- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094064872
作品紹介・あらすじ
多くの作家をも魅了した著者の最高到達点!
直木賞受賞後の会見で、著者は「勝手な想像ですが」と前置きした上で、
「『鳩の撃退法』の存在がなければ、今回の直木賞受賞は考えられない。あれで機運が熟したのではないか」
と語った。
事実、本作は、山田風太郎賞選考委員はもちろんのこと、推薦文や書評、口コミやSNS等を通じて、驚くほど多くの作家たちから激賞された。
下巻は、「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰・糸井重里さんの解説を収録。
【ストーリー】
「このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。だけど厳密にやばいのはあんただよ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ」
身を潜めてせっせと小説の下書きをつづけていた津田伸一は、社長からいきなり退職金を手渡され、いよいよ決断を迫られる。
ついに“あのひと”が現れたのか?
鞄の大金は裏社会から流れてきたものなのか?
忽然と姿を消した家族、郵便局員の失踪、疑惑つきの大金、そして鳩の行方‥‥。多くのひとの運命を狂わせたあの日の邂逅が、たった一日の物語となって雪の夜に浮かびあがる。
読み進めると、謎が深まる。読み返せば、伏線がわかってくる。
上巻だけでは、この小説のおもしろさは半分も伝わりません。
急展開も待ち受ける下巻の最後の1行まで、ぜひ「鳩」の行方を見届けてください。読み返すほど、おもしろいはずです。
感想・レビュー・書評
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⚫︎受け取ったメッセージ
のちに直木賞作家になる著者が描く、
元直木賞作家の作品内で起こった現実から生み出された、どこまで現実か虚構かわからないメタのメタ構造。
人は大なり小なり
現実の断片を繋ぎ合わせて
現実の世界を自分の都合のいいように切り取り、
繋げ、何かを信じ、それがその通りになったり、ならなかったりして一喜一憂する。
そこをエンタメ小説で書き上げる筆力に脱帽。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
―このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。だけど厳密にやばいのはあんただ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ。身を潜めて小説の下書きを進める津田伸一は、退職金をいきなり手渡された。ついに“あのひと”が現れたのか?忽然と姿を消した家族、郵便局員の失踪、うごめく裏社会、疑惑の大金…多くのひとの運命を狂わせた、たった一日の物語が浮かびあがる。数多の作家をも魅了した、ユーモアとスリル、そして飛び立った“鳩”のあまりにも鮮烈な軌跡。現代小説の名手佐藤正午渾身の最高到達点。
⚫︎感想
新鮮な作品だった。元直木賞作家の津田が、現実に起こった出来事を繋ぎ合わせて、小説内虚構を物語るが、どこまでが創作なのかわからない。しかも小説を書いている津田とリアルタイムで現実も進行するというスタイルは新鮮。
そして全然主人公の津田に共感も同情もできる部分がないのがまたおもしろい。
「月の満ち欠け」も合わせて考えると、虚構を異なる手法で現実的に描くことが巧みな作家だと思った。 -
ちなみに、本書を買ったのはある街の雑貨屋。レジ脇の小さな棚に、上下巻それぞれ100円という値段でさりげなく置いてあった。聞けば、店主が読み終えた本をただ置いているだけとのこと。長らく「読みたい本」リストの上位にあった本書を200円で手に入れることができ、活字の醍醐味を堪能できたのは、幸せ以外の何ものでもない。
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津田伸一のキャラというか憎めない人柄が好き。典型的なダメ人間なんだけど頭の回転力と弁が立つというか相手を捲し立てるように話すのが嫌いじゃない笑。ほぼほぼ理不尽で自己中な気もするけど。。藤原竜也にピッタリな役だと思う
‼︎ 頭は良いんだけど、お金持ちになれない。。カイジに少しだけキャラが似てるのかな?
あとはやっぱりなんか文章がくどい。。説明が多いのかな?でも、そのくどさが嫌いじゃない笑。
ひとつだけ疑問が。。なぜヒデヨシは自分の子供じゃないってハッキリ言い切れたんだろ。。子供ができない身体なのかな。。。? -
身の上話(同著者の作品)みたいに、語り部が誰なのかいまいち掴めない感じで話が進んでいく
作中作として、小説の中の小説家が小説を作っていく
けど、読んでる途中、これは佐藤正午さん本人のことではないかという感覚になっていった
小説家のリアルを読んだ感覚がしました -
意外にも終わり方があっさりしてた。
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映画化で気になっていた小説。
正直に言うと難しかった。
上下で文量もそこそこあり、
句読点までが長い文章も多々。。
映画を見て、もう一度読み直して理解したい作品。 -
小説家が現実の世界を元に書いた物語に現実が吸い寄せられる話し。上下巻の長編だけど、最初の方の伏線を見事に回収されて綺麗な終わり。ただ、最初の方は、ややまどろっこしい進み方でなかなか入り込めなかった。すぐに引き込まれて先を読みたい気持ちが高まった。
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やっと読めた…途中何度挫折しかけたか…
事実と小説と行ったり来たりするし、時系列も途中ごちゃごちゃし始め
細かく詰め込んでくる感じが、自分には合わなかった。