全員死刑: 大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 92
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064759

作品紹介・あらすじ

狂悪すぎる獄中手記、まさかの映画化!

2004年、福岡県大牟田市で4人連続殺人事件が起きた。逮捕された暴力団組長の父、母、長男、次男の一家に下された判決は、「全員死刑」。次男は獄中から、犯罪の一部始終を記した手記を送る。受け取ったのは、暴力団取材に定評のあるライター、鈴木智彦氏だった。
鈴木氏は、手記を読み本人に面会し、凶悪な犯行と実際の彼とのギャップに戸惑う。手記の中で〈今、生と死を分ける神的行為を行っているというスリル! 一度味わえばもう終わりだ、やめられない〉と快楽殺人者が、実際に会うと〈面会が終わって部屋を出る時は、いつも最後まで深々と御辞儀する。しだいに彼が極悪非道な殺人鬼であることを忘れそうになった〉という好青年の顔を見せる。事実、彼が4人もの殺人を犯したのは、一家を助ける「親孝行」のためだったのだ。この二面性により、本書は他の犯罪ノンフィクションと全く異なる異様な迫力をまとうことになった。
文庫解説は『果てしなき渇き』(映画『渇き。』の原作)などで知られる作家の深町秋生氏。

【編集担当からのおすすめ情報】
2010年に『我が一家全員死刑』というタイトルで書籍化され、一部の読書家の間でカルト的人気を得ていた怪書が、2017年秋、まさかの映画化に合わせて文庫化されます。映画版は、あの『冷たい熱帯魚』の製作チームが、監督・小林勇貴、主演・間宮祥太朗という20代の気鋭たちと組んで作り出す狂悪エンターテインメント。映画と原作、どちかがより狂悪か、ぜひ比べてください。

感想・レビュー・書評

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  • 数日の間に4人を殺害し一家全員が死刑判決を受けた事件の実行犯である次男の手記。書いてあることが突拍子もなさすぎて、読みながらつい声を上げて「えぇー?」って言ってしまいそうになる。同じ言葉を理解してるけど全く別の生き物なんじゃないかと思えてくる。人を殺めるに至る決断とかがあっさりし過ぎていて、そこにノンフィクションであり手記であるリアルさがある。内容も実際に手を下した人間でなければ書けないもので、興味を覚える描写もあった。なんというか、あまりにも突拍子がなさすぎて、もはや笑えてくるくらいだった。ただ、これは遺族の方は読むに耐えないだろうな、とも思った。

  • 映画をきっかけに知った事件です(結局映画は見る機会が得られず本編は未視聴)。

    本編にも書いてありますが一家そろって場当たり的で浅知恵ばかりで逆に恐ろしかったです。
    誰もが何も深く考えていないし大金強奪と言いながらその前にまず人を殺すという意味不明さがあって訳が分かりません。
    映画やドラマと違いリアルの殺人に大義名分なんてないと思いますがこれほど理由もない殺人もなかなかない。

  • 鈴木智彦『全員死刑 大牟田4人殺害事件「死刑囚」獄中手記』小学館文庫。

    フィクション作品の映画化かと思い、読み出したところ、なんと、ノンフィクション作品だと言う。このような内容を映画化するとは、なんと醜悪で、悪趣味な企画だろう。映画化に合わせて、『我が一家全員死刑』を加筆修正、文庫化。

    狂気とも言うべき余りにも身勝手な犯罪に吐き気をもよおした。また、凶悪犯罪を描きながらの、ふざけたノリの文章はいただけない。

    2004年、福岡県大牟田市で起きた4人連続殺人事件。犯人の暴力団組長の父、母、長男、次男の一家は逮捕され、全員死刑となる。獄中からの次男の手記を受け取り、事件の真相に迫った過激なノンフィクション。

  • これは読んでいて気分が悪くなる。二度と読みたくない。そういう意味で、よい本。

  • 殺人一家、次男の暴露書。
    次男、中二病だな。。
    でも、生まれた環境が違えば
    真っ当に育ったかもしれないなぁ。

  •  2004年に起きた「大牟田4人殺害事件」を、主犯の次男による獄中手記と、それを補完する鈴木の取材原稿を交互に入れる形でまとめた事件ノンフィクション。

     元本はコアマガジンから2010年に出た単行本『我が一家全員死刑』で、昨年、小林勇貴監督による映画化がなされたことから文庫化されたもの。

     私は単行本が出た段階で一度手を伸ばしてみたものの、「なんか読みにくい本だなァ」と思って途中で投げ出した。
     映画版が面白かったので文庫で再挑戦してみたところ、こんどはスラスラ読めた。映画を観て事件の流れが頭に入っていたせいか、あるいは文庫化に際しての加筆修正で構成が大幅に改善されたのか。

     映画を観たあとに読んでみると、あの恐ろしい映画が大枠で事実そのままであったことがわかり、慄然となる。
     もちろん、映画化に際しての潤色はあるが(最初に殺される被害者をユーチューバーという設定にしたり)、「この部分は絶対に後から作ってるでしょ」という場面が意外に事実どおりであったりするのだ。

     暴力団組長を父親とする一家4人(ほかに母・長男・次男)が、全員で知り合いの家族3人を金銭目的で殺し、無関係な友人1人も巻き添えで殺してしまった、凶悪無比な事件。一家4人全員の死刑が、すでに確定している。

     本書の過半を占めるのが、殺害の実行犯となった次男・北村孝紘による獄中手記である。
     その内容は事件に対する一片の反省も見られず、自分に酔った感じの鼻持ちならないもの。ただ、意外にも文章が読ませる。語彙の貧弱さはあるものの、かなり読みやすいのだ。

     実際の孝紘は、映画『全員死刑』に主演した間宮祥太朗のような細身の美青年ではない。元力士でもあるという、見るからに凶悪そうな巨漢である。

     映画版『全員死刑』は、残忍な殺人事件を乾いたユーモアに包んで描き出し、殺人の場面でつい笑ってしまうような不謹慎極まる作品(でも傑作)であった。
     この本を読むと、そうしたテイストはすでに原作にあったものだとわかる。随所にそこはかとない滑稽味が漂っているのだ。

     一家総出で無計画な強盗殺人を遂行する恐るべき家族でありながら、この4人には強い「家族の絆」があり、そのギャップが滑稽さを醸し出す。次に引く一節は、本書の不思議な味わいを象徴している。

    〝殺害に向けて協力し合う家族の様子は、まるで安物のメロドラマだった。四人が四人とも狭い視野しか持っていない。
     母も父も、「子を持つ親の気持ち」を思いやる心など持っていなかった。が、皮肉にもこの両親に育てられた兄弟は、ひどく親孝行にも見える。これが殺人でなければ、実に心温まる光景だろう。〟

     「傑作ノンフィクション」とは言えないが、捨てがたい魅力を放つ「奇書」。

  • 「龍幸はただただ「ハァ」と何も考えきれず、黙って下を向いて前かがみになり、帽子をかぶったままの頭をさしだしてきた。俺は「殺すから頭を出せ」と言われてそんなに素直に頭を出してくる龍幸にビックリした。それでもまた左手で龍幸の頭のテッペンを押さえ、右手でチャカをこめかみにあわせて銃口を押し付けて、指をトリガーにかけた。そして龍へ、「イクぞ」と一言かけ、黙っている龍を見ながら、指に力を込めてトリガーを引いた(p.136)」

  • ミステリーを読みなれているからか、あまりに犯人が愚か、かつ犯行が杜撰で驚いた。暴力団は犯罪のプロだと思っていたが、笑ってしまうほど短絡的で、冷静な状況判断ができていない。だから犯行に至るような経済的状況に追い詰められてしまったのだろうが・・・。
    殺人を犯しても良心の呵責を感じないのは、冷酷だからというより、そういうことを感じるほど知能が発達していないからと感じた。実際に凶悪犯罪を犯す人には、こんな人も多いんだろうな。

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著者プロフィール

鈴木 智彦(すずき ともひこ)
1966年生まれのカメラマン、ライター、ジャーナリスト。日本大学芸術学部写真学科へ入学後、すぐに中退。スタジオマン、アシスタント、フリーカメラマンを経て『実話時代』編集部入社。2000年にフリーのカメラマン兼ライターとなる。ヤクザ・暴力団に詳しい「暴力団取材のエキスパート」。
代表作に、映画化された『我が一家全員死刑』、『潜入ルポ ヤクザの修羅場』、『ヤクザと原発 : 福島第一潜入記』。
築地市場への潜入労働も行った『サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』を、豊洲市場の開場日2018年10月11日に刊行。

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