サラバ! (下) (小学館文庫 に 17-8)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064445

感想・レビュー・書評

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  • 下巻は一気読み。すごいものを読んでしまったなぁという感じ。小説の範疇には収まらない感じというか。
    この前読んだ「君たちはどう生きるか」にも通じるものがあるなぁと思いました。

  • 長らく時間がかかりましたが、読んでいてとても合点がいった。これだけのエネルギーに溢れた作品は一気読みできねえ。後半、エジプト革命のあたりで涙が止まらなくなった。政治への意思表示で焼身自殺というのは、とても痛ましい。最近、このタイプのメッセージを受け取り続けていて、お前はどうする?って聞かれているようだ。

  • 上巻から時間の流れとともに、子供から大人になり、大人からさらに大人になる。
    別れもあり、再会もあり、新たな出会いもある。長編小説だからこその面白さがあり、主人公をはじめとする登場人物の成長にのめり込まされる。
    主人公がこれまでの生き方に大きく悩まされ、新たな一歩を踏み出していく様は自分と重ねてしまう部分も多い。
    自分に嘘をつき、自分自身を自分で騙し続ける。苦楽からは逃れられるし、心も楽である。しかし、、、自分のプライドを自分だけで保つことに意味はあるか。自分の中でただ嘘を繰り返し、確固たるものを持たない怖さ。
    そんな自分は嫌いになる。後悔に苦しむ。

  • 西さんのiを読んでも思ったけど、敏感(繊細)な人を書くのがすごく上手いと思う。
    歩が落ちぶれていく様を見ていくのは辛かったけど、姉やヤコブを通じて前を向いて歩み始める姿はすごく良かった。

  • サラバ!

    自分で信じるものは他人に決めさせない。
    ヤコブ、貴子、母、父、矢田のおばちゃん、夏枝おばさん、須玖、魅力的な登場人物との間で得たもの、失ったもの、流れた時間。

    著者が、主人公の良さも醜さも、嬉しさもしんどさも正直に書いているところが良かった。
    そうだよね、そんなに人生うまくいかないし、大変なことばかりだよね、と思った。
    その中で自分の信じるものを、それぞれのキャラクターが見つけていくところに、爽快感が残る、希望が持てる小説だった。

    この小説に会えて良かった。

  • 過去と時間と選択と、今起こっていることと自分の感情、それらが支離滅裂に押し寄せたり、でもすべてつながっていると感覚でわかっていたり。「化け物」として表現されているもの。
    それをどうしても形にしたくて私は日々文章を書く。誰に言われたわけでもないのに、書かなければ、と思う。私にとって書くことは生きることであり、生きることは書くことだ、と思う。なぜ自分は生きることを恥じないのか少し疑問だったが、なんとなくわかった気がした。この本に出会えてよかった。

  • この作品が主人公圷歩の37歳までの人生を描いた自叙伝であることを、上巻から読み始める前に知りたかった。笑
    上巻を読み終わった後、この物語はいったいどこに進んで行くつもりなんだと続きを読むのを辞めてしまう人もいる気がする。
    中巻まで読むと、圷家の人々が今後どんな人生を歩んでいくのか気になって下巻まで一気に読みました。

    それまで圷家で唯一完璧な人生を送っていたはずの歩が30代になり道を失う。読んでいて胸がきゅっとなった。
    そんな中声をかけてくれた激動の人生を送っていたお姉ちゃん。
    そしてヤコブとの再会。
    下巻を読み終わるのは本当にあっという間でした。

    上中下とあるので最後まで読むのに時間かかったけれど、最後に又吉がこの本にかかれていた全てを解説してくれていて、とてもすっきり読み終えることができました。

    上中は星3個だったけれど下巻を読み終えて総合で星5個となりました。

  • ・あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはならない
    ・大切なのは、違う人間が、違うことを認めて、そして繋がること。

    解説(又吉)
    ・サラバとは、そうであるならという意味の接続詞。それまでの経緯を引き受けて、次の行動へ移っていく言葉。


  • 歩の神様は、「さよならだけが人生だ」であり、「我思う、故に我あり」でもあり…

    私の神様はなんだろう。

    「最高の任務」を読んで、「あんた、何者?」って、私はこれから何度も自分に問いかけるだろうと思った。

    そして、これからは「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」も、何度も言い聞かせるだろう。

    『僕たちは、「サラバ」と共に、生きていく。』

    …と、そこまで言っておいて、「ここに書かれている出来事のいくつかは嘘だし、もしかしたらすべてが嘘かもしれない。」と飄々と言ってのけるバランス感よ。

    よーそこの若いの
    俺の言うことを聞いてくれ
    「俺を含め、誰の言うことも聞くなよ。」

    って、竹原ピストルの歌を思い出した。

    小説って、歌詞って、そして神様って、人間の作り出すものって本当におもしろい。


    自分だけの信じるものを探すために生きてるのかもしれない。

    世は「推し活」熱狂時代。
    私自身にも北村薫先生という最推しがいらっしゃり、推しを盲目的に推し続けるのはある意味楽でもある。
    「君の夢は僕の夢」は一見美しいが…君の夢はやっぱり君のものだ。
    推しに依存して自分の人生から目を逸らしてはいけないとも感じたのであった。

    でもさ、みんな推しの中に、自分の「信じるもの」と重なる部分があるからこそ推してるのでは?

    北村先生を推しているのは人間への眼差しの温かさ、「良いものは太陽の方を向いている」感じが、「こういうものがもっと世の中にあったらいい」と思うから。

    私の信じるものは「太陽の方を向いている」ことかなあと思った。

    これから出会う本で、また新たな信じるもの、神様、問いかけに合うだろう。

    それってワクワクすることだ。


  • オセロの終盤にどんどんひっくり返されるような急展開で伏線が回収されていく。 一気に読み進んでしまう。

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著者プロフィール

1977年イラン・テヘラン生まれ。2004年『あおい』で、デビュー。07年『通天閣』で「織田作之助賞」、13年『ふくわらい』で「河合隼雄賞」を、15年『サラバ!』で「直木賞」を受賞した。その他著書に、『さくら』『漁港の肉子ちゃん』『舞台』『まく子』『i』などがある。23年に刊行した初のノンフィクション『くもをさがす』が話題となった。

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