読んでおけばよかった。』
そんな言葉でしか、表現できない自分が、薄っぺらく感じてしまうほど、この物語は、深いのだー。
主人公である、歩の37年の自叙伝的な物語形式で、話は、生まれた瞬間まで遡る。
イラン、日本、エジプト、大阪、東京…。
うらやましくなるほどに、家族とともに住む場所を変え続ける歩。
いつまでも美しくありたい母。静かなる父。マイノリティに憧れる姉。
そんな家庭で育ったら、自分も歩みたいに、普通でありたい、と思ってしまうだろう。
だから彼も、処世術のごとく、自分らしさをうまく消すことを身につけて、それが無意識のうちに価値観に結びついていく。
「目立ちたい姉」と、それを疎んで「目立ちたくない弟」。知らず知らずのうちに、姉と比較することで、「自分はまともだ」と安心する。
でも、その居場所は、邪魔だと思っているはずの姉がいることで成立してるんだよね。
(いつもそうではないにしても、「あいつよりはマシだ」と思うことで、地に足ついたような気になって。そんなぬるま湯の中に浸かっていた自分をこの中に見た。
そしていざ、環境を変えてみると、その時になってようやく目を覚まして、はっ、と気をつけるようになるのだ。)
この物語は常に対比が存在し続ける。
「姉」と「自分」、「父」と「母」…。
強く感じた対比は、「目まぐるしく変化する環境」と「それでも変わらない日常」。
どちらも正しいんだと思う。「一日一日を大切に生きること」も「変化に身を置くこと」も。
どっちかに重きが置かれるのは、きっと「考え方」にも流行があるからであって、大切なのは、今、自分の立ち位置を考える時間を持つことだと思う。
そして、頑なに片方に寄りかからなくてもよくて、時間の経過とともに、そこはゆらゆらと変えていってもいい。自分が決めたことであれば。
これがきっと姉である貴子が、歩に向けて言った、「あなたが信じるものを誰かに決めさせてはいけないということ」なんだと、自分は思う。
文末とか、構成とかを考えずに、一気に感想を書きあげてしまいました。それほどに、「書くこと」を衝動的にしたくなる読後感でした。
思ったことをうまくまとめ切れていないし、両手ですくった水のように、漏れていることもたくさんある気がします。
ただ、一度に全て書き切れなくとも、重ね塗りのように、継ぎ足していいと思ってます。 -
全3巻とも読みやすかったです。
二週間ほどで読み終わりました。
上巻、中巻と打って変わって、下巻の歩はずっと暗い闇の中にいるような感じで、特に姉の貴子が帰国してからは、一気にどん底という雰囲気でした。
いつも誰かと自分を比べて生きてきた歩。
あいつは自分とは釣り合うか、釣り合わないか。
かっこいい自分なら、美人なあの子と付き合うのが相当だろう。
あんなビッチと付き合って、自分の価値を落としたくない。
姉の貴子はあんなにも破天荒で周りに迷惑をかけているんだから、自分よりも愛される訳がない。
容姿に恵まれ、周りからちやほやされていたときには考える必要もなかった、自分の『幹』となるものや『信じるもの』。
本当にやりたいことを見つけること。
自分自身の力で未来に歩いていくということ。
胸にささる良い小説(自叙伝?かな)でした。
いま感じたこの気持ちを忘れないようにしたいです。 -
2020年の暫定1位、すごく良かった。
"あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。" 本当にその通りだ。
関係のない別の本で、"自分のことを分かってくれる人がいなくても生きていけるってことが、人間が学ぶべき、何より大切なこと"って書かれてたことを思い出した。このサラバにも通じているなと感じる。
自分が自分を信じていけたら、これから先どんなに大変なことが起こってもブレることはないんじゃないかな。自信は、持つものじゃなくて、自分を信じることだと気付いた。
髪が薄くなって身体が太って周りからの評価も落ちてどんどん泥沼にハマっていく歩は、読んでいて非常〜に辛かった。でもそんな歩だからこそ分かること、出来ることがあるんだなって前向きな気持ちにもなった。
私もいま泥沼にハマった歩と同じような状況で、26歳で独身で無職で全てのことにおいて気力が無い。だから歩が、信じるものを見つけて小説を書きたいって行動を起こしたことは本当に素晴らしいと思った。
私も私を信じて、揺らぐことのない何かを見つけて、前に向かって歩いて行きたい。切実にそう思う。
西加奈子さん、こんなに素晴らしい本を書いてくれて、出会わせてくれて、本当に本当にありがとうございます。-
xxayumixxさん
連続ですみません。
感想に対して何か返事を求める訳ではありません。
しかしもし貴方から何か返事があったら伝えようと思...xxayumixxさん
連続ですみません。
感想に対して何か返事を求める訳ではありません。
しかしもし貴方から何か返事があったら伝えようと思っていたことがあります。
僕は愛知にいて、25歳なのですが、友達になって頂けないでしょうか。2020/07/26 -
アフタヌーンティーさんへ
コメント下さってたの気付かず返事が遅くなってごめんなさい、、感想読ませてもらいました!丁寧で、本当にありがとうござ...アフタヌーンティーさんへ
コメント下さってたの気付かず返事が遅くなってごめんなさい、、感想読ませてもらいました!丁寧で、本当にありがとうございます。私自身も答えがまとまらないことが多い一冊だったので日を置いて読みたくなるの分かります。
そして、私も是非もっと話せたらなと思っていたので嬉しいです〜ありがとうございます!Twitterやってらっしゃいますか?私のプロフィールから私のアカウントへ行けるので良かったらDMなど飛ばしてもらえたら嬉しいです(^^)2020/07/28 -
xxayumixxさんへ
催促するような形になってしまいすみません。僕も嬉しいです。ありがとうございます。
Twitterやってます!プロフ...xxayumixxさんへ
催促するような形になってしまいすみません。僕も嬉しいです。ありがとうございます。
Twitterやってます!プロフィールみたのですが、アカウントへの行き方がわかりませんでした。ですので僕のユーザー名とIDお伝えします。
フォローしてもらえませんか?
ユーザー名は
『アフタヌーンティー4.0』
IDは afternoonkawai1 です。
フォローして頂けたら僕からDM送らせて頂きます。
アイコンはキャラメルマキアートなのですぐにわかると良いのですが。2020/07/28
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人生において「信じる」とは何かを問う、圧倒的な読書体験。
上中下巻と厚めの文庫三巻に分かれた大作ながら、途中でだれることなくあれよあれよという間に最後まで連れて行かれる。
ここまで歩の人生を歩目線で歩と同化するように読んできた読者は、三巻にして初めて急に「あれっ?」と思わされ、少し離れたところから歩を見るようになるのでは。
これまでの歩や貴子の生き方や感じ方を、初めて違う目線で振り返るはず。まさかこんなふうに展開するとは!
家族が抱えていた問題があかされ、歩は自分のルーツに戻るためカイロでヤコブと再開する。そして、ここから「サラバ!」の物語が紡がれる。振り出しに戻るわけだ。
これほど長い作品なのに、もう一度読みたくなった。 -
小説ってこういうことなんだと思った。
何書いたっていいし、決まり事がある訳じゃない、何が正しいとかはどうでも良くて、筆者は書きたい伝えたいことを書いて、読者はそれぞれ感じたいことを感じればいい。
でも、それは誰でも当たり前にできることではない。当たり前にできる人と、これがいいと分かっていてもなかなかできない人と、一生気付けない人がいる。
一生気付けない人にだけはなりたくないなら、この物語を読めばいい、と思った。
答えのない世界で生きていくための勇気をもらった。
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まずは長い!
もっと短くてもいいんじゃないかなー。
面白くなるのは下巻から。
主人公が挫折を知ってから。
最後はそれなりにまとまった気がするが、
父母の内面の描き方などは、やや強引な感じがする。 -
西加奈子さん、毎回感じてしまうが本当に天才。どうしてこんな物語が書けてしまうのだろう。それともこれは実話なのか?西加奈子さんでも絶望の中にいたり、友達や何もかもを失ってしまうことがあったのだろうか。
登場人物の誰かと自分が重なったり、誰でも少しはあるような、人に言えない秘密や悩みを生々しくこれでもかと掘り下げていって、最後に回収して救ってくれる。もはや人生の指南書。
上下巻とあり長いけれども読みやすく、引き込まれるので読み終わるまで飽きることはありませんでした。ちょっと立ち止まってしまった時に、何度でも読み返したくなる本だと思いました。
-
信じるもの、失ったもの、それを包含する得体の知れないもの、好むと好まざるとに関わらず、結果ここにいる自分。
サラバ!
著者プロフィール
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昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
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